内も外も現実離れしてる


言論の精度があがらないものでこうなるのかな、と。


【主張】米露外相会談 各論で問われる協力関係
http://sankei.jp.msn.com/world/europe/090308/erp0903080324001-n1.htm


朝日は朝日で、産経は産経で頭の中が1975年ぐらいで固まってる。むしろ感心した。なつめろ?

 米露は各4000−5000発以上の核弾頭を擁している。クリントン長官が「最優先課題」とする新条約でこれを大幅に削減できれば、他の核保有国への模範となる。来年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議への波及効果も望まれ、北朝鮮やイランの核開発問題への説得力も増すだろう。

核弾頭の削減もいいけど、今回、米ロの外相会談が大きく取りあげられて(クリントンとラブロフの冗談みたいなリセット間違い問題のシーンが繰り返し流れていた)、それが明るく好意的な感じで推移していたことの効果、あるいはそれが狙いかもしれないが、それはロシアと米が共同で核管理に帰ってきましたということじゃないのかと思う。あと、去年の夏ごろペンディングになっていた廃棄物プロジェクトを含む廃棄物、再生のスキームと管理かしら、と思う。

その方が全体の安全にとって良いだろうと私は思うが。どうなるかわからないけど。

 ロシアはグルジアウクライナNATO加盟を妨害し、イランのミサイル脅威に備えるポーランドチェコへのMD配備にも強硬に反対している。キルギスなど中央アジアから駐留米軍を締め出す動きも進んでいる。こうした背景には、旧ソ連地域への「勢力圏」再興を狙うロシアの戦略的意図があるとみられている。


ポーランド人とかチェックは、イランのミサイル脅威におびえたりしてないと思う。本人たちもこんなことを書かれたらこそばゆいと思う。国内では、ロシアに対するという意識で固まってたんだし。

第一、イランがチェコとかポーランドを狙う動機がなさすぎる(笑)。

で、ポーランドは、MD配備の際に、パトリオット配備の条件もつけてて、前者が落ちても後者は残る契約らしいので、結構これは読んでいたのかもしれない。チェックは、MDのレーダーでもなんでも、それよりも彼らは米軍施設を作って駐留してほしい、つまり米のプレゼンスが欲しいらしいので、むしろ根深いEU不信と見るべきではなかろうか・・・。ちょっと不明だがそもそもユーロ懐疑派だし。

これに対してオバマ政権は「勢力圏の考えは容認しない」としている。資源や軍事力で近隣を威圧する時代は終わり、自由や民主主義に基づく主権国家の選択を尊重するのが米外交の基本原則といっていい。欧州では長い間、大国の横暴や妥協で小国がしわ寄せを受けてきた。そうした歴史をロシアはよく考える必要がある。

言わないであげて、アメリカのために。
今ね、自由や民主主義に基づくという話をしづらいの。チャイナを刺激するのがイヤだから。そして、比較問題として自力がないわけではない欧州なんかよりもっと酷い、スーダンすら何もできないの。

その上、アメリカもイギリスも他国に先んじて、経済の局面で、社会主義化ですかとの疑義をかわせない状況にあるから。


あと、欧州では長い間、大国の横暴や妥協で小国がしわ寄せを受けてきた、というのをロシアにだけ向けるというのは相当妙だ。20歳ぐらいの人が昨日1冊だけ本を読んで書くのならこうなるのも仕方がないと思うが、欧州の近代史って別に冷戦だけじゃない。


むしろ今だに解けない呪縛みたいなものは、ハプスブルグ、オットマン、ロマノフロシアをあっさり倒したはいいけど・・・ではなかろうか。ある意味でユダヤ問題もここに含まれるだろうし。


同時に、欧州は大国同士が時に小国を使って仕掛けあうことに躊躇がなかった歴史が長い。小国もまたコマになろうともそれを利用しようという意識がある。その結果が大きな破壊に結びつく可能性は今も否定できない、という点が欧州人及び少数のアメリカ人、カナダ人をおびえさせている、今日の問題の根底ではなかろうか。ポーランドはその代表例、と。

で、再度そうならないようにするにはどうしたらいいのかの一つの提案としてEUというものがあるのではなかろうか。さらに、その過去を考えれば、小国を乗せないよう注意を払うという対応も歴史の故だっただろう(例:グルジア)。


さらに、ポーランドを含む東欧諸国は1945年以来ソ連に蹂躙されたというのは事実だが、ヤルタ会談の取り決めはソ連の単独ではないという点をポーランド人をはじめとする東欧諸国民が知らないわけではないですよ。つまり、米+英とソまたはロシアの両方の側に、潜在的な不信感はあるわけです。ただ、現状は直近のソ連またはロシアへの苦情が優先されているだけで。


また、小国とか書くけど、ポーランドは別におとなしい小国ではなく、ロシアの革命からいくばくもない1919年には、その混乱のロシアに攻め入って、ウクライナあたりをかき混ぜたという、ある意味で非常にお騒がせな人々でもあるわけです。大国意識が非常に強いから。その意味で、ロシアがポーランドを直接に、まはたウクライナ経由で警戒したくなっても不思議はない。この間会った、ウクライナ人も、ロシア嫌いなのにもかかわらず、ポーランドの過去には批判的だった。つか、この両国民も実際にはそれほど仲が良い訳ではない。言葉似てるけど。

また、ポーランドにはチェコ(+スロバキア)に対してはナチみたいな真似をして顰蹙を買った歴史もあるし、敗戦時のドイツ居住民の「排斥」問題は今でもまだ尾を引いている。多分、悪くすると今年もう一回問題になる可能性がある。メルケル大変かも。

このへんを無視して、彼らを小国扱いするというのは全体のピクチャーを見たときに、実際には、混乱要因を煽る可能性もあると思う。