指標を吸うわけでなし、など思う

気温レンジが春になってきたぁとハートマークをつけていたのに、今日は八甲田山死の登頂かぁ、といった天気。乗鞍岳の鳥井尾根(こんな名前だっけか?)で吹雪にあって視界0に近い中を恐る恐るすべってきた体験があるのだが(降りないわけにもいかないんだもの)、その状況が街中であるというのは何度考えてもすごい。

ということは、街中だろうがこの天気にふさわしくスキー用の服を着用するのがベストなんだろうなぁとは思う。ま、実際それに近い服装を大半の人は直ちに用意できるし冬の間常用している人もいるわけだが、さすがにゴーグルをしている人は見たことがない。どうしてだろう。やっぱり変だって思うのかしら?


それはともかく、さっき見たら、Soredaさんの日記にコメントが登録されました、のメールが着ていた。今週の日経の記事についてだった。

私はしばしば日経は読むので、これはすでに読んでいた。
宋さんという方がお書きになっている連載で、先週、今週と、実はポカーンとして読んでいた。この記事。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/manage/20070226/119781/


読まれた方も多いのではと思うのだが、いくつかのポイントのうちの一つは、「日本人1人当たりの二酸化炭素排出量は、中国よりも多い」んだよ、ということらしかった。

で、いただいたコメントでは、グロスと一人頭とどっちが大切だと思うかとの問いが投げられていた。


私としては、この件に関しては、それってそういう問題なの?というのが率直な感想で、もっと言えば、中共さんも大変だなぁと思った。もし本当にこれがこの件に関する適切な指標だと確信的に考えているのでなければ(そうなのかもしれないが)、応援団のつもりなのかもしれないが、応援になってない気がしないでもないわけだが、と思ったから。
[応援団という言い方は失礼かもしれないので何か差し替えたいのですが・・・どう考えていいかよくわからないのでママにします。変えたら記録を残します]


グロスと一人頭については、宋さんという方はご自分でお考えになったのかもしれないが、とりあえずこれは、中共様とインドのある種の公式コメントでもあるようだ。

Although China and India acknowledge their emissions are rising, they argue that, per capita, these remain a tiny fraction of those from developed countries.

http://www.ft.com/cms/s/068271d2-c608-11db-b460-000b5df10621.html


(我々にも開発、発展の権利がある、っていうのもよく出てくるしそっちの方は馴染みがあるが、pollution関係で一人頭って新しい話なのだろうか?)


で、ここだけ取ってしまうと中共様開き直りか、とか言いたくなるかなとも言えるわけだけど、状況から言って、これって、概していえば時間稼ぎなんだと私は思う。

記事の中に、私たちが石炭を使うのは私たちが石炭が好きだからじゃない、これが私たちが持ってるリソースなんだ、っていうのもあった。


で、実際そうなわけでしょ。限りなく無限かというほどたくさんいる人々を全般的に見た場合に、環境やら有害物質に対する考え方や処理方法、法規制の遵守等々も含めていろいろ揃ってないものが多いと。リソースそのもの、あるいはコアのテクノロジーだけの問題じゃないことは先刻ご存知でしょう。

しかも、二酸化炭素だけの問題ではなくて、広義の大気汚染にしても、水質汚染にしても放置していたら困るのは自分たちなわけだから、できるだけ早くなんとかしたい、がしかし、発展もしたい、が、しかし・・・なわけで、その循環の中で徐々になんとかしようとしているとは思えるし、そういうニュースも見る。社会的コストの問題なんだというのも前からいろいろ言われてる。ただあまり効果が上がらないから焦りもあるでしょう。


そういうわけで、総じていえば、俺だって頑張ってるんだ、の代わりに、言い訳というか自己主張の防波堤の代わりに、お前らだって、と言いたいところを数字でまかなっているということではなかろうか。どちらかといえば、経済のフィールドにいる人はそう思って聞いてる話ではないのか、などとも思う。


