グローバリズム的心情の完全撤退だろうか

なにこのブロガーみたいな記事とか思ったりもする。まとめすぎと思う。

ロシア、旧ソ連圏囲い込み 安全保障体制を再構築
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20090205AT2M0403M04022009.html

 【モスクワ=古川英治】ロシアが旧ソ連圏で安全保障体制の再構築に動き出した。中央アジアキルギスには同国にある米軍基地の閉鎖に踏み切らせ、ベラルーシとは対空防衛協定を締結した。4日には親ロ7カ国による集団安全保障条約機構(CSTO)合同部隊の創設を決めた。地域での主導権を固め、アフガニスタンを巡る軍事作戦への協力を対米交渉カードにする思惑がある。


ロが周辺国を影響下とみなしていくからね、とはメドベージェフが昨年言っていたことと調和しているから、それほど驚くことじゃないと思う。方向性としては。


しかし問題は、アメだす。アメダスみたいだが。

昨年末ぐらいだったと思うけど、キルギスが米基地使用を認めないといいだすのじゃないかというニュースが流れていて、でも、中央アジアの米の基地はキルギスのマナスしかないから、アフガンに増派、増強を言うオバマ氏、どうするよ、となっていた。

その後、米ペトラウス大将が中央アジア諸国をめぐって、そこでキルギス問題が浮上しているようには見えなかったので話し合いがうまくいっていたのかと私は思った。この人徳のある大将ががんばっていることだし、とかいう感情的なものも手伝ってそう見えた部分もあるが。


が、突然昨日になって、キルギスが米軍基地閉鎖をモスクワで宣言というニュースが飛び込む。
さらに、ロシアはキルギスに大金のプロジェクト援助をするというディールを出したぁああああというニュースが来る。

一方アメは、基地使用料を値上げしていたし、最初に基地を作る時にも各種プロジェクトを用意していたと思う。で、この基地使用料のキルギス予算に占める割合が7%だったかそこらで、結構な額だ、キルギスは経済悪い、抜けられないよな、大丈夫大丈夫、みたいなことも前に読んだ。


しかしそうはいかず・・・。しかも、キルギスの発表ニュースが出てからしばらくは、米の現地の大使館やら基地やらは、そんなの聞いてない的発言をしていて、なんか、ひょっとして混乱してますか??だった。


これは、なんてか、米の中央アジアのハンドリング部隊のミスなんじゃないですかね。
てか、防ぎようがなかった、で済むならそれはそれでじゃあ別のアフガンプランがあるということでいいんだが、もし違うのだったら、やっぱり、どうあれがっちり掴んでおかなくちゃならなかったのじゃないの??


イランの人工衛星打ち上げニュースの直後ということもあるし、実際、中央アジアからカスピ海黒海が動きまくっているというのもそうだと思うが、米がどれだけ中央アジアの今般のアフガン増派を重視してるかという姿勢も問われていたと思うなぁ。


率直にいって、中央アジアはロシア語圏だ、中央アジアは東・南アジアにはない、しかもイスラムワールド関係者だ、という点で、米にとってはアプローチが難しいとも思うが。


なんとなく、去年から「冷戦」みたいな線を顕著にしてしまったことが結構分水嶺だったかなぁとか思う。


つまり、これによって、2001年以降、あるいはソ連崩壊以降なんとなく、米を中心にしつつ世界中が同じことに関心を向け、みたいな、要するに「グローバリズム」という看板の下にあったトーンが崩壊したと思う。同じ関心というのが対テロ戦争という、敵を必要とするものだったとしても、その敵は、どこか特定の国家というのじゃなくて、テロリストのことで、これは誰にとっても良くないと言うことができた(つか、今でもそうなんだが)。


しかし、冷戦ワードが揃うに従い、人々の気持ちというか構えは、すっかり、各国の利害による衝突は避けられないとなっていったのじゃまいか。そうなると、これら中心にあるのに大国の周辺とみなされる国々にとって、世界との協調みたいな姿勢が遠のき、さらに、アングロ・アメリカン帝国(と、ナイアル・ファーガソンが最近本だのテレビ番組やら講演だのを通じてアメリカでしつこく言いまくっている)に着いていくベネフィットが減少する。

そもそも、内陸国にしてみれば、ロシア、チャイナがいる限り別に親方にも市場にも困ることもないわけだし(経済効率その他は無視するとして)、その2者は地続きの怖い知り合いなのでどうあれ今後も存続するので無視できない。


さらに、あやふやなイメージで言うけど、南とか東アジアの、結論から言えばアングロ・アメリカン帝国(byナイアル・ファーガソン)が得意としてきた、海に面したところで、そもそも自由貿易にフレンドリーな国と内陸じゃ、求められる、提示される将来展望みたいなのも違うってのもあるような気がする。パイプライン時代と鉄道時代は似てるってな話と脈は一緒。


で、こっち方面は最初から宛てにしてなくて、イランとの融和によってアフガンミッションを成功させるっていう見方もあるらしい。


人工衛星はなんかあんまり大した話には見えないんだが、そうはいっても、

【ベルリン=赤川省吾】国連安全保障理事会の5常任理事国とドイツの6カ国は4日、独中部のウィースバーデンでイランの核開発問題を巡る高官会合を開き、共同声明を発表した。「オバマ米大統領のイランとの対話姿勢を歓迎する」としたうえで、「国際原子力機関IAEA)に完全に協力するように求める」と強調。当面は外交交渉による解決を図る方針を示した。

http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20090205AT2M0403L04022009.html


イランと対話してというけど、するとなると、再び、過去のアメリカによるイランでの諸々を謝ってね、ってなイランのリクエストが問題になるのだろうか。さすがにそれはできない、お前だってこう、じゃあこれはいい、駄目、とかとかの条件闘争を水面下で交渉して、それが上手くいかないので、そいじゃ、と、目くばせしたらキルギスが基地を閉じると言っている、とかだったら面白いなとも思う。勝手な想像だが。


なんのかんのと理想主義的な勢いが強いアメリカ国内で(しかも心情的に不安な)、リアリストが掌握できるのかっていうのも問題くさい。



なんにしても、突発的にへんなことが起こって、思いもかけないことになるとかいうのは簡便して欲しい。そうでなくても、なんだか1914年的なのに。