トリミングしてたのに

おあったこうございますねぇ、と言っても程度問題なのだがとりあえず劇的な寒さもなく0度近辺をうろちょろのなんとなくだらだらしたホリデーシーズンとなった今年ももあと数日で終わり。クリスマスが終わったので平常営業という感じの人もいれば、まだまだずっとバケーションというスケジュールの人もいる。1月1日こそニューイヤーデーでお休みになるが、いわゆる「お正月」という年末から年始にかけての、暮れて・明けて、というモードはここには流れていないからこのあたりは人によっていろいろという感じ。まとめて、全体としてホリデーシーズンではあるにせよ。

と今年もまたつづがなく終わって、来年もいい年になるといいなぁとどうしてもそんなことをつい書いてしまう私は、気分がこの暮れ・明けセットに入っているから。英語で話していようともついそう言いたくなって、言ってしまって、なんかまったく通じてないよなこの気分はと再確認することになる。


で、来年はどういう年になるんでしょうかと思いつつ、ここ2週間ぐらいなんかちらほら見ていて気味が悪いと思ったのは、例のオオニシ事件。なんだかなぁ、ニューヨークタイムスはいつのまにか朝日を通りこして朝鮮新報と提携しているらしい(うそだよ、うそ)。
*オオニシ12月事件(他多数あるのでこう名づけよう)の詳細はこちらが詳しかった。産経新聞の古森さん。1)


他のことはともかく、誰かが誘拐されてその全貌が全然明らかではなく、つまり解決などしているわけもない中、さらにそれに対しての大きな苦情やら非難やらというのも正式にあったともいえないようなこの状況で、もはや終わってしまったことなんだといった言を吐くというのは、どういう新聞であれ、どういう人であれ、たとえどんな敵対者であれ、たとえいつの時代であれ、ほとんどまったくお話にならないほどお粗末だった。オオニシもなぁ、と日本ではすでに笑いの対象になってしまったこの名前だが、これはゲームでいうなら野手選択の誤り、いわゆる敵失でしょう。


しかしニューヨークタイムスは一体何を考えているのだろうかと考えることはあまり意味はないんだろうな、など思ってみたりもする。なぜなら、そりゃやっぱり「レイプ・オブ・ナンキン」を煽った主要な媒体だからだ。対象はコリアとチャイナと違うが、反日テーマとなると俄然盛り上がるその総大将みたようなところは日本人としてはすでに織り込み済み風ではある。が、世にNYT信望派というのはいっぱいいるわけで、ここのメジャーな本屋チェーンもその一つで、この本はつい最近でも堂々目立つように本棚に立てかけてあったりする。今でもねぇとたまげていたのだが、これは次の利益への広告だったのか、とも言えそうだ・・・。

AOLのバイス・チェアマンの肝いりだとかで来年はこれが映画になるようだから。


来るぞ来るぞとは言われていたわけで、まさかほんとにと思ったら本当に作ってるらしいのだが、ただ、ものすごいメジャーなハリウッドデビューみたいな「ふり」が最前にあったわりには、実際にはインディペンデント系の映画祭のデビューになるようだ。

その映画祭の予告?によれば、日本軍の侵略により20万人のチャイニーズが殺され何千というチャイニーズがレイプされた第二次世界大戦で最も悲劇的な事件で、西洋人の驚くべき英雄的行為が25万人の命を救った、というプロットらしい。
http://peacejournalism.com/ReadArticle.asp?ArticleID=12313


いつの間にか人数が30万から20万になったのは、南京の当時人口からすれば云々という批判に対する防御だろうか。簡単に10万オーダーで数値が変わるというのがさすが大国か。わからないのは西洋人が25万人を救ったという、そのはどういう経緯を言ってるの? 

しかし最近の朝日経由人民日報では、「大虐殺で同胞30万人が犠牲になってから69年目に悲劇を振り返るのは、」と30万人説堅持の模様。足並み乱れてます。


南京大虐殺の生存者、日本で講演へ
http://www.asahi.com/international/jinmin/TKY200612050265.html


ぶっちゃけ、どのみち日本を降伏させたのはアメリカなんだし、そこに焦点をあてて何もそんな小さな数字ではなくて、5億人を救ったぐらい言えば?など思うがさすがにそれはでかすぎだと思ったのだろうか。

このへんはきっと、では資料はどうなのか、などという取り組みではなくて、映画の企画会議で、どのぐらいならいいと思う?、リアルな感じがする? どうかなぁ、それはちょっと多いよ、じゃあボトムラインはこのへんで、とか話し合って、それで決まった数字をサポートするように全体を拵える、みたいな成り行きなのかなと想像してしまう。

そして、1937年の事件は第二次世界大戦ではないのと思うわけだが・・・というのが根本的にへんなのだが、やっぱりWWIIが付くと付かないではインパクトが違いますからねぇ、という営業判断のなせる業か。さらにいえば、戦闘ではなくてレイプに焦点があたっているというのも、前にも書いたがこの方が目につくし、各種インデックスに反映させやすい(例えば、女性のためのどうしたこうしたとかいうテーマでも引用できるとか)ということかもしれない。そういう意味では、マーケティングを尽くして頑張ってる作品だと言えるんだろう。

地道な広告活動もしてる。


南京追悼の日を制定 サンフランシスコ
http://www.sankei.co.jp/kokusai/usa/061228/usa061228003.htm


制定というのは多分正しい言い方ではないのかも。というのは今年だけで、しかも別に議会を通したものではないそうだから。


と、サンフランシスコからはるか離れたカナダでの話しだが、そういえば、1ヶ月ぐらい前だったか、上に書いた地元の本屋で行われていた、カナダの前の総督でチャイニーズ系の人の回想記の出版を記念したイベントで、わざわざ、日本軍が香港を侵略したタイミングに焦点をあてて語っていたのを思い出す。日本軍の香港進入・進出・侵攻・侵略・襲撃(任意に)はこの人の2歳時に起こっただそうだが彼女の最初の記憶とはそれなのだそうだ。もちろん、そこら中の女性がレイプされたと言い切っていた。

