世界の真ん中で打ち上げる

一方で、地球の反対側では、NATOの60周年記念行事が盛大に執り行われた。盛大にというより、もう、これでもかというほどに美辞麗句を並べていた。


前回G20が、メディアによって壮大にバブル的に演出されていたと書いたけど、その翌日のNATOの60周年記念も同様に、いや、それ以上に壮大にバブル的だったという印象を持たざるを得なかった。


史上最も成功した軍事同盟だ、とか言ってる首脳がいたが、う〜ん、これって、どういう意味なんでしょう? いや、ソ連邦崩壊の時点でこういう祝辞を述べて、みんなでご祝儀気分で美辞麗句を並べてNATOを見送るというのもあったと思うんだが、今そう来られると、かねてから問題視されているNATOの存在意義を具体例で誰の目にもあきらかなように語れなくなったので美辞麗句でアイコン化しちゃった、だったりして、と、逆に危惧を抱く。


実際、そんなことを言っていたにもかかわらず、結果として、欧州各国からのアフガン支援に目覚しい変化があったわけではなく、いつものように戦闘以外の支援ならいいけど・・・から特に変化はないようだ。会議は踊るこそ欧州の真骨頂と欧州勢を責めてみたい気もするが、でも、実際問題、アフガニスタンにおける勝利とはなんぞやが見えない状況で全力でコミットするわけにもいかず各国を責めるのも難しい。そして、欧州各国は、チャイナとは違って、まったく残念なことに選挙にある民主主義国なので、国民的に不評の極みにあるアフガン作戦を拡大できるわけもない。


それはともかく、ここ数日オバマの欧州歴訪のため、オバマのいくところにはどこでもフォーカスがあたり、そのせいでNATOにも常ならぬメディアの光があたっていたわけだが、北朝鮮がミサイルだかロケットだかを打ち上げたのは時間的にそのど真ん中だった。世界の真ん中で、ミサイルを打ち上げる、っていうなかなか華々しいことをしていた。


折からイランがバイヤーだと言われている中で、北がこのタイミングを選んだ理由は何なんでしょうね。ピョンヤンに聞いてみないとわかんないけど。

誰が一体このスケジュールを組んだのか知らないけど、いずれにしても、北朝鮮とイランの問題を米が中心になって同じフェーズで片付けていくってか、進行させていくって感じなのかな。


米の21世紀は、直接働くんじゃなくて、ある種メタフィジカルなコントロールを目標としてるんだと思うので、まぁ納得はする。つまり、表面は負けてても、OS俺のだしという体制で行きたいと。しかし、実際の戦闘=本当の人相手をどう制していいかわからないのは以後も続く、になるんだろうなぁ・・・。で、この頭でっかちのおかげでエライ騒ぎが起きたりするんだろうかというのが今後の焦点のような。


なんにしても、何ひとつ具体的な策が見えたわけでも変化があったわけでもないのに、ここまで話を大きくして、あたかも世の中変わったかのような印象気分で毎日報道できるCNNがきもすぎる。

根拠なき熱狂その2だと思う。


(手短に説明すると、オバマという黒人系の大統領が生まれた、それはすばらしい、という話を、世界中のすべての人にとっての光明だといわんばかりの態度で来る。しかも、それがかなり「素」でやってることがしばしばある。なぜなら、その興奮を伝えるキャスターが黒人系だから彼彼女にとってそれは本当だから。で、アメリカの一般事象として、それについてネガティブなことはまず普通言えないので、みんな、そうだね、と言う、と。

白人でない私と私の友達の感想としては、いいですか、私のような黒人でも大統領になれるんですよ、とオバマが示唆し、婦人が、いいですか、個人が努力すれば栄光に手が届くんですよ、私だって昔はあなたたちと同じ普通の子どもだったのよ、みたいなことを言う、という話の前提にあるものは、あくまで米国の恥部であって、その他世界に関係ないだろう、といのを完全に無視しまくっているというのが、アメリカの根本的な傲慢さというべき、という感じ。

なぜなら、つい50年まえまで殆どまったく当たり前に、さらには事実上リーガルに自国内に建国以来いた人たちを差別してきながら、外に向かっては自分たちを自由世界のリーダーとか言ってきた国はアメリカ以外にはない。それは、その他の世界の国々には関係ない。だから、自国の恥さらしを解消したかったら、まずは自国の問題として取り上げろ、だから。ハネムーン期間の終わりと共にさすがに国内でも飽きられると思うんだが、どうでしょう。)