「テロ支援国家指定」の解除という派手なイベント

北朝鮮が核計画申告 米政府、テロ支援国家指定を解除へ

いや、その象徴的な「テロ支援国家指定」の解除、は、は?という感じか。

申告したら解除になるよ、と向けて、出してきたと同時に、エグゼクティブ・オーダー(大統領指令)で北の脅威を国家非常事態と大統領は考えてます、従って以下に命令します、ともってくるというこの成り行きは、なんかすごいぞと思った。

最終的に財務省に大きな権限を与えて、米国民及び米国内では北と取引できない状況を強化しているわけで、引き続き北にとってよさそうなことは何もないとしか思えない。悪の枢軸と呼ばれないで、地上の楽園と呼ばれるようになったからといって窮乏に変化なし、みたいな。
http://www.whitehouse.gov/news/releases/2008/06/20080626-4.html


テロ支援国家指定」の解除という派手なイベントで、実は地味に締め付けていると私は今時点ではそう思ってるんですけど・・・。なんか日本の新聞読むと自信なくす。後でもう一回見てみる。

現状を変更しないための保険みたいな?


下で、Baatarism さんからコメントをいただいた件で、リンクを生かしたいのでここに書きました。非正規コメントレスになってすんません<Baatarismさん。


英語で読める報道モノにもIEEPAは出てきてないのじゃないかと思います。
また、この特定の法律だけで何かが決まったってことはないから、ご案内の2チャンネルの文章は、大統領命令の中身は訳ですのでそれそのものだと思いますが、スレタイが間際らしいのでは?とか思いました。

各種措置を決めた大統領命令は、IEEPAを含む各種米国法及び憲法によって大統領に与えられた権限に基づいて、俺は宣言します、という構成ですので、この単独の法律によって命令が発せられたわけではないと言っていいかと思います。

各種の法が大統領に与えた権限によって、大統領である俺はこれを国家的非常事態と宣言する、

I hereby declare a national emergency to deal with that threat.

ってのが一応この令の骨子でしょう。

CONTINUING CERTAIN RESTRICTIONS WITH RESPECT TO NORTH KOREA AND ...


で、
議会への通告は、IEEPAに従って行うよ、とあります。テクニカルにこれでしか出せないものなのでしょうか?そのへんはわかりません。

Pursuant to the International Emergency Economic Powers Act, as amended (50 U.S.C. 1701 et seq.) (IEEPA), I hereby report that I have issued an Executive Order c

TO THE CONGRESS OF THE UNITED STATES:
http://www.whitehouse.gov/news/releases/2008/06/20080626-22.html


とりあえず公式に出てるもので私が読めるような範囲で一連の手続きを見るとそういうことになるんじゃないかと思います。


wikiには早速IEEPAによる緊急事態が指定されている国の一覧に北も入っているとありますね。
http://en.wikipedia.org/wiki/International_Emergency_Economic_Powers_Act#cite_note-0


で、なんでこうした文言が出回らないのか。わかりませんが、現状では各種法的な網を勘案してみれば、特に現状変わるところなし=現在の状態は制限下であるという報道が主体となった、ということじゃないでしょうか(そもそもテクニカルには交戦状態ですし)。

で、そこからこれをアメリカ人の大好きなフレームワークを作った交渉のステップ1完了だと考える人もいれば、譲歩してどうすると怒る人もいる、でので、そのアメリカサイドの決着は議会に投げられているというのもかなり興味深い(大雑把に、民主はブッシュその通りといわねばならない、とかいうのもどうするの、とか)。


同日の朝鮮日報の記事が比較的まとまってると思いました。「実際問題として北朝鮮はこれら二つの措置以外にも、国連や米国からさまざまな制裁を受けている。」と正しくも見てるようです。

核問題:北への制裁、今後はどうなる?(下)
http://www.chosunonline.com/article/20080627000018

 米国は主に冷戦時代に制定された対北朝鮮制裁措置を、今も二重三重に維持している。米国商務省は輸出管理法により、人道物資を除く北朝鮮への輸出を統制している。武器輸出統制法では北朝鮮との防衛関連物資の取引を禁じている。また対外援助法は北朝鮮への援助を制限しており、北朝鮮に対する最恵国待遇を行うことを禁じている。輸出入銀行法北朝鮮との金融取引を制限している。それ以外にも国務省は国連駐在の北朝鮮外交官の活動範囲を制限しており、ニューヨーク近郊から出る際には許可を受けなければならないのも制裁の一環だ。その結果、実質的に北朝鮮が受ける恩恵は、北朝鮮が期待するほど大きくはないとの分析もある。


