みんす、何考えてますか?

来るだろうなぁと思っていたら本当にきてた。

中川財務相の辞任要求も=「国益損失計り知れず」−民主
http://www.jiji.com/jc/zc?k=200902/2009021600311&rel=j&g=pol


中川さんがみっともない姿を見せたことで失う国益なんてないと思うけどね。国益という言葉をそういう安いところで使わないでもらいたい。


で、私が昨日思ったのは、IMFに100Bも拠出したぞ、日本、ってなニュースへのアメリカまたはアングロ・アメリカン帝国(by ナイアル・ファーガソン)の嫌悪、悪意丸出し、ってなことかなぁと。英文記事を見ていた時系列的にはそう感じた。だって、IMF出資関連のニュースが非常に小さく、いきなりナカガワだったんだもの。


でもって、中川氏といえば北海道のクマさんのご子息、そしてこの時期とかいろいろ妄想してしまう。いじめたいのかな、みたいな。いやこれは妄想。


そんな酒飲みか薬かなんて話どころじゃなく世の中、結構変動しつつ、変動させないぞと踏ん張りつつ、G7じゃキレイ事を言う今日この頃ではあるまいか。


今日のびっくりは、これか。
アメリカが、ロシアのWTOOECDのエントリーをサポートするってのもあるかもよ、と、ロシアの財務大臣が発言しているとロイターが伝えている。

Kudrin says U.S. supports Russia WTO, OECD entry
http://www.reuters.com/article/politicsNews/idUSTRE51F1JG20090216


ま、アフガンから核からイラクからカスピ海のガスから、アメリカとロシアはあっちでもこっちでも条件闘争真っ最中なので、ついにはこっちの方までネタにしてきたのか、という感じか。でも、これはロシアの吹っかけだろうとは思うけど、昨年夏のグルジア騒ぎで、アメリカはサポートなんかしない、ぜーったい、みたいに騒ぎ出した経緯があるから、この地点にまで交渉を戻すというのなら有りかなとも思う。


さらに、ウクライナ他東欧勢の状況がゲロゲロに悪い。予想されていたことではあるけど。
でもってここが引き金になると、オーストリアスウェーデン、ドイツ、フランス等々の東欧にお金を貸し込んでいた銀行さんが大変なことになる。

そのためにも、IMFがかんで現実的な線で今後の対応を決定していくのが今求められていることだろう。そこに資金を持っていったナカガワの行動よりも、酔っ払いか、おい、の方に目が向くというのはどうかしている、と読むのが普通じゃまいか?

なんであれ、スキャンダルで足を引っ張って、政権交代へ、ってのが我が方ミンスの戦略とはいえ、あまりにもお寒い。

ま、別に、みっともない格好を見せるのがいいといっているのじゃないよ、中川氏。
ただ、ご飯とか、パーティーとかに普通の飲み物としてワインがあるお土地柄ってか、欧州勢の会議仕様って感じだと思うから、そこで1杯とかちょっととか飲んで、風邪薬とのダブルでへろへろになるってのは普通に想像できる話だと思うけどね。真昼間から酒をあおっていたのか、ってのとはちょっと違うと思う。

ここは苦しいアングロ・アメリカンなのか


中川氏について、みっともない姿を曝す、ってな話の同時期にで、その一方でIMFのストロスカーン専務理事の感謝のセリフがやけに壮大だった。中川叩きはこれとのバランスかなぁとかも思うだすよ。ほんとに。


最大1000億ドルの支援 IMF専務理事「日本、過去に例ない貢献」
http://www.nikkei.co.jp/news/main/20090214AT2C1400114022009.html
日経さんの記事はおとなしいけど、AFPが伝えたところによれば、


Japan signs pact lending 100 billions dlrs to IMF
http://www.google.com/hostednews/afp/article/ALeqM5jROjJUX2J-JDW_29jU1T3M8K8nYg


Strauss-Kahn said: "This commitment is the single-largest supplemental financing contribution by an IMF member country ever, and it clearly demonstrates Japan's leadership and continuing commitment to a multilateral approach to global economic and financial challenges."

