カナダドルvs米ドル、パリティ志向から見る不透明な世の中

かなり大げさだけど世界は結構一寸先がマジで読めません、みたいな感じなのかもしれないと何回か思った。

急の円高と呼応するようにカナダドルは下落。
先月終わりからバリューを上げに上げて、一時は1:1.1、つまり米ドル1ドルに対して、10%のおまけが付いてますみたいな感じになりそうになったのはつい先週。ところが今週はパリティに向かってばく進。99セント近くまであってなんかすごいことになっていた。その後金曜は戻して97セントぐらいだから、ほぼ等価。

9月21日にパリティに到達して以来ここまでわずか2ヶ月弱なのに、このジェットコースターは一体なんだったんでしょうかと驚く。終わってみれば、手元には各種小売店からの、全部あわせて、もし全部使うことがあれば多分2、3万は軽くいくであろう分の、2万円買ったら2000円引き、ぐらいのレートのクーポンが集まっている。といっても、いらないものはいらない私は結局5ドル(500円かそこら)ぐらいしか使ってないと思うし、今後もないと思うんだが、ともあれ、カナダの小売はなかなか賢かったなと思った。

カナダドルに対して米ドルが下がってしまったことから、国境を超えて買い物に出てしまう人たちをどうやったら戻せるかの対策で、値段そのものを下げないで、こうしたクーポンを多発して対応。あとはポイントカードみたいなののポイントを増やすというのもあった。

で、これは結局、クーポン狙いで買い物に行けば有効になるだけだから、企業にしてみれば別にたいして痛くない。一方、もしあの時時価で値段を下げていたら、この手間もあるし値段を上げるのもまた一苦労だ。どうなるかわからないからこれでと思った会社があって、後はその手があったかと続いたものと見える。

しかしその一方で、オンラインショッピングなどは、これを機会になのではないかと思うんだが、レートが直近の相場できちんと反映されるような仕様になってきたものもかなりある。前は遅かったが、これだと苦情は来るは、1回見て、損だと思ったら寄り付かないかもよ、というネガティブな反応があるかもしれないし、っていうので、これならもうフェアに、透明にやる、という判断をしたところが多かったのかなと思う。

とはいえ、そうはいっても、それだけやっても消費好調って感じはあまりない模様。一年を決するとも言われるクリスマスシーズンを前に、株も為替も、金も石油もどっちを向くのかよくわからん、マーケットは不安だらけだとなれば、まぁ大金持ち層は別にしても中間層以下の手控えはかなりの確率でほんとじゃないのかと思う。それかあらぬか、セール、セールが既に始まっている感じで、このままあと1ヶ月人々は買い物の誘惑にさらされながら張り切って消費活動に勤しめ、ということらしい。


まぁそうでなくても毎年この時期は一年中で一番、完全な外人たる私の目から見て言わせてもらえば、人々が正気でなく興奮している感じがする。毎年書いてる気がするけど、これは冬至に向かう恐怖心の残像に違いない(高緯度帯は夏場はやたらに日が長く、冬場はやたらに日が短いので日照時間の差異がでかい)というのが私の考えだが、その表徴としてのクリスマスの消費活動大量エネルギー消費なんじゃないかと思う。不安だから買う。

では夏にクリスマスがあったらこうはならないのか? わかんないけど、例えばオーストラリアがどうなのか知らないんだけれど、高緯度帯での文化を背負って行ってるので恐らくそのムードは踏襲されているでしょう。でもあと100年放置したら興奮は冷める、とかあるかもしれない。


それはともかく、とりあえずカナダドルは米ドルと等価一歩手前でしばらく落ち着くのではないのかと見える。それ以上じゃなきゃ嫌だというカナダ人はそもそもほとんどいないし、数日前からパリティこそ望ましいんだなんていうコラムニストが出てきてところを見てもこのへんが現実に望まれているところだろうと思うし、政府もそのへんを狙っているものと思う。


で、終わってみれば、実際確かに原油と連れてカナダドルが上下したと見ることもできるけど、カナダドルとは原油、金の高騰とサブプライムがかぶって米ドルの下落が見込まれた際の急場の逃げ場と見ることもできたのかなと思ったりする。カナダにドルを逃がすのは怖くないでしょう、だって。よく知った経済主体なんだし、アンコントローラブルにはならないと、アメリカというか世界中のお金持ちさんたちが考えたとしての不思議はないのじゃないかと思う。もしこの説が妥当なら、今回はこれでおしまい、でもまだ先行き不透明なのでパリティ付近であれば一層逃げ場としてはやりやすい、ってことかなぁなど思う。

今回で終わりってまだサブプライムが、という人もいっぱいいるかもしれないしそれは社会的にはそうなんだろうけど、経済的にはガシガシとライトオフして仕切りなおしにしちゃって、そのついでにドルが下がっていた期間がある種合法的に長かったおかげでヨーロッパの輸出は打撃を受け、それは相対的にはアメリカにとっては悪いことはないし、このへんで建て直し方向に行くつもりなのかと見えたりもする。ヨーロッパ勢はずっとそんなことを若干非難がましく言ってたけど、実際結局本当にそうなった、みたいなことになるのかな。


そんなこんなの一週間の終わりに26時間だかのすごい短い滞在でアメリカにやってきた福田氏はブッシュ氏と一体何を話したんざましょ。とても気になるところ。後からいろいろ出てくるんのかなんなのか、今日現在ではとてもとても通りいっぺんの話だけが伝わっている感があった。なんでしょうこの静けさは、みたいな。

そういえば12日に福田首相はFTで単独のインタビューをしていたけど、この意味はなんなんでしょう。。。インタビュー記事としては長め。


Transcript of FT interview with Yasuo Fukuda
http://www.ft.com/cms/s/0/4109518a-9124-11dc-9590-0000779fd2ac.html


なんであれ、一読、老練な政治家だなぁと思った。フフンとかいう鼻息が聞こえない気がするのはまじめにふつーーーーに話してるからなどとも思う。

でもって、日本でフフンなのは、やっぱりこう、メディア各誌が敵だからじゃないのかとまで思った。日本の主要メディアのかなり一致した傾向として、ポジションで「言質」を取るために取材する、みたいなのがあると思う。もちろんどの雑誌、どのメディアもそれなりの傾向や判断はあるだろうが、取材するなら、とりあえず話させること、見てくることが仕事のはずなのに、それさえできずに捏造するとか、仕掛けるとか、そういう、目だって尋常でないことが多すぎる。

記者から、初来日の東京五輪から40年、日本のサッカーはどのように変わったかと問われ
「大きく成長を遂げていると思う。だが問題は、君たちマスコミだ。40年間、まったく成長していないのでは?」[7]


wikiによればオシムさんがそう語ってるそうだが、もう、これに尽きる。


とりあえず、オシムがんばれ!