インフルエンザについて@カナダ雑記


とか呑気に、カナダの去り行く冬を楽しんでいたら(あはは)、インフルエンザ問題で、1年間の語学留学を中止すべきか否かで迷ってらっしゃる方の質問を見かけた。ご両親が、カナダで感染者が出ていることを受けて、中止しなさいとおっしゃっているとの由。

http://oshiete1.goo.ne.jp/qa4927196.html


心配ですよね、やっぱり。ここはSARSである種ミソがついてますから、世界的な悪評もあるし。


どうなんだろうなぁと心配しつつ、ちょっと、もしカナダにいらっしゃる方とかカナダの情報をという方がいらしたらと思って以下思いつくまま書いてみます。


(一般的な情報の取り方)

・カナダはいささか広く、かつ、アメリカと同様州の権力が大きく、かつ、保健行政は州の管轄なので、まずどこの街に行くのかを考えてから情報を取らないと、必要な情報に至るのが大変、ってことになりがち。(全体のニュースを書きたいというのでない限り、連邦=国レベルの話は日常には役に立たない)


・一般的には、市のレベルでの発表を見るのが一番役に立つと思う。そこには、州、連邦での決定等が反映されているはずなので、必要ならそこから遡るのが効率的。


・同様に、日本の在外公館に関しても、在カナダの大使館情報というのではなく、例えば、トロント総領事館の情報を得るよう心がけける(今回も、在留者向けのメールが発信されていた。在留する場合には、登録しておくのが吉です)。


とりあえず現状は、

在カナダ日本大使館
感染症危険情報
http://www.anzen.mofa.go.jp/kaian_search/sars.asp


オンタリオ州保健省の豚インフルエンザ対応サイト

トロントのあるオンタリオ州では、5月3日(土)午後3時現在の感染者数は14人。
http://www.health.gov.on.ca/english/public/updates/archives/hu_09/swine_flu.html


報道によればいずれの症状は軽く自宅療養で回復に向かっているようだ。
ちなみに、パニック的な感じはこれまでのところまったくなし。各種行政機関はモニターしてます、って感じで、あと、情報の出方を見る限り、現在従来の対策の見直し中ってところかなと思う。


以下はインフルエンザまわりでカナダを評価するならどうなるかなぁと思いつきメモ。


(カナダ・良い情報)

SARSで悪評のついたカナダですが、カナダの一般的な医療水準が低いという話は聞いたことはない。


(カナダ・悪い情報)

ただし、これが日常の、お医者さんとのお付き合いとなると話は別で、日本のように街角にふらっと医者の看板があがっているという状況はほとんど期待できない。医者が足りてない。だから、お金は旅行保険があるからOKですぐに医者に飛び込みたい、と思っても簡単に飛び込めないケースが予想できます。居住民でも万一のためには自分で探してどう行動するかを決めておく必要がある。


(カナダ・良い情報)
にもかかわらず、これを悪い情報におかないのは、今回はインフルエンザの拡大防止が対象なので、こういういわゆる法定伝染病みたいな話になると、医療そのものというより、医療行政がどのぐらい効率的に人々を統括できるか、にかかっているだろうと思えるからで、その点に関してカナダは悪い位置にはいないだろうと思う。医療行政は、自由主義的世界というより社会主義的だから。

もし拡大を深刻に懸念するような事態になった場合には、各市の単位で、恐らく、簡単に、誰にでもわかるように(常に居住民想定者の知的レベル見積もりを低くして書く、話す、宣言するのがカナダ的)、どうしたらいいのかの仕組みが作られると予想できる。


さらに、拡大防止に際して効があるだろうと予想できるものがもう一つある。それは、居住者は全員健康保険システム内に組み込まれているので、怪しいかなと思ったら医療施設に行くといった行動様式がある程度確保されている点。医療行政と一般人の間の垣根が低い。


(カナダ・悪い情報)

しかし、一方で、居住民以外の滞在者もいるわけで、その人たちをどう感染拡大防止に取り込むかは一つの懸念材料かもしれない。おそらく、もし深刻な話になれば、どうでもいいから保健省に電話しろ、ヘルスケアセンターに来い、という話になるとは思うが・・・。


(カナダ・ニュートラル情報)

今回のじゃなくて、いわゆる季節的インフルエンザというやつで、
カナダでは平均して、毎年2万人がインフルエンザで入院して、4000人が亡くなっているのだそうだ。
http://www.phac-aspc.gc.ca/im/2007/index-eng.html


米国では、CDCによれば、米国では毎年、平均して、
・5〜20%の人口がインフルエンザに罹患し、
・インフルエンザ関連の合併症で20万人が入院し、
・インフルエンザ関連で3万6千人が死亡している

のだそうだ。
http://www.cdc.gov/flu/keyfacts.htm


関連という範囲が曖昧だという感じがなくはないが、とりあえず米とカナダの人口差が8倍ぐらいだから数値的には、似た定義を使っているのかなと見えなくもない。でも、カナダの死亡率が有意どころでないほどデカイ気がする。これって、ほんとに比較可能な数値なんだろうか? 




とかとか、考えて、どうでしょうねぇ。総合評価としてこれから1年間カナダで暮らそうという場合のリスクをどのぐらい見積もるか(勝手に見積もってますが)。


インフルエンザは常にあるものだと腹をくくるってのもありだとは思う。その流れで対応も結構普通に良好である確率は高いだろうというのはメリット。けど、そうはいっても、誰でも知ってるこのうんざりするほどの気候の悪さを無視するというのは、やっぱりまずいかなぁ。
他のすべてが良好でも、この気候が持つ悪い方向へのポテンシャリティは大きいといわざるを得ない。


そもそも、こんなことが起きていなくても、居住者として、とてもじゃないが、身体の弱い人に向かって冬に遊びに来てくれとは言えないもの。私らが真冬になるとメキシコ他カリブ海方面に避寒に出ようとしてる。

ただ寒いだけじゃなく、長いので2月頃になると、一回はどこかに出て切らないと気が触れそうになるという感覚は実際あって、ここで体力、気力が落ちる可能性は否定できない。これはリスクだす。

2年目になると楽になるし、5年たつと身体も慣れるし、着る物の着方もわかってくるし、身体にスケジュールが染み付くから、あと1ヶ月もすればとか思いながらやり過ごせるけど、1年目はこれがないから辛いはず。


う〜ん、私は今年は勧められないかなぁとしか結論できないかも・・・。カナダの旅行とか外交とかの当局者に怒られそうだけど。


もしどうしてもというのなら、

1・旅行者保険には必ず入る(これは普通でもマストだが)
2・具合が悪くなった時に、どこにどう連絡するか、どうやって医者を見つけるのか、医者でなんて言う、サポートは誰がする、を含めた行動計画を、1が駄目なら2、2が駄目なら3といった具合に弾力性のあるものにして持つ、
3・退屈したらどうするか、のプランを考えておく。休校やら体調懸念から人々が外で遊ばなくなった時、1人でできる何かがないと辛くなるから。


ってのが必要かなと思う。


ロシアの話を見るたび、地理には勝てんよなぁと思い、今度は気候には勝てないとかいう私は、すっかり自然環境敗北派になっているのだろうか。