個人的には、通商関係でタックスにfavor、恩恵が掛けられるような状態にならない限り、後発の国は貿易的に生き残っていけないわけで、そうなる見込みがない限り復興目当てに投資資金を入れるような人たちもいないだろう、とか思うんですけど、どうでしょう。世界銀行からの資金を得られる可能性ができた、とか言ってる人たちが世界中にいるらしいんですけど、よしんば米国の金融制裁を回避できたしとしても、その先で一体何をするのよ、としか見えない。

現状では、何かが北にとって有利に見えても、直ちに馬鹿でかい関税とか課金とか掛けられたら結果的に正常な発展は見込めないでしょう。ま、脅しとリワードしか頭にないままどこまで行けるのか、が現状の焦点ではありますけど。

 とりあえず、お手並み拝見ですかね


とりあえず45日間、お手並み拝見ですね、何してきますか金体制、としかいいようがないですね。

でも、昨日と今日で変わりはない、というのは少し違うと思う。
昨日までのプログラムもなかなか充実だったが、今回は、例えば慢性的なDV中年男が直る気があるのかどうか、社会適応できるようになりたいのかどうかを質して、その気があるならまずお前が出て来いと言って出てこさせた、という点で、一応、一歩達成なんだろうと思う。

ただし、このやり方、なんか北米で見る諸々のソーシャルプログラムみたいだよなぁ的なやり方が果たして北に効くの、ねぇ、というのは別問題なわけで、その中の懐疑派中の懐疑派としての日本の存在感を示すというのは必要だと思う。


日経社説 米政府は北のテロ国家解除を再考せよ
http://www.nikkei.co.jp/news/shasetsu/20080626AS1K2600126062008.html

ブッシュ政権の任期切れが近いのを北朝鮮が計算しているのは明らかである。私たちはブッシュ大統領に問いたい。あなたは太平洋の対岸にある最も重要な同盟国を失うきっかけとなる決定をした大統領として歴史に名を刻みたいのですか、と。

自分たちの主張としてちゃんと言えていて、とてもいいと思った。
ただ、この話は、突き詰めれば、だったら、何年も前に日本が特殊部隊作って北と戦闘に入るしかない事例だとも言えるからね。
(自分で行けばいいんじゃないの、日本ってば、というのがむしろ素の世界市民的反応だと思うことがしばしばある。日本大きいんだし、と)。

だから、米の対応いかんではそれもありというオプションを私たちは引き受ける必要があるし、時々、そういう論が出回ることも必要だと思う。同盟国間の緊張を維持するためにも、だし、実際私たちの主張の拠り所、落としどころを担保するのは自分たちしかいないんだし。


蛇足ながら、しかし、やり方、フレームワークは確かにソーシャルプログラムみたいにゆるいけど、でも、ブッシュが言ったのは、チャンスはやる、でもそれで改心しなかったら俺は知らんよ、だったと思う。ジョージ、すっきりしてるよな、みたいな。

 「昔の日本人がスゴすぎる件について」


標題のリンクを、Baatarismのページにあったブックマークで発見しました。た、隊長、こ、これは・・・と一瞬引いてしまいますが面白いですよね、ほんと、というのが本音。


以下のリンクにはエログロが含まれていますので、閲覧注意です。
http://waranote.blog76.fc2.com/blog-entry-1190.html


で、この江戸時代の凄すぎる浮世絵についての様々なコメントの中に、外人にみせてー、というのがあってふと思い出しました。

既に、展覧会やってましたっすよ。去年の7月に、トロントにある、その名も立派、建物も新装なってさらに立派になった(私にはこの建物は不評ですが)、ロイヤルオンタリオ博物館で。ただし、鈴木春信とかの若干おとなしめ(?)なやつが多かったと思いますが・・・。


会場内に妙な沈黙が流れてました(笑)。だって、こんな展覧会だって一言も書いてないんだもの。だもんで、そこには小学生がいました・・・。

日系人じゃなくて、おそらく日本人の駐在員の奥さんと小学校4年か5年ぐらいの女のお子さんではないかと推測される人たちだったんですが、おかーさん、一枚の絵を覗き込み立ち止まり無言、そのままそそくさとエロ系じゃない浮世絵(壁展示は概ね風景とか普通の人とかだった)をなでるように目線が動き、つつーっと早送りのようにさらさらっと壁のものを眺めて、何事もなく通路に向かうの図を後ろから見てしまいました。

あれは博物館側の落ち度だと思う。困りすぎ。