とりあえず背中は撃つな、背中は


弱いドルを笑ってみていられるのは強いアメリカだから、と考えたいところではあるし実際まだまだ強い国だとは思うが、しかし例えば、同盟国を背中で打つようなことを普通にやれてしまう昨今の事情を見ていると、アメリカは結構深刻だよなという感じを受けてもいる。

トルコが国境付近でいわゆるPKKにトルコ兵が襲われても北イラクへの侵攻を思いとどまっているのは誰でも知っているその最中に、100年近くも前の事件を持ちだして非難決議をする、というのは一体どういう心理なんだろうかと私は非常にほの暗いものを見ているような気がしている。

というか、お前はあほか、という気分だなぁ、この話は。
アメリカとメキシコの国境付近でアメリカ人が13人殺され、その報復を控えろと言われているところに、わざわざタイミングをそこにあてて日本ではアメリカ人の原住民虐殺を非難する決議案が国会で上程されています、とかいう状況に自分が耐えられると思っているんだろうか?

で、それ以上に北米のニュースの取り上げ方が私としては、ああいやだ、という感じがしてる。

トルコの国境付近でのテンションが高まっていることから原油価格が上がっているわけですが、とすっかり話のとっかかりにすんなり入れているが、自分で煽っているという話に言及しないことも非常に多い。というか、別々の事情として取り扱われている感じか。だから、国境付近のそれはそれ、自分のところの議会の決議はそれはそれ、みたいな。自分のところでは勝ってに分けられるかもしれないが、やられる当事者としたらそんなわけにはいかないのだというのを集団で忘却している。つか、見ないでいいことにしている、といった感じか。

こういうのって強気一辺倒の実際強い国がやっていると恐ろしいが、そうでない場合は何か凋落を感じさせるものがある。
トルコの一件は、クルド独立プログラムの一貫としてトルコの暴発も必要、ぐらいの調子で煽られているのかなとも見えるし、それって、たぶん、欧州vsトルコではありだとしても、アメリカがやってはシャレにならない話なのではないのかなどとも思う。

欧州はほら、そもそもトルコに激しく意地悪なのはデフォだし、トルコと聞くとトルコ共和国じゃなくて、頭の中にオスマンを浮かべてヨーロッパを守れ的なムードを敷いている傾向もかなりあると思う。さらには、オスマン解体のあのすごさ、ルンルンで領土取っちゃうみたいにして領土取りをしにいったことの正当性はすべからくオスマンは悪いやつだから、にしないと確保できない、という潜在的なスキームの問題もあると思う。
(当時は帝国主義だったんだから別にいいじゃん、強いから取ったのよ、と言ってしまった方が余程心理的な負荷は小さく、別の理由を見つける必要もなく総合的な被害は小さい、などとも思うんだが、そういう開き直りはみなさん苦手らしい。)

ま、諸々、それはそれでどうかと思うことの方が多いが、実際彼らは歴史的に隣人には違いないのである程度当事者も見てる側も汚い試合も可、みたいなところはあると思う。でも、アメリカって遠い人なので、あくまで法と秩序の擁護者として振る舞ってなかったら、というか少なくとも当事者の目先の利害とは異なるものをプレゼンできなかったら、その地に関与できないんだと思うのだが・・・・。

ま、その、イラクでの戦争を始めたあたりからずっと言われていることがここでも本当になっているような気がする。まるでアメリカを貶めるために諸々の事を起こしているようだ、というそれ。ドルの弱さを受け止められちゃう人々と重なって見える。私たち並の国だから、別に道徳性とかいらないし、みたいな感じになってきたのかなぁみたいな・・・。多極化かぁと思うと気が重いけど、もう昔みたいなことをアメリカに期待できないのも本当には違いないわねぇ、みたいにも思う。多極化とは早い話が基本的には自分のことは自分でという時代だと思えばいいのだな、など思う。そこで国連が、なんて全くのナンセンスなのは言うまでもない。