民主主義:いじましさか戦いか

コンピュータが壊れた。信じられないことだが物理的に壊れた。ショートしたっぽい。予兆はあった。無視した私が悪かった。そうだ私が悪いんだ。もうーー。

原因なんかどうでもいい。ともかくコンピュータというかネットというか通信というかを通常通り使えるようにともあれ対策した。何かあったときのためにスタンドアローンにしてた予備というかプライベートというかのコンピュータにネットワーク環境構築。ああ、面倒くさあああ。日本に帰りたい。今年はどのみち撤退を狙っているところなので、もう、明日にでもそうしたくなる心境でいっぱい。

って帰ったからといってトラブルが発生しないわけでもないだろうが、なにかなぁ、どうしても私はここの地の電力供給環境に著しい不審を抱いているもので(まじで、こんな大都会の真ん中なんだが、供給電力に波がある。時々暗くなる)、つい、ここにも何がしかの原因があるはずだといいたくなる感情が露出する。違うって。いやしかし、夜だろうが昼だろうが寒い日だろうが暑い日だろうが、ふいに電気(明かり)が暗くなるなんてことのない世界が世の中にはあるのだと知らない人にとっては、私の苦情は冗談にもまったく伝わらない。日本って、ほんとにいい国。

と、それはともかく、


「小沢氏は献金早く返すべき」 民主・鳩山氏
http://www.nikkei.co.jp/news/seiji/20090305AT3S0402L04032009.html


このいじましさはなんだろう。心理的には喧騒の最中でばたばたしていたので、気が抜けるほどに上品だわ。


カナダも比較相対的には「いじましい」国でもあると思うけど(比較対象はチャイナとかロシアとかアフリカ諸国とかとか)、それにしても、こういう感じじゃないんだよなぁとは思う。

何が違うか。たぶん、1)ともあれ遡上にあがった人には存分に言わせる、という慣行があるか否か、2)政治献金について厳しいようでいてどこか・・・まぁそれはそれとしてという暗黙の風土があるか否か、という点による違いかなど思う。

1)については、日本の場合は一旦拘束でもされようなら直ちに悪人という「おもいなし」が非常に強いと思う。拘束されたとしても、弁護士を通じて外の世界と完全に遮断されるわけではないというコンセンサスがないというか。

だもんで、ぽっぽ兄みたいに、

小沢氏は違法性が確定すれば返却する考えを示しているが、前倒しすべきだとの認識を示したものだ。

これが意味するところは、まず謝っておけ、なんだろし、政治団体幹部としてはわからんでもないが、でも日本の議会制民主主義の将来を非常に心配されているやに聞く党であるならば、ここは一番、いわせるだけいわせる、という態度を取っていただくのもいいのではないかと愚考しますぜ、ぽっぽ兄さん。

問題となる違法性について、人々の注目をあびながら=人々の理解の助けとなるようにしながら、展開するというのは良いことだと思う。可及的速やかにやらないと誰かが身体的に苦しむとかいう話でもないからちょうどいい。がんばってくれないかな。

どこに解釈の違いがあるのか、あるいはどこに問題点があるのかを双方が語る場というのはとても大事ですよ。


2つめは、献金というものについて、か。
カナダの基本は個人献金と政府からの政治資金の給付。後者は日本と同様。前者は免税になるので利用する人とかもいる。でも足らないから後者になっているので個人献金がそれほど潤沢という状況ではないと思う。どこかで読んだような気もするが該当する資料がないので、多分。


で、このへんの部分だけ見ると比較的きれいに動いている社会には見える。あんまり問題のある国とは通常扱われないし。
が、しかし、アメリカ、イギリスがそうであるようにここらは、非常にたくさんのロビイストとそれに連なるなんだかかんだかのシンクタンクなるものがあるわけです。ということは、そこの資金は大きく見過ごされているわけですね。でもって、ロビーするとはつまり、主張者の側に利益を呼び込もうという活動なわけだから、これってさぁ・・・・なわけです。

大企業だけの政治資金を厳しく追求しようという気にはならないのは(そういう人もいるけど)、大企業は普通なんらかのシンクタンクとか団体とかにお金を出して、そこは非難されるどころか歓迎される。で、そこが政治的に動くかどうかは、そう見えるかどうかぐらいの意味しかないでしょう。つまり、ある意味マネーロンダリングと似た世界じゃないですかね。

それよりも、むしろ、組合とかメディアとかが著しくリベラル、NDPに偏向している現状が目立つのがカナダなのだが、一般に、それには反対だという傾向が看守されるビジネス界の影にまわっていると言われる強さというのは、このメディアスクラムの強さとバランスしているんだろうなどとも言えるかと思う。つまり、どっちもどっち、と。


で、お金にからんだスキャンダルというのは勿論あるんだけど、政治資金の仕方が違法である、だけで騒ぎになるんだろうか?? 具体的にその資金により公金が著しく納税者の不利益になるような使われ方をした、という設問がきてはじめて、なんだこのぉお、になるんじゃないかと思う。

考え方として、納税者(つまり普通の人)は、自分たちが損になる話しには食いつくが、得してるならどうでもいい、という感じが基本ではないかと思う。

昨今もアメリカの閣僚候補が何人か脱税であげられていたけど、いずれも実はたいした額でなかった。が、しかし、この社会にあっては脱税こそ犯罪の王様という感じなんだと思う。これは、上の基本から考えればわかるだろう。俺も払いたくないのに払ってる、それを抜けるというのは許せない。彼らにとってはこここそ公共生活の根幹にかかわる道徳なんだろうと思うんだ。(対比でいえば、金出したい奴には出させておけ、かもしれない)


そこから考えた時、小沢氏がもらったとされるお金は公金支出とどんな関係があったのかに、これまでのところあまりフォーカスがいっていないように見える日本というのは、なんて「きれい」好き、なんていじましいのだろうかという感想を持つ。いいんだか悪いんだかな・・・。


ま、小沢氏の場合、問題はそのお金の使い方だとか思ってみている人はあまりいないですよね、きっと。彼本人のプレゼンスこそが問題という話だと思ってみてるっす。で、それはそれで理解するんだが、でも、こういう具合に、悪者を顕在化するためになんらかの違法行為を使うという構図はなぁ、議会制民主主義の将来にとってはあまり良いことには思えない。

いやしかし、そんなことを考える私こそが、「きれい」な日本のおばさんなのかもしれない。
だって、そういうバトル、人殺し以外は何やってもいいみたいなバトルもまた議会制民主主義のコストでもあるから。ここの議会のわめき方を見てると、日本の議会が儀式に見える。これはアメリカ人が驚くイギリス流。