小さい尻尾がうるさいんですけど

(8/30)グルジア、ロシアとの外交関係を断絶
http://www.nikkei.co.jp/sp1/nt240/20080829AS2M2903N29082008.html

 グルジア議会は28日に政府に対してロシアとの外交関係を断絶するよう求める決議を採択していた。グルジアは外交官をすべてロシアから召還する一方、領事館機能は維持するとしている。ロシアはかねて「(グルジアの)サーカシビリ大統領とは交渉しない」と繰り返し表明していた。2国間交渉による関係改善の余地は事実上なくなった。


退路を断って、さぁ、だから俺をNATOに入れてくれ、とグルジア議会は言う、というのを果たして欧州本家はどう考えるんだろうかな、というのがこの度の見所。


グルジア議会の議長が、イギリスメディアとのインタビューで、実はもっと凄いことを言っているらしくて、イギリスに対して、イギリス内のロシアの銀行口座を凍結しろ、ロシア高官家族へのビザを止めろと言ったらしいが、さすがにこれは相手にされていない模様。殆ど戦争をけしかけてる。つか、戦争した当事者なんだが。

The British plan falls short of measures urged by leading Georgians. In an そinterview with The Sunday Telegraph, David Bakradze, the chairman of the Georgian parliament, argued that the British government should freeze Russian bank accounts in the UK and refuse visas to the families of Russian leaders.

http://www.telegraph.co.uk/news/uknews/2651787/Britain-to-urge-sanctions-against-Russians-linked-to-breakaway-Georgian-regions.html


総じて、独仏のけん制のために(絶対制裁しろよ、流すなよ、と)、イギリス系メディアが騒いでいるという感じがする。



朝日新聞の今日の社説を読んだけど、
朝日的には、

ロシアの圧力を受けるウクライナグルジアに対する支援の姿勢を示すことも必要だ。

http://www.asahi.com/paper/editorial20080831.html#Edit2


としてこれらの国を見てるわけでそれは今のアメリカとイギリスの表というか、メディアの騒ぎによる断定と同じ。

しかし、欧州内他ではそうは見えないので、しかし、それにもかかわらずとりあえず軍を動かして派手な一戦をしてくれちゃうわ、独立させちゃうわ、のロシアに懲罰は必要だというので困ってる。


エネルギーでロシアに脅されているから欧州は動けないというのも大きな理由だけど、詳細に見ていけばわかる通り、どうやって支持していいかわからん男を支持しないとならないという事態もある。


コソボの逆襲を受けているという意味では、ここでロシアだけが悪いと言い切ることのデメリットもある。イギリスメディア上とか、アメリカ人の心の中で、とかだけなら、ああ安心、ほんとロシアってイヤだわ、でお仕舞いだろうけど、その他世界は、微苦笑状態でスルーしつつも、まぁ忘れないみたいな。このクレームは必ず、それでなくても反米なアジア世界で今後使われるでしょう。他の地域主権が何かまずいことがあっても、今の欧米(ことに米英戦略だが)は、スタンダードを壊して行っているのでモラル的なジャッジメントが自軍ないででしかできないというのがなぁ、困る。コソボイラクだけでも充分だっつーのに。


さらにはこれだ。オセチアの自国民(ロシア認定では)を守ることを選んだのが何が悪いんだ、というのが崩れてない。

南オセチアの人命を守ればソーセージを取り上げられるというのか?それなら人命を選ぶ」。プーチン首相は29日、独テレビARDに出演し、欧州が経済制裁を検討していることについて、ドイツ名物のソーセージをたとえに出して欧州を批判した。

http://www.nikkei.co.jp/sp1/nt240/20080830AS2M3001H30082008.html


ロシアに、人命を選ぶとか言われちゃって、もう。く〜だが、この主張は今のところ崩せてない。ただし、米メディアには基本的にない。
Youtubeに上がっていた。英語の字幕付き。プーチン元気だなぁ。
http://www.youtube.com/watch?v=TJbI_3aQOVs
CNNインタビュー
Putin accuses U.S. of orchestrating Georgian war
http://www.youtube.com/watch?v=HQ7T4WN8l-M&NR=1


でもって、そうならそうで、一体なぜサーカシビリのような男をアメリカは押し付けてくるのか、だし、この男を押し付けられてNATO軍を本気でロシアと対決させる軍にしてくるのか、それって、ほんと、ねぇ、アメリカってのもあるでしょうし、そうならそうで、オバマになるかマケインになるかでもこの先の方針が違うだろうから、選ぶに選べないってのもあるんじゃないっすかね。


だからEUにあたらせようと。
で、ロシアに制裁をといっても、まさかお前んとこからの輸出物を買いません、とか、高関税かけるぞ、とかアホなことはできないし(自分で自分の首を絞める)、逆もいやだよね。じゃあというので、ロシア人へのビザとかなんとかにしたいんだろうけど・・・。