日本は過去にない最大の財源を出した、これは世界的な経済危機、金融危機に多国間で取り組むってことについて、日本はリーダーシップがあって、それに継続的にかかわっていく国なんだってことを明白に示したわけですよ、

などと言っている。


これこそすべてのG7諸国よそうあれかし、という事態なわけでしょ。ところが、
現実には、G7は大演技大会になっていて、みんなキレイなことだけ言って終わった。


冷静に考えれば、資源のない私たちは適度な自由貿易と平和こそ自分にとっても利があり、あなたにとっても利があるとホントに信じてます、ってなものの考え方に不思議のない人が多い国なもので、別に不思議なことが起きているわけではないし、このお金の出所が巷間言われているようなドルなのであるのなら、ま、いいかな、だったりする。二国間だと取りはぐれる国に無心される可能性があるならIMFに取り立ててもらう方が全然いいというのも嘘ではない。後者だけでも理由はあるかもしれないぐらいだ。


が、しかし、そういう日本の事情はともかく、総体として、やっぱり、アングロ・アメリカン帝国にしたらこの成り行きはあんまりうれしくはないんだと思うんだが。彼らは、自由貿易こそ命といいながらも、それはそれとして、金融支配こそ我が命だから、そこにしゃしゃり出てこれられるのは気ぃ悪いのじゃないのか。

アメリカなんて、チャイナに気を使って使って、た〜いへんってな時で、自由がないわけだし(水面下の行動はともかく)。


さらには、偶然だろうが、英エコノミストの先週末の記事では、アメの危機の今後の見通しを日本の過去と比較して、日本より悪いかもしれないというタイトルを付け、最後に、成長率の平均が1%、国の債務がGDPの80%とかいう酷い10年というのが日本の結果だったけど、でもアメリカの現状のヤバサからしたら、あれはそんなに悪くなかったんだなって思うようになるかもね、と、と結んでいた。
Worse than Japan?
http://www.economist.com/finance/displaystory.cfm?story_id=13110352


日本の結果が良かったなんていうつもりは私は全然ないけど、でも、今後のアメリカの見通しが急に明るいものになれそうにもないというのも、まぁぶっちゃけそうでしょう・・・。


その上で、アメリカの政治家および各種の記事が、もう何度も何度も、日本は失敗したんです、失敗したんです、だから私たちは失敗しない、と言っている書いている姿というのは、何かこの・・・だ。なんてかこう、私はそこに敵意が見え隠れ、ってのもやっぱり感じてる。彼らは失敗したんです、という時、多分気持ちがいいんだと思うんだもの。


そこに飛んで火にいる夏の中川だったので、得意のじゅうたん爆撃を食らわしたんじゃないのかしら。


そして、ミンスが食いつく、と。食いついてどうするのよ。今ここで財務相交代とか言っている場合なのか??? みんす、何考えてますかぁ? なんてか、ここが政権交代以外何を志向してんのかまったく読めないんですけど。まるで革命騒ぎをしている集団のようだ(現政権を倒せぇ、という勢いはあるがその後どうなるかはわからない)。

Niall Ferguson

好きかどうか、意見に賛同するかどうかは関係なく、ここ数ヶ月のアメリカのメディアで非常に当番回数の多かった人なので、この人、ナイアル・ファーガソン氏は抑えておくべき人じゃまいかとか思うんだけど、日本語で見るものの中に全然出てこないのでちょっとメモがてら整理してみる。


現在売れている、ってか、過去3ヶ月メディア総動員型で出しまくった感のある本が、

The Ascent of Money: A Financial History of the World

The Ascent of Money: A Financial History of the World


この本を元に作成されたテレビ番組も同名で、1月にPBSで放送された。DVDも売ってる。
http://www.pbs.org/wnet/ascentofmoney/


Youtubeにもいっぱい落ちてる。フィルムとしてかなり良くできてると思った。楽しいし、きれいなフィルム。


本とビデオを見た私としては、これはつまりフィルム作成と同時進行でかかれた本だったんだと思う。本の口調が妙に簡単で、妙にわかりやすかったのはそういうことだったのかと後で思った次第。

直訳すれば、マネーの上昇、世界の金融史、ってなことだろうが、要するにマネーの使用量が拡大し、その過程で私たちの生活というのものも変化していったわけですという流れの説明。戦費調達のために債券を発行し出し逆にはそのために戦争を始めてみたり、ミシシッピバブルの様子とか、現在起こっているバブルを驚いているみなさん、私らこんなことしてきてますねん、というのを説き起こしているとも言えるかな。


