冬至前雑感

冬至まであと10日余りとなり、もはや景色はすっかり冬。1ヶ月ぐらい前からここまででもう何度雪が降ったかわからないのだが、例年書いている通りトロントはあまり雪は積もらない。郊外はそれぞれ地形とかで若干大目に積もることもあるがトロント市内だとせいぜい20センチかそこらが平均的といったところ。ただし、雪が降るから寒いわけではなくて、雪が降るならそれはあまり寒くはない、というのがここのコンセンサスではある。うんと寒い時は、空は恐ろしいまでに青い。放射冷却というのは何よりも恐ろしいものだとしみじみ感じるというか、肌が痛くなる。でも12月にはあまりそういう日はなくて、このへんはじりじりだらだら寒いだけ。

先月書いた、スタンガン関係の話は11月いっぱいは、どういう捜査体制になるのか等の報道があったが月が替わってからは報道を見る限りでは(報道が見えないので)あまり動きはないものと見える。というか、今週末から今月末までの2週間強はクリスマス休暇にしている人が多く、この日数の長さはエリートであればあるほど長い、みたいなことを言ってもいいかなとか思う。つまり、日々稼ぐ必要のある人はぎりぎりまで働いているが、そうでない人の休みは長いという、あまり気持ちのいいものではないが実際のところそうとしか言えない不文律があるといって良いかと思う。

よく日本の報道とか日本人の人の書いたもので、欧米では休みが長くて、日本人は少なくてとかなんとか書く人がいるけど、それってさぁ〜と現地民は暗い気持ちで見てしまう。休みが長いのは、今に始まったことではなく、その間休んでも有給になる人(あるいはそこが抜けても年間でOKとか)であって、その他多くの人は結構気の毒なまでに常に常に働いている。クリスマス近い寒い朝とか寒い夜とかに買い物に出ると、なんか、思わず、あなたたちが働いているおかげで私は今日も食料を補充できましたとか感謝したくなることさえある。

でもまぁ、ものは考えようなわけで、人が働いている時に休むから逆は勤労よ、という人だっているとは思う。私は多分カナダ人平均のカレンダーからするとその手合いかもしれない。日本に帰ったりするのを休暇として考えるから、へんな時に休んで、へんな時に働いている、という感じ。で、クリスマスは個人的にはあまりピンともすんとも来ないので、適当に流れにまかせてるだけ。むしろ、毎年しつこく書いているけど、クリスマスに向かうから人がざわつく、のではなくて、冬至に向かうからそうなんだ、というのをしつこく観察してる。なぜそうも落ち着かなくなるんだ、と。

で、今年は折からのマーケットの不調のおかげでクリスマス商戦はあまり盛り上がっていない模様で、今年のざわつきは、篭ったざわつきかもしれない。表に出てがーーっと騒ぐ方ではなく、なんか落ち着かない感じで推移している、と。

とはいえ、USマーケット自体は、いやぁ、しかし、持ち直すんですねぇと感心した。例のサブプライムローンの解決(なんてないだろうが)を5年先送りにします体制をきっかけに、過去3ヶ月に落としまくった米ドル評価の水準訂正みたいな動きも見える。

個人的にはサブプライムも問題だっただろうけど、むしろアラブの王様連合がどうするのか問題の方が本質的にはより重要で、しかも政治的にも興味深かった。イランの大将とかが、ドルの目減りに伴い原油産出国は受け取る代金減ってんねんでー、と騒いではいたが、そもそも、その前に経済体制の違う国にペッグしていることに無理があるからこれをどうしたものか、という問題の解決の方がよりリアルなんだだろうなとか思った。相対的に低成長しか見込めない先進国の通貨、ひいては金融政策にくっつけてるのに無理がある、と。

で、しかし、ここに問題の本質とかがあるんじゃないの、とか思ったのは、だったらそれはドルをやめてユーロにしても事態のもたらす可能性は同じだ。だから、ドルペッグを外すとしてもそれがすなわちユーロに、とはならず、せいぜい行ってミックスで、その比率も結局は現行でユーロにシフトってのはないんでないの?と私は思ったりする。というのは、ユーロにはユーロの可能的なリスクってのがあると思うから。それは、あんなに国情の違う国々で金融政策を1つにって、どっかで無理が来た時に、それってどうなるの、という問題が潜在的に別に解決されたわけでなくあるからと素人考えなのかもしれないがそう思う。日本にいたらあんまり感じなかったかもしれないが金融政策で本当にさまざま変わる経済圏に住んでいるからなのか、マジでそう思う。(というか、30年前の日本で十分に大人だったらまた別の考えがあっただろう、というのが正解か)

と、今年まではユーロ圏は万々歳だったわけだけど、来年はどうかわからず、伝えられているところでは(先進国としてはスタンダードの)低成長と、それとほぼ同率のインフレの懸念がある、と(ついこの間、インフレの懸念があるから金利を下げられなかったことがこの先どう影響するんでしょうか、というのが来年の見もの?)。

とかとか考えると、確かにドルおよび米国の弱さは十二分、十三分に了解されたこの秋だった、というのは本当だった。が、しかし、ではそれに変わるものってあるの?という時に、完全に米国を抜くところが登場しているとは全然言えず、マックスで二番手にユーロはあることが昔よりも強く意識されるようになったというだけかなと思う。つまり、今年のこの騒ぎというのは世の中には強くて大国ってのはもうない、というのがただわかっただけかなと思ったりもする。アメリカは弱い大国みたいな感じか。