リベラル統一見解とアメリカの報道スケッチ


で、そんなことを考えながら、我が方の新聞を見る。我が方なのに我が方の意見を書いてくれない新聞、朝日を見る私も馬鹿だが、とりあえず、つまりあなたのようなスタンスかもしれないわけですね、私が問題としているのは、と思った。支持はしにくいわな、やっぱ。

アフガニスタンとの国境一帯には、国際テロ組織アルカイダタリバーンなどのイスラム過激派が勢力を広げている。ブット氏はその拠点をたたく米国の軍事作戦を容認していた。暗殺の背景に米国への敵意があるのは明らかだ。

 軍出身のムシャラフ大統領は暗殺を非難した。だが、暗殺を未然に防げなかったとの批判は免れまい。

ブット氏暗殺―民主化への遺志は葬るな
http://www.asahi.com/paper/editorial.html


これは、一文を除いては多分、リベラル陣営の通し見解なのじゃないのかな。あるいは、見解だった、と。アメリカの報道、特にテレビは昨日はそこに流れそうな感じだったし、ヒラリー候補がひたすら熱心に、しかし用心しながらムシャラフを槍玉に挙げていた感じは否めない。で、ムシャラフに入れ込んでお金使っていろいろやっても全然駄目、これはブッシュが悪い、という説に落とし込む、と。

説としての説得力よりも、多分、あまり事情を考えたことのない聴衆者(選挙民)を捉えるのは、私の観察では、ムシャラフはクーデターで上がってきた人、という言葉かと思う。これが、シビリアンじゃない、正当じゃない、横暴だ、怖い、そういう人を支持しているブッシュは悪い奴、という印象をもたらす、と、これを狙ってる気がする。

ムシャラフはクーデターで、と言うのは本当だし、戒厳令敷いたのも本当。でもその前の首相のムシャラフ外しも尋常でなく、さらには結果的に当時の腐敗政権を嫌った国民はムシャラフが悪いという判断を下してもいない感じだったと思うがそこに言及しないのはフェアではないよなぁとか報道を見ててそう思う。別にクーデーター万歳でもムシャラフのファンでもないが、つか、単純に言って、アメリカとかその他西欧諸国のような硬い政情でクーデーターが起きたら大事だが、そうでない国はいっぱいあって、大量の人間、ことに軍を抑えることをできる人間は少ない。そんだけ。


でも、今日になっては例えば、エドワーズ候補が、ムシャラフはシビリアンじゃないし云々かんぬんだ、それはまったくそうだ、しかし、ここが重要です、パキスタンを不安定化させられないんです、だからこの問題を党派ネタにしちゃいけない、これは国としての問題だからとか言っていたが、こういう感じはシェアされているっぽい。

昨日は、ムシャラフが悪い論に乗り出していたと見える(あるいは、穏当にいってそのネタを紹介していた)CNNが、ブッド氏を美しい殉教者っぽい感じに描き出している傾向が見えるのは、他にやりようがないからじゃまいか? ムシャラフ、軍人叩きとかしてる場合じゃないという見解に押された、みたいな。


それはともかく、

「暗殺の背景に米国への敵意があるのは明らかだ」って、犯人も特定されていないのに、なんで言えるの? 


犯人に心あたりがあるならパキスタン当局に教えてあげればいいのに。