四川省地震:とにもかくにも備えなし?


いや、そんなことはともかく、ともあれそのあたりは上記のプレート境界線(というのがこの地域で正しい表現なのかどうかわからない)にあたるためなのか(多分そうだろう)、特に四川は地震のあるところとして知られていたというではないの。

でもそのわりには、何か、地震があったらどうするのかの備えみたいなものが全然見えないってどういうこと、とちょっと驚いた。いや最新の耐震構造とかまでいかなくても、全部ずるっと倒壊しないような建物を建てた痕跡とかなんかなさそうなので(これまで見た限りでは、だが)、ちょっと驚いた。


あと、他国からのヘルプを拒否してるんだからどのぐらい自分でやっているのかと思えば、そりゃ一生懸命やってはいるんだろうけど、テレビで見る限り、ちょっと、かなり緩慢に見えるんですけど・・・・レスキューだという危機感というか、まず生き埋めの人を助けるのが優先ですべてが統合されて、その間に被災者への最低限の水、食料を配布、みたいな日本でもそうだし、こっちでよく見る形式(東部海岸は地震はないが、中西部はハリケーン他意外とすんごい天災は多い)が、全然ない。

で、それに引きづられるからなのか、BBCの報道とかもどこか、何かテーマが違ってる番組を見ているようだ。何万人全部は救えずとも、とにかく生き埋めの人最優先、そのための組織ユニットがどうなっているのかの報道が殆どない。あるのは、レスキューしてる様子、とかの場当たりの映像。住民が怒ってますとかの報道。それとは別にチャイナ当局からの数値的な発表、といった仕立て。


ま、基本的に、何ごとによらず報道がうまいBBCでも、所詮は地震フリーに近いヨーロッパ勢なのでやっぱり地震は駄目とは津浪でも思ったことがあるのでこれはチャイナのせいばかりではないのかもしれない。


で、そうこうしているうちに一般的なレスキューリミットが近づいて、で、よーやくヘリコプター90機を新たに投入とか言っているらしいのが、何かこう、私はため息だ。

 新華社電によると、中国共産党政治局常務委員会は14日の会議で、地震で生き埋めになった住民の救助や被災者への救援のため、15日から軍・武装警察部隊を計3万人増派し、全体で約7万8000人態勢に大幅に増強する。陣頭指揮を執る温家宝首相はヘリコプター90機を新たに投入し、救援物資などの投下と被災者の搬送として使用するよう指示した。

http://sankei.jp.msn.com/world/china/080515/chn0805151112003-n1.htm

確か最初の日に天候が悪くてヘリが近づけない云々という記事をみたと思ったのは間違いではなかったようだ。全天候型のヘリがないなんてないよね、それ・・・と思っていた。

しかしそれにもかかわらず、

しかし、同県の臥竜など数多くの地域とはまったく連絡がとれておらず、壊滅的な打撃を受けている可能性もある。


まだ入っていけてない地域があるわけね、というのにショックを受ける。
日本みたいに、なんでも投入しなきゃというそのタイミングに自衛隊を使ってはいけないというアホな縛りがあったわけでもなんでもないのに、どうしてこんなことが起こるのかが私には理解できない。レンジャーでもなんでも投入して軍事無線を使うとかなんとかはやれるのではないの?つか、別の事情でそこは伏せておきたいという意味だろうか?かんぐってしまうほどへんだ。


しかし、多分多くのチャイニーズは変だとは言わないんだろうな、という予想はあって、それがゆえに中共政府は結構安心していられるのかもとか邪推したくもなる。

というのは、何か対応が遅いとか情報が伝達、共有されていないことでチャイナが若干でも非難されると、チャイニーズという人たちは、別に中共ファンであろうとなかろうと割と簡単に、自動応答みたいに「チャイナは広いから」というものだというのを体験値的に知ったから。


そのたびに私は、カナダも広いけど、何ヶ月も情報の開きがあるとかないよ、と必ず言うことにしてる(笑)。
でも、そこで考え直さないらしいというのが奇妙にも彼らの習慣らしくて、何回かの経験のうちに要するに、全国というアイデアがあるようでないからなんだろうな、と私なりには結論してる。ナショナリズムがどうしたというけど、基本的にはこの部分は変わらないのじゃないだろうか。そして、救援の遅れ(というか未組織化)とこの認識というのはまんざら関係なくはないかもな、などとも思う。


最近のテーマとしてチャイナとナショナリズム云々がしばしば語られているように思うけど、私は、最終的に彼らにあるのがナショナリズムがどうかは結構疑わしいと思っている口かも。それはまた別途考えよう。


さらに、なんかこの認識の差に愕然とする。
産経にリンクされていた福島香織さんのブログから。

■張:われわれの国家地震災害緊急救援隊(中国における数少ないレスキューのプロたち)214人が現地におもむいています。救援隊員44人、医療人員22人、ロジ救援隊148人、12匹のレスキュー犬、2台の救援車、応急指揮車1台。いくつかの救援地で24時間対応で救援活動を実施します。
http://sankei.jp.msn.com/world/china/080515/chn0805150128000-n2.htm

この数字って、それこそその広いチャイナで、超が付くほど少ないと思うんですけど・・・なんかの間違いですか?

ウォール・ストリートジャーナル記者:中国はかつて被災時の外国の支援を歓迎するといいましたが、これは、中国が今回、海外支援をうけるという意味ではないのですか?もし、そうなら、どのような種類の支援なら受け入れるのですか。専門家の派遣ですか?金銭的支援?また被災地に向かう別の道路はないのですか?


誰だってそう考えるよね、と安心した。別のルートはないのか=空飛ぶ道具動員してんのか、だと思うしそれを聞きたいんだと思うんだが、当局者はそうなってない。


でもって、ロイター、WS、そして読んでる私の目下の主要な関心は、で、救援体制はどうなってんだ、なのに、チャイナ系メディアが、予知の話をしているというのが、もうね、なんつーか、ここに大きな差を感じる。それにしっかり、いつ話してもいいようなことを得々と話してる当局者というのが、もう、なんつーか、もう、普通の人間=人民の敵だな、もう、など思うほどだ。


予知は大事だが、できないこともあるし、できてもそれでも被害が0ってことはあり得ないだろうとの想定があるからこそ(そもそもできてないんだし)救援体制じゃないのか、なわけだが、この、人がまだ大量に埋まってねんんで!という事態に(日本の記者はこういう時こそ行って代わりに怒鳴ってやればいいと思う)、それを持ち出しているという意味は、つまるところ救援よりも犯人探しの心性が優先されてるっていう意味でもあると思うな。


チャイナって、多分自分たちが考えてるよりもずっと、その他世界との溝は大きいとしみじみ思った。

多分、あちこちの小国を全部かき集めて平均値を取っても、チャイナとその他世界ほどの乖離度はないと思う。