ゲーム中にルールを変えたからって勝つとは限らない?

昨日、コントロールされている方が多分いい、と書いたものの、問題はそのコントロールの中身とやり方だわなぁという事態に突入しているアメリカ。

空売り規制で脅しをかけて、その間に不良債権整理回収機構みたいなのを作る計画があるような、というニュースが出回ったことを受けてダウもナスも急反発・・・というのが今日。


米株式市場、急反発 空売りの規制強化も

http://www.afpbb.com/article/economy/2519189/3347178


海の向こうでは、イギリスも空売りを禁じた。


英金融監督当局、株式の「空売り」を禁止
http://www.afpbb.com/article/economy/2519186/3353098

空売りは、通常の金融市場であれば合法的な投資テクニックだが、現在の金融市場は混乱している。われわれは、金融市場の基本的な統合性や水準を保護し今後の混乱を防ぐため、熟慮の結果、決断を下した」と述べた。

ま、この、禿だか機関禿(投資銀行)だか知らないけど、その人たちの空爆みたいな空売りがどんだけもこんだけもなく世界中の、米国から見て下位にある市場を荒らしまわったかしれないわけで、そのたびに、禿を規制して、ね、と言っても聞くものでなかった米英軍、ついに自分が困ると規制ですか、そうですか・・・と、まあこの、そういう成り行き。


私はそれを外国人の視点で見て、この、あくなきダブルスタンダード体制、俺はいいの、ルールを決める人だから、あんたらは従う人、という体制はどこまでやってけるのかしらねぇみたいなことを率直に思った。国内民主主義+地球規模の独裁者体制こそアメリカ支配ね、みたいな。でもこれって、要するに植民地時代と同じとも言えるのか。一級市民と二級市民に分けて統治、と。

と、こういうことを特に熱もなく、別に突発的に怒りが向かうわけでもなくそんなことをまぁ思っていたのだが、意外なことに、米国民も怒っていた。ま、意外でもないか。


ふと見たマーケット、経済関係の人気ブログでのこの措置の不評はすごいわ。アメリカはもう馬鹿の国になった、みたいな調子。a country of moronsだそうで。


といっても、別に、いわゆる、フリーマーケット原理主義者からの視点ではなくて(ま、結構金融上急編の人たちのブログだから?)、そもそも、空売り規制したらマーケット動かなくなるだろうよ、買戻しがなかったらどうなるのさ、というごく普通に聞かれるそれと、今まで合法だったものを突然禁止したらそれはフェアじゃないだろうが、ゲーム中にゲームのルールを変えるってか!! 、それはマーケット操作だろうが、という2点に不評が集約されているご様子。


たとえば、このへん。このサイトにリンクされてる結構メジャーな(アルファブロガーほどじゃないだろうが)ブログでも似た感じかな。
http://bigpicture.typepad.com/comments/2008/09/sec-ban-all-sho.html


あと、プロっぽい人たちは、モルスタ、ゴールドマンが空売りしてこなかったとでもいうのか、という点で、苦すぎる、ってのが多数の様子。そらそうだわな。


もちろん、そうはいっても、おそらく、素人の私が考えるに、債権等のほんまもんのお金市場は大きすぎて動かせないが、株式市場は自分の庭で動かせる。

お金が債券市場に集中→金利ぐじぐじゃ、になるのを防ぐために、株式市場を安定させたい、だからこの措置が必要っちゃ必要なんだろうな、など思ってみたりする。


ただ、それって量的に限界あるよね? 結果的に金が馬鹿みたいに急騰したり、さらには経済は世界的に大減速だろー、の読みにもかかわらず原油が高止まりして、上がってさえいるのはそこに資金がいってるってことでは?
ということは、資源高→インフレ懸念復活のサイクル復活じゃないの? ドル不安続行、金引き続き高騰の可能性、買いが買いを呼ぶ?とか・・・。

私がお金持ちならここは目標の量(グラムとかオンスとか)を決めて、1/3程度を800ドル切ったら成りで買って、そこからナンピン対応、みたいな作戦でゴールドで行ったらいいんじゃないかと思う。
外れてもいいじゃん、全部ペンダントにするとか、小判にしてみんなに見せるとか、仏壇の飾りを買うとかいろいろ使える(笑)。お金を儲けようと思うから損したと考えるのであって、物を買うと思えば多少の損金が発生しようとも金は怖くないのじゃないのかしら。まぁ禿の中の人が仏壇仏具を大量発注するとは思わないけど(笑)、扱ってるものはそれだってのが何かほほえましい。小麦とか小豆とかはもらっても困るけど。

いやしかし、この危機の場合、金が高騰する時はドルの危機なんだから、ドル安→円高なので、800が900になろうとも円高で相殺される分があるので大して儲からないということかしら、とかも思う。この場合はやっぱりドル建てが一番いいのか。ほんとにやる気はないんだけど。



それはともかく、さらに、この成り行きで、マケイン氏が口走った?ものが批判を呼んでいる模様。
証券取引委員会(SEC)のコックス委員長の対応がまずい、俺が大統領なら首にする、とか言ったのだそうだ。

ブロガーの反応は、
もともと経済で彼に期待はしてないが、しかしこれはひどいだろう、と。

http://economistsview.typepad.com/economistsview/2008/09/unbelievable.html


そもそも、証券取引委員会委員長を大統領は首にできないw。議会の承認が必要だ。
さらに、今さら何を言ってんだよ、とw。
ありとあらゆる空売りを許可してきたのはSECでその措置をマケインおよびそのアドバイザーも支持してただろう、4分の1世紀以上の上院議員やってて一度だってそれに反対したことあったのか、と。


そういうわけで、マーケットが危機なだけでなくそれを仕切ってる人たちへの不信感が、外部で冷ややかに見られているだけでなく、中で増大している感じ。


昨日書いた通り、私は、今の事態の米国内の動きの基本形は、諸君、わかるよね、マーケット原理主義は破産です、の実写版絶賛開催中だと思っているので成り行き自体は驚かないが、それが内部での不信感の増大につながった場合、多分、どこかでそのエネルギーはアメリカの自信喪失モードに寄与していくのかも、など思い出した。これは考えてなかった。私って当然のことながら外人だわ。


で、そうなった場合、ゲーム中にルールを変えて勝ったところで、誰も喜べない・・・?
外は一応システム安定で安堵したとしても冷ややか、大事な部分での信用失墜という結果になっちゃうよぉん、じゃまいか。この先って、どうなるんだろう?