グルジアの現政権ってしかし、ロシア人資産の凍結を命じろとかイギリスに向かっていう、っていうのは何様なんだろうかね。自分の国じゃ何もできないから、後ろのイギリス、アメリカになんかさせるっていう発想が凄すぎる。さらに、自分じゃ背負えない敵をじゃかすか刺激して、なぁ俺を軍事同盟に入れてくれ、ってなぁ。考えただけで凄すぎる。


もし口座凍結とかいう噂が出たら、アメリカとかイギリスにある資産をロシア人が売却する・・・よね。持っていられるものは持ってるにしても。

確か、何ヶ月か前に、イランが制裁される可能性を見込んで欧州内の資産を整理してるらしいみたいな話を読んだけど、この金融市場が揺れ揺れの時期に、イランがどのぐらいあるのかわらないけど、米国内にかなりの資産を持つロシアを真っ向から敵にするのはまずいのではなかろうか。ま、プーチンとかロシア人資本家はそんなに馬鹿ではない、というのを前提にこういう危ないことをさせてるイギリスが、なにかこの、焦って見える。


グルジア議会及び大統領って、何の役割を担わされてるの?自爆風にしか見えないわけですが・・・。
なんか、田中宇宙の宇さん的に、かくれ多極主義者なんじゃないかと言ってみたくなる。かくれ多極者を主義として行動するとは二重スパイ状態を継続するわけだから、そんな頑強な意思の人がそんなにいたらそれこそ凄い、と私は思っているわけだけど、でも、そういうんじゃなくて、資本の効率性とか、マーケットの拡大、マーケット拡大に伴う供給の確保等々という経済的なテーマから見たら、アメリカ一極にしてあっちもこっちも制裁だの封鎖だの言ってんじゃねーよ、迷惑だ、いい加減にしろ、どこでもかしこでも隣り合った人を見たら反目させるようにするその方針なんとかならんのか、という人たちがいて、一方の一極型の人たちの動きを特に意図するにしろしないにせよ結果的に妨害し続けている、この様子を外から見るとかくれ多極主義者が行動しているように見える、というのならあると思う。
その場合、しかし、事態を分けてみれば、一極と多極という主義があるのではなくて、一極型と、共存指向及び思考の人間がいるという結論になるような気もする。思いつきで書いてるけど。


で、多分、主義でやってるわけじゃないだろうけど、
EU経済が低下して、ロシアとの市場的連結も怪しくなってきたら、地中海方面一体、トルコあたりへの投資が活発化する可能性は増えるから、ロシアとの対決(軍事っていうことじゃなくて)、競争、そして調整みたいなのは、地中海、バルカン、黒海方面からになるっていう可能性もあるかも。


で、そうなるとトルコは、カフカスから行っても地中海から行っても絡まってくるからここの動向は要注意になるんだろうかしらね。


でので、そのトルコといえば、今ロシアとの国境でトラックを止められて、困るぞそんなのというので対策が講じることにしたらしい。トルコがロシアに輸出している。
http://www.hurriyet.com.tr/english/finance/9776987.asp?scr=1


おそらくパイプラインとかの件だろうと書いてあるけど、それもそうだけど、ボスポラス開けっ放したことへの、嫌がらせでもあり、ディールの開始みたいな感じなのかしら。

この記事によればトルコとロシアの貿易はトルコにとって大きいのでロシアと喧嘩なんかしたくないようだ。ま、このへんは冷戦時代から最前線だからお互いに落としどころを探ってノーティスの出しっこをするんだろうと思うが。


と、そうなると、グルジアウクライナにとっての最悪のシナリオは、どのみちグルジアが混乱していることからパイプライン話は一時凍結、投資家寄りつきません状態になって(喧嘩っ早い後先考えてない大将が、熊に喧嘩を売っている国で、欧米の事情により庇ってしまったのでそのまま流すしかない)、しばらく放置されるというものか。
*先週だかのBusiness Weekではそんな感じだった。リスクがさぁ、と。


グルジアウクライナは、
武器はやらないが資源は格安な、というマスターを捨てて、
武器はやるぞぉ、だから一緒に資源を取りに行こうな(でも多分自らのその行動の故に経済発展可能性は漸減する)、というマスターを選んでいることを自覚しているんだろうか。


あんたは昔私たちを苦しめたのよ、とか言いながらロシアにインフラ整備してもらえばいいと思うんだけどな、私は(笑)。


なんでもいいけど、朝日新聞様の執筆人に必要なことは、どこか貿易商社で働いてみるとか、あとは、鎌倉時代から江戸幕府直前までの戦記ものをたくさん読むとか、そういうことじゃないかと思った。なんなの、その応接室で世界を語るって態度は、と思ったっす。