ペロシ議長とトルコ問題顛末メモ

気になったので日本語記事を探したが、結局昨日CNNが出した、

トルコ「虐殺」決議案、下院での採決延期か

と、日経さんが社説で書いたのの2本ぐらいしかこの問題に触れていないのが日本の報道であったようだ・・・。
日経さんは頑張ったわけですね、要するに。私はぼけでした。


で、確かに上でも書いたようにイラクの現状についての本筋ではない。しかし、これは決して小さくないですよぉ、と私は印象を受けるなぁ。何にって、まずはアメリカに、しかしコアにはアメリカの民主党にとって。

もちろん、理屈を探せばこんなの些細と言っていえないことはないかもしれない、が、しかし、安全保障上の非常に重要なポイントをぶちこわしにしそうになった、という事件には違いないわけで、だからこそ数日前から現職、引退を問わず大物がぶちこまれて、必死こいて民主党議員を説得して退却させて間に合ったという事態となった。

ただ、そこらへんが大人と言えば大人なのかもしれないが(ニューヨークタイムスは最後っ屁の記事を書いていたが)、こんな問題にもかかわらず、さて、よっしゃ戦犯探し、にならないのは、そうなれるほど今のアメリカには余裕がない、まだ戦時中だ(経済も怖すぎる)ということも非常に大きいと思う。またこの余波で余計なことで言い争いをしているうちにイラクが台無しになったら元も子もない。だからここは飛ばす、と。

別の言い方をすれば、メディアは基本的にリベラル強しなので、まさか自分から反省会はしない、とも言うが、そこで突っ込まれないのは相手が基本的に軍をハンドルしている共和党なので、そんなことしてる場合じゃないと知っているからやらないとも言えるのかもしれない(草の根演説会では言う、言う、だろうと想像するけど)。

でもこれは、潜在的に大問題と思います。こういうことは多分ちょくちょくはないだろうと思えるのでこれもメモ。

Eight former U.S. secretaries of state also oppose the resolution: Alexander M. Haig, Jr.; Henry A. Kissinger; George P. Shultz; James A. Baker III; Lawrence S. Eagleburger; Warren Christopher; Madeleine K. Albright; and Colin L. Powell. They sent a letter to Pelosi last month urging her not to let the resolution reach the House floor.

http://www.cnn.com/2007/POLITICS/10/17/house.armenian/

大物政治家が動いて個々の議員を撤回させる一方で、ブッシュ大統領は議長に電話、さらには、国務長官経験者8名(下)が決議案を撤回するよう先月ペロシ議長に手紙を出していた、というのはそれだけでただごとではないのじゃないでしょうかしらん。パーティーの招待状ならあるだろうけど。

アレクサンダー・ヘイグ
ヘンリー・キッシンジャー
ジョージ・シュルツ
ジェイムズ・ベイカー
ローレンス・イーグルバーガー
ウォーレン・クリストファー
マデレーン・オルブライト
コリン・パウエル

なんか、政治経済の勉強みたいな名前がずらずら。


で、そういうビッグネームがどう普通の人に響くかはともかく、それにもかかわらず、いやそれでもやっぱりこれは少なからぬ選挙民は忘れないかもと見える。少なくともネタにはなるでしょう。で、民主にとってまずかったのは、そういう多少浮動票っぽい人だけでなく、民主の中の人でもコアの人でない限りちょっとついていけないようなことをしてしまったことでしょうか。例えば、政治家が歴史を判断するといった傾向で距離を置く人がまずいて、他には、いわゆる国際関係を協調的にと思っている人にとっても、これは完全にアウトだったでしょう。歴代国務長官の名前を見てもわかる通り、別にブッシュ応援派じゃないし。