偶然出くわしたので、いきなりなによ、なんだかなぁ、と思いつつ聞いていたのだが、これもまた南京云々へのサポートなんだろうなぁと営業ご苦労様ですということか。


非西洋人で元を正せば白人の国であるカナダの総督になった人が回想するならもっと別のテーマもあっただろうに、正味どう考えても1時間はやってないだろう(私は用事があったので最初の15分しかそこにいなかったので全体時間はわからない)小さなイベントで、その15分が日本軍が香港にやってきた、で、その襲われた香港は、「香港はイギリス人が来ていましたので」とか、とてもにぎわってました、私たちはダンスしてました、等々だという言辞はどうしたものかと思うっすよ。

こうすることによって、大きくは西洋、部分的にはイギリス、そしてその植民地だったカナダを持ち上げて日本を叩く、というスタンスなわけで、この図は上の南京と同じといえば同じなので、ある種のチャイニーズにとってのこの頃の基調なのかもしれない。が、こういうスタンスが自分の回想の根本だという人がカナダの総督であったことを、私はカナダ人にとって結構なことだったとは殆どまったく思わないし、非西洋人としては、笑ってしまうよりもうら寂しい気持ちになった。日本人として腹を立てる前に。で、これが歓迎されているかどうかはよくわからない。阿りがわからない人には受けるだろうが。


サンフランシスコとトロントのイベントになんらかの共通の組織なりがかかわっているという証拠はないけど、とりえずある種の基調がマジで練られていて、実行もされていそうだと見てもいいのかなという状況はありそうだ、という点は気にしておいていいのだろう。


で、その主体者は誰なのかなのだが、一般に、あるいは普通、それは中共様だということになるのだろう。ではその目的は、といえば日本を叩く、ということなのだろうが、考えてみると、この効果にはチャイナにとって危うさもあるだろうなぁなど思える。

多分想定される効果としては、世界中が非難しているという土台を作って日本の発言権みたいなものを封じ込める、日本人の側が何かを言い出す場合に影で心理的に追い詰める等々の陰鬱な効果を狙う、というものと、チャイナ国内向けの締め(抗日こそわれらが証、みたいな)の2つを狙いがあるんだろう。

しかしだとしたら、西洋阿り部分というのは実はいらない。しかし、そうはいっても最初の土台を築くためには、つまり世界中が非難をというところで集客するためにはこれを加えないと効果が薄い、食いつきが悪い。だから加える。が、自信を持った、あるいは実力やらプライドのあるチャイニーズにとってこれはまったく気持ちのいい展開ではないだろう。中共のためにはいいが、長いスパンで見たチャイニーズというアイデンティティにとっては、出かけたところで頭を押さえ込まれるような格好だ。


言い方を変えれば、抗日というのは世界中に日本とチャイナしかいないというプロットの中ではチャイニーズにとって100%気持ちのいい話だっただろうが、現実の登場人物や背景を加えてしまうとそんなものではなかった、が丸分かりになっちゃうわけで、そうなるとチャイニーズにとってそれほど気持ちのいい話ばかりではなかった、ということ。せっかくクロップ(トリミング)してたのになぁと言うことになりかねないのではなかろうか。


なんとなくだが、上のように考えて来た時、これはもちかけているのはチャイナというよりも第二次世界大戦からまりの推移を、日本とドイツだけが非常に悪かったですと言い切りたい人々による仕掛けなのではないのかなど疑ってみたい気がする。中共様がそうでるならば「もっけの幸い」派とでもいうか。それが誰なのかはわからないが、いわゆるコミュニスト新派というかキャンペーン元なのかしらん、など思わないでもない。少なくともその人たちにとってもっとも気の晴れるテーマだ。上でWWIIで、とあったのは、思わず出ちゃった本音かもしれないと見えないこともない。


個人的な興味の焦点としては、ニューヨークタイムスはどうでるのかな、だったりはする。


どうでもいいけど、考える力のある(あるいは皮肉に長けた)ロシア人とか腹抱えて笑ってそうな気がする。


でもって、日本人としては、せっかく背景込みの写真が見えてきたところで、自らトリミング画像に戻るようなマネはしないようにしなくちゃだわという点を気に留めておくべきかと思う。つまり、絵を日中だけに絞ることがド壷。が、しかしだからといって今更、西洋が悪いぞキャンペーンに「感情的に」汲みして得るものはないので、出来る限り往時の事実関係と、ことがここに来て露出されるに至った経緯(これも事実関係)に注視しつつ、これは過去に起こったことなのだという点をうっかり置き去りにしない(今自分がなんとかしなければならないと思いつめない)で対応するよう心がけるべきかと思う。

そうするうちに必ず相手のぼろが見えるはず。今がアレキサンダーの時代(この頃ローマ以降に凝ってるからそう出る)とかだったら敵は倒せばいいじゃ〜ん、だが今日まったく難しいのはそれでも戦争レスにしたいんだよまったく、というのが目標だから頭が痛い。と、まずは自分に言っているよ、もちろん。


1)
ニューヨーク・タイムズ、オオニシ記者の「拉致」解決努力への誹謗記事
2006/12/20 07:32
http://komoriy.iza.ne.jp/blog/entry/89611/

オオニシ記者への抗議
2006/12/21 01:52
http://komoriy.iza.ne.jp/blog/entry/90095/



おっと顛末。

NYタイムズ拉致「扇動」記事 政府が反論文投稿
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061229-00000025-san-pol