カナダ、韓国政府とタリバンの直接交渉を批判

なんかこの、出来事そのものよりも事後が悪いという感じが相当するんだが・・・。
タリバンと韓国の話。

交渉団が7千万ドル持ちアフガンに、一部身代金か…韓国紙
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20070831i102.htm


といった記事があっけらかんと出回ることが、身代金を支払ったであろうか、という未確定情報を事実上確定させてしまうわけで、どうしたものでしょう。

で、そうした事態が既に織り込み済みだからなのか早々(現地水曜夜、日本時間なら木曜真昼間)とカナダ政府は、今般の韓国政府のハンドリングに対して遺憾の意を示していた。外務大臣オフィスからというから、1関係者のじゃないね。


下の記事(CTV)が一番長いようなのでメモはこれにしたが、カナダメディア総動員で書いてるっぽい。基本線をはっきりさせる、という認識なんでしょうか・・・。


Bernier expresses regret over Taliban deal
http://www.ctv.ca/servlet/ArticleNews/story/CTVNews/20070829/cda_hostages_070829/20070829?hub=Politics

OTTAWA -- The Canadian government has expressed regret over South Korea's decision to negotiate a hostage release with the Taliban.


で、肝は今さら言うまでもないが、テロリストとはどういう理由でも取引はしない、というのがまず基本線、と。そこで、しかしながら実際人質を解放するためにはきっといろいろいろいろいろいろあるでしょう、が未確認状態であれば、これは交渉したとも言い切れないから、基本線をホールドできる。

が、今ではすっかり人質の解放で金もってったんだよな、がグレーから黒、確定に見えるような報道が、主にサウスコリアから出てしまっている。サウスの政府はそこらへんを読んで必要なところで必要な限り否定しているようだが、コリアのメディアは突っ走っているように見える。

悪いことには、ここは英語メディアも無数にあるので、詮索話がうろちょろしてもいる。「日本の非道」を広めるには役立っただろうが、自分んちに思いっきり重要なフォーカスが当たっている場合にも、真偽未確定の情報が広まっている可能性もあるかもよ、じゃまいか。

ヘラルドのネタも、Chosun Ilboだ。読売はこのへんを読んで、うちも、と書いたんだろう。でもってこうやって世界中をひとめぐりしちゃうよね、やっぱり。
http://www.iht.com/articles/ap/2007/08/31/asia/AS-GEN-SKorea-Afghan-Sunglass-Man.php


カナダはアフガニスタンに2500人程度の兵を出し続けて(NATOなもんで)、毎月ではないが数か月に1回以上ぐらいの割合で兵士が亡くなっている。そういう場合、きっちり必ず比較的大きく報道するのがカナダ流なので、それもあって、総合的に、普通に、そこは準戦場だという認識が徹底しているので、そもそも、コリアンの誘拐事件が出た時から、普通のカナダ人の反応はコリアンの側からすればとてもシビアなものだった。また、日本では当初ボランティアが、みたいな書き方をしていたが、最初っから、それはミッションだ、つまりキリスト教団体の布教ものだというのもよく理解されていて、その上で、確かに人質を取るとは言語道断だがなんというへまな人々なのだ、といった具合に語られていた。

今般のコメントの中でも結構きついことを言っている。

自分たちも誘拐じみたケースは経験があるわけだけど、その中で自分たちのやり方をやっていくつもりだ。今回を鑑みての変更点というのは特にないだろう。だってうちのスタッフも事前の安全準備もしっかりしてるわけで、バス一杯の乗客乗せていくなんてことはしないから、とばっさり言い切られている。

"If you look at what we do in terms of our acceptance and integration strategies, sending a busload of people down to Kandahar is neither of those ... We feel that our staff and safety precautions are fairly good so we're not really looking at learning much from their experience.''

どこにもきつい言葉は出てこないように読む人もいるかもしれないが、これは結構きつい、腹立ててるぞを示す言葉ではあるよなと思う。ただ、実際、普通に考えてカナダ人というかカナダの何がしかの団体がサウスコリアの今回の行動のようなことをしそうな感じはやっぱりしないとは思う。


アフガン・ミッションの是非はおいておいて、しかしやっぱりちょっと、サウスコリア政府のハンドリングはグリップが弱すぎると私も思う。


さてしかし、このカナダの外務大臣オフィスの主たる外務大臣は(誰も興味はないと思うけど)もう人気のあるマッケイではない。しかしマッケイでも同じことを言いそうだし、言わなかったらハーパー首相が言いそうだ。

というところで、要するに考えてみるとこの声明はカナダのコンセンサスかもしれないとも言えるから国内的には言いやすかっただろう。誰も驚かない。

そして、国外的には、穿って考えてみれば、これはアメリカが言っても別にいい。が、アメリカが言うと騒ぎになるので、サウスコリアに釘を刺し、かつ、タリバンにも改めて宣言するという意味で、あえてカナダが行動を取った、という線もあったりして?など思ってみたりもする。英語圏連合の役割として。効果はともかく。カナダの地位?がなんか国力に比して高いのは常にこういう役割込みだからではないのかとは常々思うところ。