まだ本筋を聞いてないと思うわけだが

ドラマですねぇ、とちゃかしている場合ではないけど、小沢氏の会談、辞任、辞任撤回をめぐる混乱はいやしかし、なんだかテレビのドラマみたいだ。ただ、ドラマだったらここで間をおかず次の展開、問題の焦点が絞られなければ話が流れないのだが、「○ヵ月後」とかのテロップが必要な展開になるのかな、いや、わからんけど。

なんにせよ、私は先週からおでかけしていて今週はじめまでネットで新聞を読んだりできずにいたもので、帰ってきたらいきなりなんだかドタバタの展開がはじまっていて、慌てて途中から読んだのでひょっとしたらトンチンカンなのかもしれないという危惧は若干あるけど、メモしていないとさらにドラマの展開に間に合わなくなりそうなのでメモ。

辞任撤回というか、「さる人」登場の顛末は、読売と、なんか一紙ではホントかい?という気がして産経も読んだのだが、こんなことを言い出すんですか?という話ではある。


小沢代表の発言要旨
http://www.yomiuri.co.jp/feature/fe8400/fe_071108_02.htm

「2カ月ほど前、さる人から呼び出し受けた」小沢氏会見の詳報(1)
http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/071107/stt0711071806006-n1.htm



「さる人」からのもちかけで、首相の代わりなる人と話しをして党首会談となった。
で、話のネタは、

 先月半ば以降だと思うが、また連絡があり、『福田首相もぜひ、そうしたいという考えだ。首相の代理人と会ってくれ』という話があった。(「さる人」は)むげに断れるような相手ではなかったので、指定された場所に行き、(首相の代理人に)『本当に首相はそういうことを考えているのか』と質問した。『首相もぜひ連立をしたいということだ』と。『あんたも本気か』と質問したら『おれも本気だ』という話だった。『首相がそういう考えならば、直接話を伺うのが筋ではないか』という話を返した。そして党首会談の申し入れになった」

(以上、上の読売から)


とあるけど、連立か否か「ダケ」がネタってことはないでしょ、など思う。もちろん表面はそう語り合っていても、両者が腹で追いかけるのは、なぜ連立なのか、あるいは連立の成り行きがもららし得る帰結は何か、だろう。小説ならその書き込みが挟まるところ。

で、その書き込みとは、結局は対米問題だろうし、では対米問題でなぜ連立なのかといえば、連立することによって、右でも左でも、立った側と相容れない人たちが両軍からこぼれるから、じゃないのか?など思うんだが・・・。で、その結果として、これを仕掛けた人々は、自分たちが望む側が多数を取れると踏むからこそ仕掛けているんだろう。で、これを受けない側は、そうなりたくはないから、であり、か、この成り行きでそうはなりたくないから、つまり、ハンドルを握られたくないから、なんだろうと私は思う。

そこに握られたくないからこれを拒否した、というのが今般の小沢氏の回答なのかな、なんて思う。で、「そこ」が誰かあるいはどこかはともかく、そこがそこでないのなら、この筋での連立→分裂(あるいは振るい落とし)は小沢氏にとって嫌な話ではなかっただろうなどとも思うのだがどうだろう。だからこそ彼は出かけたのではないのか、だし、連立→分裂が究極に向かうところさえ合っていればそれでよい、という判断をしたのかなとも思う。

で、その向かうところとは、おそらく、この上に載るものなんでしょう。

 「平和貢献について、首相が今までの政府の考えを180度転換するということをその場で確約した。もちろん、首相は連立が前提だと思う。自分たちの国民のための政策を実行すれば民主党政権担当能力が証明され、総選挙を勝つ。2大政党制が可能になるので、それも一つの方法かなと思った」

(以上、上の読売から)


でので、思うのだが、これって、これでどうして自民党はもめないの? 「今までの政府の考えを180度転換する」という確約を「密談」で出してしまう党首を抱えていてまるで平気なのか、自民党?? というほうがとても不思議だ。ま、主軸がどこにあるのかわかるようなわからないようななので、まぁその100度も180度もよくわからないと言ってしまえばそれまでだが。中心が動けば周辺が中心になることもあるわけだし。

さてそれで、民主党の側は、なんだか温情的に党首を迎えているような感じがしているが、その心情は心情として、しかし、小沢氏が取ってきた言質を、現在の民主党はどう扱うんだろうか。これでいい?


