不信任投票を突きつけられるのかハーパー政権


カナダ野党3党が連立 ハーパー政権の経済対策に不信任投票へ
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20081202AT2M0202B02122008.html

カナダの自由党など野党3党は1日、景気刺激策の早期実施を掲げて連立することで合意した。ハーパー首相が8日に公表する予定の経済対策に不信任票を投じ、政権交代を迫る。首相は対抗して下院を解散し、再び総選挙に打って出る可能性がある。


と書いてあるけど、再び総選挙になるかどうかはハーパー首相の決断によらない、ってところがなかなか難しいわけです。


整理すると、
10月に総選挙があって、結果は以前と大差なく、カナダの与党はマイノリティのままで保守党となった。
カナダは連立政権を組む習慣がない。禁止されているとかではなく1917年だかにあったそうだ。


これがバックグラウンド。


で、経済危機が深刻化し、与党はいうところの景気刺激パッケージを発表することになった。
それに呼応して、というほどのトリガーなのか否かは議論のあるところだが、野党のリベラルとNDPという左派政党が連立を組むと言い出し、この2つが合わさっても数が足らないのでケベック専門の党としかいい様のないブロック・ケベコワを味方につけて、3党合同で、内閣不信任案を提出すると言い出した。

その日程が来週月曜日。
そこでハーパー首相にできることは、(1a)日経さんが書くように「再び総選挙に打って出る」、か、(1b)カナダの総督にお願いして、国会を休会して、時期が時期だけにお休みになって、次の召集は1月後半の予算審議の時、という流れにする。


(1b)を総督が認めない場合、総督が取り得る方法は、
(2a)国会を解散して総選挙を命じる、
(2b)野党に組閣を命じる、

なんだそうだ。ここにこういう権限があるとは私は知りませなんだ。
このへんの記事がまとまりがよかったかも。
http://www.canada.com/ottawacitizen/news/story.html?id=9e08a2f9-b992-4031-9198-b64e69e995ff&p=1


この降って沸いたような事態のために、ヨーロッパ歴訪中の総督は急遽日程を短縮してカナダに帰国。私、います、という事態が完了したので、与野党首が共に総督にお願いするという形式が可能となった(カナダの地面にいる時、という条件が書かれているんでしょうかね?)。


ここからカナダが取れるのは、1bと2aは同じなので、3つか。

保守党まま
選挙
野党政権奪取


そういう最中なので、今夜はハーパー首相自らテレビで国民に訴えるという一幕もあった。見た。この大事な時に、分離主義者に背中を押された連立政権はカナダのためにならないと言っていた。一方、ステファン・ディオンという野党リベラルの党首もテレビ演説をしていて、こちらは、主に、どう考えても時間のかかる、カナダ人が職を失わないようこういうプロジェクト、ああいうプロジェクトをするような政府にしましょう、なんてことを言っていた。


これでわかるとおり、
「ハーパー首相が8日に公表する予定の経済対策に不信任票を投じ、政権交代を迫る」、
「最大野党の自由党などはハーパー政権の景気テコ入れ策が不十分だと批判」、
というのは実は曲者。
リベラルに別に目新しくて、画期的な策があるわけではまったくない。つか、彼らが時間、タイミングが非常に大事な現在の経済問題で保守党より目覚しいく立ち回れるとは普通誰も信じていない。さらに悪いのは、リベラルは経済が駄目な党ではない(実績でいえば)が、この連立は左派と分離主義者の連合なので、リベラル右派に出番はないでしょう。