おそロシア?


しかも、悪いことに、そうなった時には、ロシアにとってのウクライナ戦略的価値が低減している可能性だってあるのじゃまいかというのがウクライナにとって問題で、その他世界の人間としては、こんなの、大丈夫、おそロシアじゃないの?など思う。

例えば、昔っからロシア、ソ連黒海艦隊といえばそこ、の、セバストーポリは大事だとしても、問題はそこが欲しいっていう話じゃなくて、問題は、ロシア領から黒海に出て、ボスポラスさえ問題なく通過できればいいわけでしょ? 別に黒海だけをがめても仕方ない。

で、現在トルコがフリーハンドなのでここはクリアされているし、その先にシリアに海軍基地があって、そこから地中海艦隊とかを動かせるんだったら、既にセバストーポリの価値は減ってないのか??? パイプラインっつてもなぁ・・・だし。


もちろん、穀物地帯のウクライナが俺んちにあるといいなとは思うだろうが、それも、買えばいい。これまでは、かなりしばしば、親戚特別価格で交渉したり、結構なあなぁで支援がわりにそのままになるとか、あと、ソ連自体は物々交換がよくあったらしいじゃない。でも、生まれ変わったロシアは、資本主義的商取引にまい進しているもんで、売買できる間柄ならそれでいいわけですよ、となったら・・・。ガス代金を、近隣特別価格でなくしようとしているという意図は、つまり、そういう関係になるという意味を少なくとも含むでしょう。が、ウクライナにはそれがわからないように見える・・・。


つまり、総じていえば、ウクライナ問題というのをフィーチャーしつつ、あたかもロシアは大事な部分を取られて苦闘していると表出しつつ、本質的に重要なところはしっかり抑えて、最終的に、その戦略的価値とやらで舞い上がったウクライナがバブルに沸いた結果として、現在の金融・通貨危機に陥り、そのツケはEUに跳ね返る、という仕組みだったのか? 

ロシアはウクライナとの交渉で、債務が返済できなければ同国が所有する幹線パイプラインの権益をガスプロムに譲るよう要求しているもよう。

http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20081219AT2M1804F18122008.html


と日経さんが書いているけど、多分これ、ロシアにとっては後者はそんなに大事だろうか? 短期的にはどっちでもいいのじゃまいか。
ウクライナはお金はないわけで、この債務の返済も、悪くしたらEUがなんとかする? でもって、もしそうすると、では次からはしっかりしましょうと考えるウクライナ政府なら苦労はないわけで、多分、ウクライナはまたぞろ、ほうらやっぱり俺たちはEUおよびアメリカにとって戦略的に重要だ、と考えて、泥仕合をやめない。やめない限りこの地域が安定的に発展する見込みはない=EUまたはNATOにとっては、資金を突っ込んでも突っ込んでも改善しない地域となる。パイプラインでつりあう価格を超えてしまうかもしれない。つか、そもそもアゼルバイジャンあたりの動向によって、既に詰んでるとも言えそう。

その間ロシアはせっせとセバストーポリの完全撤退に向けて行動しちゃう、とか。


そんなことを考えてくると、ウクライナ戦略的価値がどうしたこうしたって、なんか、バブル用の釣り? オレンジ革命なんて、わざわざウクライナを混乱させるために仕込んだとしか思えないぐらいかもしれない。


ウクライナにとって問題だったのは、ロシアが自分を愛しているはず、手放そうとしないはず、だからこんなに重要な私の価値をわかってね、EUクン、アメリカさん、じゃなくて、ロシアがあなたを手放す算段をしていたらどうなるか(=EUにも大して価値がない)、だったのじゃまいか。


ウクライナ:通貨グリブナ急落−融資の半分以上がデフォルトの恐れ
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=infoseek_jp&sid=as3I.M51BpuE


というわけで、冒頭のFTが冷たく、ウクライナに、お前らなんとかしろ、通常のビジネス関係になるのは高くつくかもしれないが(近隣特別価格じゃないから)、その価値はあるぜ、と言うのは正論。しかし、それにしても誰も、肩代わりしてやるとか言わないのは、もうスキームが見えたからか、など思ったりもする。


おそロシア

ルーブル下落、対ユーロで最安値−ロシア中銀が通貨防衛体制を緩和
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=infoseek_jp&sid=ak8qF6YR39rM


しかしおそロシアの経済もとても大変そう。そして何が変わったわけでもないのに原油価格が上がるとok,下がると大変、から抜け出すには別のことを考えないとならない、ってんで、今、ラウンドというか、ロシア再び:第2部「絶頂から苦境の奈落へ」にいて、次に、来年後半ぐらいから、第3部「苦闘から○○○へ」とかいう編が来るんでしょうか。苦闘から大打撃へ、となるのか、苦闘から大展開へ、となるのかわかりませんが。


[補足]
とか書いていたら、NATOとロシアのハイレベルの交渉も再開とのこと。
http://www.reuters.com/article/newsMaps/idUSTRE4BH5IE20081218

この間は、低いレベルまでは再開だけど、this doesn't mean business as usualだよぉと何べんもアメ、EU共に言っていたがそんなのどうでもいい、ってことだろうか。金曜日(明日だ)に、NATO総長のオランダのおじさんがロシアの大使に会うそうだ。なんとなくアメがリードしているような感じがする。感じだが。ああ、ヨーロッパ、あなたはなぜそんなにブレまくりなの、ではなかろうか。でも多分、キルギスあたりのことじゃないかと思われ、そうなると確かにもう、なんてか、ロシアと口利かな〜いとか言ってる場合じゃない。

US denies Kyrgyzstan plans to close base