さらに、民主党だけの問題のように騒いでいるけど、これは自民党の問題でもあるわけだ。

であれば、結局のところ、事実上、「さる人」およびその一派の仕掛けは、すみやかに流れることはなかったという暫定結果が現前しているによ、ある程度果たされているとも言えるんじゃないかと思う。両党ともに内側では疑心暗鬼状態となるんじゃまいか。転んでも時限爆弾、みたいな。

今後、どこかに落ちてる石ころ(あるいはどこかに置かれる石ころか)に躓いては、まだまだ何かあり得るんじゃないのかな。とてもとても、安定的に選挙に向かう、とはならないでしょう。


それはそれとして、こういうのフィクサー暗躍、暗闘。こういうのはけしからんといいたい気持ちは私とてあるけれど、でも、集団が何かを決定していく場合、ある程度は影のお膳立てはあり得るし、ある程度までは必要だ。何もかも最初っから最後まで結果を見通すことなく話し合われるなどということは学級会でもなかったら普通ありえない。しかし、その影が影のまま表に出てくることはかなり馬鹿げてる。生産性の点から見てもそのままで話が進むことは、独裁国家でもなかったらまずできないし、政治家に説明責任があって、その上で選挙のある国であれば、やろうと思っても難しい。

可能的には、全メディアが特定の筋しか絶対伝えないという徹底した意思がありそれが効率的に運用できるほどに他のメディアがなく、国民相互の話し合い伝達機能も著しくお粗末だ、という場合ならできるかもしれない。ま、ソ連型というべきか。前にも書いたけど、ソ連時代、テレビは垂直のメディアで垂れ流すからOK、でも、電話は人々が勝手に話しを伝えてしまうからダメだった、という本とか嘘かわからない話(私がどこかで読んだか聞いたかしただけ)は、実際本当にできたら効能ありそうだなと思わせるものがある。滅茶苦茶な話でもそれしか伝わっていないのであれば、人々はそれを下に投票する以外にはないだろうから、これなら自由選挙さえ保障できる。


など思うに、小沢という人の不器用さの尋常でないことを知る。こんな風に影をぶちまけるなんて、だ。でも、ここまでくるとそれはそれである種の胆力かもなど思わないでもない。しかし、冷たいようだが、この胆力めいたものは多くの国民には届かないだろうと思う。なぜなら、何を巡ってこうしたことが起きているのかが、ほぼ説明されていないからだ。話し合われるべき事案から引き出した攻防が行われていると記述されていれば、彼の力は生きる可能性はあるだろう。しかし、現実に形になっているもの、すなわち報道は、駆け引きの部分だけだ。そしてそれは報道のせいばかりではない。小沢さんという人は、そういう説明の仕方をしない人であるようだから、というのも大きいと思う。

どうして彼はしばしば決意を語るのだろう? 必要なのは事案であり、事案の合理性と実行可能性だと自分で痛いほどわかっている人だと私は思うのだが、なぜだか出てくるのは決意と心情。この齟齬は何でしょう? 私は小沢氏のファンではないので余計な話ではあるけど、真剣にメディア対策が必要な人だったんだろうし、彼の弱点は自説が通りやすいメディアがないことだったんだろうなと振り返ってみてそう思う。でも、そういえば前にインターネットで、自分でビデオクリップをアップしていたような時があったけどそこでもなんか決意語りだったような印象があるから(詳しく見ていたわけではない)、根本的に、パブリケーションとその効用に理解がない人なのかもしれない。ひょっとすると、そういうのを嘘くさく感じてしまう人なのか? 相手となるメディアが意図的に捏造する体質でない限り、どうしても書かざるを得ないような話の筋をちゃんと組み立てて、言葉を選んで演説するぐらいの覚悟とコツがない、と・・・など思う。

で、

不器用で、口べたな東北気質(かたぎ)のままだ。どうしても説明不足になりがちだ。それが今回の混乱の一因になったと思う。当初から思いを打ち明け、丁寧に説明すべきではなかったか、と反省している。

(読売)

などという、どうでもいいのに、説明が下手なら政治家やめろ、お前何十年やってんだ、とか、東北の人にも話しのうまい人はいる、といった反発を内包しちゃて、触りで確実に小沢マイナスポイントになるものをまず出してしまう、と。どこから書かれてもいいようなことを言うのが政治家だしょ。

だいたいなんなのこのセンス、と私はやっぱり引くんだなぁ、こういう述懐。不器用で口下手って、もうね、お婿さん探しでもしてるならそう特質も大事なポイントだろうけど、求められているのはあなたのアイデアと実行力なので、そんな特質を開陳されても困る。そもそも、何十年もそれでメシを食ってる人にそんなことを言われてももっと困る。言うならもっとマシなことを言ってもらいたい。丁寧に説明すべきではなかったかと反省するなら、今からでも遅くはないから何十時間でもかけて説明すればいい。相手がわからないというのなら、別の言い方でも、こっちからでも、あっちからでもあくまでしゃべれ!と思う。

そもそも、私の考えでは、この人はまだ(この人にとって)大事なことを国民に開示してはいないと思う。しかしなぁ、そうすると、知ってることなんでもぶちまけそうで怖い気もする。そういうんじゃなくて、鍛錬された正直さとか、そういうのがこの人にあると言いんだろうなぁなど思う。あと、物事の優先順位とか。

はがゆい人だ。