繰り返しになるが、私はこの件に関しては、中共様、またはPRCを庇うつもりは基本的にはないとはいえ、どうあれ大変だよなぁとは思ってる。なにしろ、横っちょで横領しては北米に逃げて来るとか、国費で留学したら移住の支度を始めちゃう、みたいな人とか、出てきちゃった人が、自分がチャイナにオリジンがある、顔が利くというのを生かしてとにかくお金にするにはどうしたらいいのかにひたすら焦点を当てている同胞(もちろん法的にはなんの問題はないが)が後をたたないようなのだ。

つまり、まだ満遍なくファンダメンタルができたという状態にならないうちにいわば頭に近い人がでっかく食い逃げをしている確率が他諸国に比して大である可能性がある場で、自分んちの大地または空、水をなんとかしようとしている人がまさかいないわけもなし、ということは、そういう人というのは、結局何倍も大変なんだろうなぁとか想像している。

で、そこで、一人頭が云々というのを正面から切り出すというのはどういう効果があるのか・・・・。なぞ、と私は思う。
そうやってなんとかしようとしている人にとってはアゲインストにしかならないのじゃないの?と思うから。人々が教育されるべき状態になったなかなぁと思ったのに、まだ理由があるから大丈夫、と一歩後退なわけでしょ。


そういうわけで、まとまらないけど、グロスも一人頭もどちらもインデックスとして適切な場合に適切なところで使えばいいし、またインデックスそれ自体には別に優劣はないと考える。そして、この特定のケースに関していえば、使用されるべき、あるいは私はそれを優先的に考えることが望ましいのではないのかと考えるインデックスは、緊急度か。


つまり、大気汚染にしても水質汚染にしても、全体的に、だけじゃなくて、緊急に対応しないと人体を含む生活環境に影響を与え、そうであるならその後もしばらくそうなっちゃうかもよ、という事案はないのか、をきちんと調べて対応するような仕組みを含めて、緊急度といっている。


90年代の終わりにWHOが発表したあたりから、下のような記事(上のFT記事の一部分)はすでに定番になっていると言ってもいいぐらいだ。

Both China and India suffer from acute air and water pollution. In 83 Indian cities for which air quality monitoring data are available, more than 84 per cent of the population was in 2004 forced to inhale poor, bad or dangerous air. Only 3 per cent had access to air that was rated good. China is home to 16 of the world's 20 most polluted cities, with dirty air causing the premature deaths of 400,000 people a year. About 340m people, about a quarter of the population, do not have access to clean water.

(試訳)
チャイナとインドは両方とも深刻な(あるいは、緊急の=accute)な空気と水の汚染に悩まされている。2004年のインドでは、大気環境のモニタリングのデータが利用できる83都市の人口の84%が、質の劣った、あるいは悪い、または危険な空気を吸わされており、良好と評価された空気はわずかに3%だった。一方のチャイナは、最も大気汚染が深刻な世界の20都市のうちの16を占めており、その汚れた空気が年間40万人の死を早める原因となっている。また、人口の1/4に当たる3億4千万人程度の人は汚染されていない水を利用できない。


改めて、これは一人頭の問題とか言っている場合じゃないのじゃないのか、だ、大丈夫なのか、との考えを持つのはへんじゃないと思う。


蛇足ながら、私がカナダの一部のいわゆる環境主義者に対して好意的になれないのは、例えばより緊急度が高いかもよ、というところにフォーカスを当てるための支援みたいな話に流れそうで流れないから。とはいえ、そういう一部じゃないところでは実際にはビジネスとして支援できる国だ、と考えてる人が多数かな、というか力が強いかなというところはあるので、ま、カナダとしては問題はないと言えるんだろう。

しかしそれでいいのか、と言いたくなる私は、要するに、余計なお世話派だと自覚してる。あるいはまた、PRCとも朝日ともまったく関係のない意味、関係のない歴史と文脈で、関係のない主義主張、その他関連するすべてと関係なしに、意外と古典的心情リベラルなのよ、よーするに、ともいえるだろうが、しかし、同時に、結局そうしてソフトランディングしてもらうことが日本にとっても必ずいい結果になるんじゃないか、しかししかし基本は自分のことは自分でと念と釘を指すのも重要、などとも思うわけで、これはナショナリストの系に沿った得点があがりそうだ、などとも思う。ま、これはどうでもいいが。