EU内の派遣労働者概括
ではこの6月までEU内の派遣労働者はどのような感じだったのか。
その名もずばりのタイトルで、European Trade Union Confederation(欧州労働組合連合)が説明していた。2007年12月付け。
Temporary agency workers in the European Union
http://www.etuc.org/a/501
それによれば、
・派遣労働=Temporary Agency Workは過去20年間急速に拡大した。
・イタリア、デンマーク、スペイン、スェーデンでは派遣労働者は5倍になり、大部分の国でも最低2倍になった。
・2000年時点で加盟15カ国の2%が派遣労働者で、各年で600万人程度が登録している。
・新規加盟国でも増大しているのが詳しい統計はあまりない。
・ますます多くの国が派遣労働者を使うようになっている。
・どういう職種が多いのかは各国異なっており、イギリスでは80%がサービス・公共部門、フランスでは3/4が建設・製造。
・加盟15カ国内では大部分の労働者は男性だが、北欧諸国では女性が多く、オランダ、イギリスでは同比。
・調査の結果として、多くの派遣動労者は、正規社員よりも仕事と待遇について不満がある。
ということらしい。ま、取り立てて目新しいものもない感じか。
で、その後問題点として、正規雇用者に比して仕事の種類ややり方について自分で制御できる部分が少ない、トレーニングが少ない、仕事場での自己の率が高い等があげられている。
また、派遣労働者であることは不安定だと認識されていて、その一例として、フランスでは平均の契約期間が2週間だとある。
賃金については、例外的なものもあるが(正規雇用者よりも高いスカンジナビアの看護士さん)、同様の仕事であっても低めの賃金であり、ボーナスや福利厚生が排除されている。
と、こうしたことを受けて、提案がまとめられました、となって、それが今月になって合意に至った、という話のようだ。このページ内には、1995年からの取り組みが紹介されている。
ということで、表1は嘘でもないがとてもトリッキー。とりあえず、EU内も今の日本と似たりよったりの状況の中から1歩前進したとうわけで、ずっとそうだったわけではないし、まだ、法制化されたものでもないので、ちょっと誤解を生みやすい話がナイーブにも出回っていると言ってもいいかと思う。