金融史というより社会学的に興味深いのは、アメリカ(あるいはアングロ・アメリカン)のデモクラシーを、みんなに住宅を取得させて、それで人々をこの社会のステークホルダーにしてきて、もって革命的な動きを防いできたデモクラシーだ(home-owning democracyとか言っている)という指摘か。

1945年以前、世界中のどこでも、特に欧州にあって、大多数の人は自分の住宅なんてありませんでした。大部分の人は借家していたわけです。住宅所有者はお父さんから息子に、政治的特権等の各種特権とともに土地や家屋を譲り渡す、それが普通でした。それが、大恐慌におけるそれらお金持ち階級の没落と共に、低利で長期間のローンを組ませることで、庶民に住宅を取得させるようにしていったわけです。それと同時に、彼らはこの社会のステークホルダーになるわけです。

(欧州でのやり方はアメリカとは違って、国家が住宅を供給するような方法が目立ったが、後になってそれをやめた、と彼は捉えている様子だった。サッチャーアメリカのやり方を取り込んで、イギリス人に住宅取得を推奨したのだ、と言っていた。)

しかし、そこで抜けていた人たちがいます。それが黒人です。居住区のこちら側の白人地域ならローンは可能、こちらは駄目という具合にしてこの流れから黒人は占め出せれていたわけです・・・といった感じ。


で、それが後のサブプライムに繋がっている、とはっきりは言ってなかったと思うけど、そうなんだなぁ・・・と思いなすよう出来てた。


つか、彼に言われなくてもそう語っていた人は多いと思うが、このようなメジャーなお説の流布は初めてであったかと思うし、バークレーかどこかでの公開レクチャーで、この指摘を興味深いですねぇ、とモデレーターが語っていたことが、私には、そっちの方が興味深かった。


で、12月から1月にかけて、ブルームバーグ他、あっちでもこっちでもこの人のインタビューがあったし、大学とかで開かれる公開トークみたいなのも勢力的にやっていた。イギリス人だが(スコットランド人だが)、そもそもハーバードの教授なのでアメリカで活躍するのは不思議ではないんだが。カナダでも、CBC(BBCのカナダ版)でも、The Agenda(議論専門番組?)でも、ビジネス系チャンネルでも出ていた。偶然、見てたんだが、また出た、みたいなもう食傷気味になるほどだった。


何が起こっているのかを北米人に理解させるためのプロジェクト、みたいな感じなのかもしれない。


下のブルームバーグトークがまとまっていたかと思う。40分ぐらい。アメリカ(だけではないが)のある種のトーク番組って時間も長いし、きちんと聞くこと聞くしいいよなぁとかいつも思う。日本だと、こういう放映枠はどこになるの? ケーブルの中にあるのだろうか。よくわからない。

Night Talk: An Interview With Niall Ferguson
http://www.youtube.com/watch?v=HiF1YMpTewE

「自社の危機」なら危惧できる人は大勢いるが

[補足]
この視点、買いだわ、と思ったわ。finalventさんのこの件へのコメント。
http://d.hatena.ne.jp/finalvent/20090217/1234828956

こちらのほうが問題。白川さんについては、いろいろ経済的には言われるけど、まあ、超一流でしょ、だけど、政治家的なというか腹は据わってないよ。彼だけを責めるものではないけど、ああいう場面では大芝居を打って、場をおさめるのが大人というものだよ。

確かに、あの場で、なんかこりゃおかしいと気づいた白川氏が、
well, let me explain, he's not well.... In fact what we focus most is, first and foremost, actually, no doubt...as you know very well, most decisively....

とかとか、決意風の語を好きなだけ並べながら、その間、頭の中で、何をいおっかなぁと整理して、無理やり話を引き取って、自国事情について、多少の飛ばし込みで壮大にぶちまけて、明日のヘッドラインにはこれ書けよ、という風に話しを仕切っていたらこんなことにはなっていなかったでしょう。これは望ましい。すごく望ましい。

しかし、そんなことができた日本人は普通にあまりいない、ってなことを考えると暗いなぁとかも思う。

いやしかし、普通の企業なら多分やってる人いっぱいいると思う。
部長やばし、なんか頭まとまってない、となったら俺が言うという人、いるでしょ?


つまりだ、「自社の危機」なら危惧できる人は大勢いるが、自国の危機だとピンと来ないという人が大勢いることが問題か。

財務省と日銀では立場が違いますから、の先がない、と。一方、財務と営業は違いますからとは普通は他社に対して言わない。なんか面白い。