エアショーの思い出

ロシア軍の肩章の話を書いたばっかりで次がこのネタではなんだが軍オタになったみたいでなんだが、私の事情とは関係なく、今日まで3日間毎年恒例のカナダ軍のエアショーが行われていた。毎年この時期、要するにレーバーデーがからむ3連休の時にやっているんだろうと思うのだが、今年も恒例で、あれ、空がうるさいぞと思ったらエアショーだった。

ダウンタウンなら絶対、若干西部のあたりは騒音レベルで、ミッドタウンでも、あれと気づくぐらいの音をまきちらしながらのこのショーは、オンタリオ湖畔で行われる。湖畔には、関係者席らしき一体が用意されていてベテランの人とかご家族等々はおそらくご招待されているっぽいが、それ以外の地域もいっぱいあるので、一般人は、浜辺(とまで美しいわけではないが)にねっ転がったり、ご飯たべたり、なんやらかんやらしながら上を見上げて、結構な人々が毎年このショーを楽しんでいる。
(全然データはないんだが、密かにこの3日間って毎年の晴天率高くない?と思ってる私)


私も湖畔まででかけて見たことがあったが、それはそれなりになかなか面白いものではある。軍ものを楽しむというといきなり批判されそうで怖かったりもするし、自分でもどうかなとはとりあえず思うものの興味深いことは確かに興味深い。毎年でかけたいほどではないが。

行ってみて回りを観察した記憶からいえば、来てる一般人のすくなかぬ人々というのは要するにいわゆる鉄オタの仲間なんだろうなぁなどとも思った。北米大陸は鉄道に関しては、もうね、なんつーかかんつーかで、日本とかヨーロッパから見ると、忘れたいような地域なので1)、その代りのようにここでは飛行機があって、飛行機括りの中に軍用機もあると考えてもあながち間違いではないんだろうなとは思った。そういうノリで詳しそうなおとっつぁんが、子供に説明してるんだか自分で興奮しているんだかわからない調子で、あれは何、これは何、あれの設計はどうしたこうしたと話している様子というのは無邪気な鉄オタまんまだった。
(私自身は鉄道オタク系に若干近接している風味があるとは思うのだが、私が好きなのは運用の仕組み、組織と時刻表の方で車輌そのものにはあまり燃えない。)


私はそれをもう聞き耳なんてものではなく耳をダンボにして聞いていたのだが(記憶するためにも予備知識というの必要なわけで、結局大して覚えてない~~;;)、そうこうするうちに、ボンバー(爆撃機)が登場して、頭上に大きな大きなトンボがぶーんとうなりを上げて、ゆうらゆうらと飛んで来た。ファイターは小さいがボンバーは大きいんだと何か腹の底にずっしり来た。


そして、型番こそ違えども、あ、これがつまりB29なのだなと思ったら、何かもう無性に腹が立って、そうそうこれこれ、これで爆弾積んで来るの。頭のてっぺんから紙と木の家を焼くためにこれで爆弾を積んで来て東京は紙くずみたいに燃えました、とデカイ声で言ったら、連れだっていた人は既に東京大空襲の話は私に聞かされて知っていたので、ああ、となり、周囲の見知らぬカナディアンはちょっと困った顔をして私を見ていた。非常に記憶に残る一瞬だった。といってこのおじさんはどう考えたのかまではわからないが、別に嫌な顔をして私を見ていたというのではないことを公正のために書き添えたい。あ、どしよ、俺、みたいな感じで私と目があってしまった。


そりゃそうだよな、と今でもその時でも私はそう思い、でもって、他意なく楽しんでる人に若干の違和感をもたらしたというのも何かあまりいいことのようには思えないような、しかしながら何であれ異見というのはあるわけで、そういうのの提示もあってもいいんじゃないかなど思ってみたり個人的にはこの瞬間の思い出は結構複雑。私の気を楽にさせてくれるのは、こういう場合カナダの中年、特におちゃんはなんであれわりと異論、異見に強い人が多そうに見えるので別に誰も気にはしてないさ、ぐらいに思える状況だったりもする。エアショーを見るたび思い出すんだろうなぁと今年も思いだした。

が、この話は、ヨーロッパオリジナルの人に言うと必ず、そんなことで遠慮する必要はない、北米人は空爆される側の感触がないんだ云々かんぬんというある種のデフォの話に引き込まれることになる。これと、アメリカ、カナダ人の頭の中にはWWIIといえばノルマンディーしかないのか、戦争はもっと昔からやってんだ(ばかやろー)という感慨というか憤慨は、北米滞在している、または自身で移民してきた、つまり100%ヨーロッパ人の少なからぬ人にとっての対北米ストレスのひとつっぽくはある。

わかんないと思うよ、と私はいつも思い、とりあえず趣旨には賛同するが、それはそうとノルマンディーだろうがなんだろうがアメリカに手を突っ込まれなかったらあんたらそれどうやって解決する気だったんですか?ともしばしば思う。いずれどこかでとっぷり話してみたいテーマだが、しかし、それを言うなら日本人こそどうするつもりだったんだと言われれば、まったく答えがないのが情けない(泣)。


1)とはいえ、アムトラックの快適かもしれないが、利便性を追及しているとは到底いえない(一部東部地区を除く)、若干レトロが入ってる北米鉄道の旅というのも面白いとは思う。まだあまり人様に語れるほど乗ってないのでこの評価はいずれ追及する課題として取っておく。カナダもアムトラック乗り入れありで、その他にカナディアン独自の鉄道がある。



http://airtour.aviation.ca/

軍ものにそういうことを言っていいのかと自分でも返すがえすもイヤなのだが、ローヤル・カナディアンエアフォース(カナダ空軍)の飛行機はペイントがとてもかわいいので、まんまサーカスを見てるようでなんかほのぼのするぐらいです。どうしてこうなんだか知りませんが。