今月のジェフ


毎月楽しみなジェフ・ルービンのご講話。

先月のジェフ。
http://d.hatena.ne.jp/Soreda/20081001


なんといっても、強力な原油ブルなので、今般の原油下落に際してなんていうんだろうかと、そっちを楽しみにしていたのだが、特に言い訳なし。つか、まだ3桁時代は来ると言い切っていた。


で、今月のテーマは、リセッションの原因としてみんなサブプライムに端を発したアメリカの住宅価格の低下とそれに伴うなんちゃらかんちゃらをあげるけど、原油価格に注目してみえませんか、これはすごい関連してまっせ、というもの。


Just How Big is Cleveland?
http://research.cibcwm.com/economic_public/download/soct08.pdf


・戦後5回のリセッションのうち4回は、オイルショックの後に来ている。
オイルショックとは、消費国(先進国)から産油国への所得の移転で、その移転分がウォール街に投資されてまわるっていうけど、全部回るわけでなし、結局は、お金が溜め込まれやすくなり@産油国、流れないから不況になるんだよ。
・今般のオイル価格の上昇は過去のものとは比べ物にならないぐらい大きかった。
・米国が外国に払った原油代金は、2005年以来毎年2000億ドル程度で、これは、今般の米による景気刺激策よりも大きい。
オイルショック→リセッションの因果は、1年ぐらいのタイムラグがあるとの研究がある。

従って、このメインストリームの不況問題がオイルショックに原因があるってんなら、147ドルから60ドルに下がったのは朗報ではあるはずで、去年の3Qから一年である今がボトム近辺かな。


だそうだった。

で、予測データを見ると、今Qをボトムに、来年の年央ぐらいから上昇というシナリオを書いているっぽい。


過去30年の原油価格を参考にしながら読むと、一応ふむふむかなとは思った。
http://www.afpbb.com/middle/208/2395043



ジェフは、石油を中心に組む戦略家だから、なんでもかんでも石油の話にもっていってしまうのはそれはそれとして、いやしかし、言われてみれば、今般の金融危機に関して、石油価格高騰による実体経済へのインパクトの話が確かにあまりにも見過ごされているようには思った。いや、見過ごしてはいないから、米の主に共和党筋は、石油を掘れ、掘れとの掛け声のもとに、なんとかして高騰を抑えた。あれはすごかった。しかし・・・。


まったく身近な話だが、航空券8万円に対して、サーチャージ6万円だか7万円だかというのが付くのが今現在の世界。過去もう何Qぐらいか、サーチャージは取り除かれず、実際には要するに昔のようには人々は移動できない。人々が移動しなかったらそれに伴って観光系は劣化、低減、鈍化、そして、物の移動も減少気味になるに決まってる。で、今ここ。

サーチャージは1Q遅れているっぽいので、今は夏前のレートとして1月以降は多少下がるだろうが、でも、なくなりはしないわけで、実態価格は3年とか5年前と比べてとても高いままなわけだ。
で、この間に全体として経済が痛むから、原油価格がボトムに落ちたからといって急には復活しない。


で、いずれどこかの経済が復調しはじめたら、今度はまた原油は上がる。
非常に大きな経済主体が、まるごと石油に依存しないでもいられるようになるまで、いったり来たりということで、そして、その間に、仮にドルの価値が劣化した場合、原油価格のドル建額面は、今回見たよりもさらに上昇する可能性はあるだろう。


ということで、ジェフが再々、俺は200ドルだってなくはないと思ってると言っていたのは、おそらく、チャイナや原油産出国等による成長率の大きい主体による増加する原油需要の存在と、ドル劣化の合わせ技によるものなのであろうと、今さらのような気もするけど、多分そう。冷静に考えると、怖い。


ここから考えられるアメにとって最悪のシナリオは、自分んちの成長方向性が見えないうちに、他の経済主体、特に、チャイナあたりの需要が意外と堅調で、原油ボトムがボトムまで行かず、適当なところで切り返し、顕在、潜在を問わず反米基調が多い産油国が壊滅せず、そうこうするうちに、お前ら俺らの金がなけりゃこのザマだ、のBRICsが、なんとかんとか(ここが問題だが)リーグ内での資金流通スキームを作っちゃう、みたいなところか。


アメ的には、ガソリン依存の社会体制を変えるところまで行きたいんだろうし、これを経済の柱にしていくつもりなんだろうとはまぁ普通にそう思う。グリーンとかいろいろなテーマも込みで。でも、それは結構ばくだいな投資なわけで、それまで他の社会がまってくれる保障ないし、待たせられるほど力があるのかというのも問題。

ちなみに、天然ガスを買っておけ、ガスの株は売るな、ともジェフは言い続けている。他のエネルギーにするったってそら10年がかりの話なわけで、その間、北米で石炭燃やせるわけもなし(規制が厳しい)、手っ取り早くガスですよ、ガス、だそうだったが、これも真実味が出てきた。しかし、ガスといえばプーチン。そう、カナダって、冷静に考えるまでもなく、実のところトレンドとしては、ロシアがんばれなんだよね(笑)。アメリカへのエネルギー供給率23%だったかそのぐらいで、この数値は30%まで行くとかいう話しもある(メキシコは自分んちで使う分があるため、ネットでは石油輸入になってしまうんだそうだ)。