今日のパイプラインおさらい


連日の「ロシア復活」騒ぎの中で、ちょっと離れてみてるような具合が散見できるカナダ。
先進国の中であまり注目もされずに密かに資源国をやっているから、相応に、エネルギー資源をヨーロッパに供給しようというロシアの意図もわかるし、それを買わせないぞとばかりに騒ぎたてるアメリカ+新ヨーロッパ勢の動きも、まぁ、商売だからなぐらいの感じなのかもしれない。


で、今日のグローブ&メールも、またパイプラインの話をしている。

Russia crushes Europe's energy strategy
http://www.theglobeandmail.com/servlet/story/RTGAM.20080818.wrreguly18/CommentStory/International


ロシアがヨーロッパのエネルギー戦略をぶっこわしてる、とは書くものの、だからロシアをつまみ出せ系じゃなくて、石油ガスの流れの多様化おすすめです、と商売に入っている感じのするカナダのスタンスか。


欧州の石油ガス事情として、ロシア供給の割合が大きいし、大きくなる見込みさえあるので、北のポーランドベラルーシウクライナを通って真ん中の欧州に行くルートだけじゃまずい、というので、南から、今問題になっているグルジアを通ってのパイプラインという話になった。これがプランAと。


でも、アナリストの中にはこの中の、問題の、Nabucco プロジェクトとかもうだめポという人もいるんだよ、と。
ほんとか? 

Nabucco Pipeline
http://en.wikipedia.org/wiki/Nabucco_Pipeline
(このページの地図は、大きくて見やすい。観戦のお供にグーよ)


(ちなみに、このページによれば、ポーランドのガス企業はこのパイプラインへの接続を検討しているらしい。今の騒動にいろんなものを賭けているわけですね。)



じゃあどうするか。
南ですよ、南。地中海ですよ。これがプランB。
北アフリカリビアアルジェリア、まだまだ未開発ですよ、
この地域で各社が開発を考えてますが、その中で、ペトロ・カナダも行ってます、だそうだった。


北米(というか英語圏)の連日のロシア復活恐怖の大合唱の中で、なんだこの軽さは?と思ってしまうわけだが、そもそも、ペトロカナダは、でも南だけじゃなく、北でも精力的で、プーチン・ガス屋のガスプロムと共同でサンクトペテルスブルク近郊に液化天然ガスプラント設置を合意していた(2006年)。
http://www.petro-canada.ca/en/media/1886.aspx?id=584281


ガスプロムは、別にカナダだけじゃなくて、世界中のすんごい広い地域で鋭意営業中。それをいまさらロシアの戦略だと騒いでみたところで何になるの、と考える人がいても不思議はない。ロシアの会社だろうがなんだろうが、お互い尊重しあって付き合って、互いにちゃんとお金払えばそれでいいでしょ、と(上の記事の下のカナダ人コメントにそうあった。)


まぁ、それがイヤだという人もいるだろうが、そんなこといってもどこかのエネルギーに頼らないと生きていけない国は一杯あるわけで、そこのガス屋、そこの油屋から買うなと別の誰かに言われるのは大きなお世話と言う人がいたって不思議はない。


そうはいっても、しかし、ふと、いやいいんだけど、
来年にはロシアの天然ガスケベック州で売られるらしいという話もあって、これって、タイミングが悪ければ騒ぎになるんだろうか?
http://goliath.ecnext.com/coms2/gi_0199-2329255/Petro-Canada-Gazprom-Plan-First.html


しかし、ちなみに、このフェーズではカナダは天然ガスを輸入しているが、別の場面では、カナダはアメリカにとっての最大のエネルギー輸入国なので、プーチンガス屋がヨーロッパ市場に対しているのと、(規模は違うが)同じ構図にはある。止めるよ、とは言わないと思うが。