とにかく素材はばっちり

インフレターゲットの話を一昨日書いたらBaatarismさんがレスをくださっていた。いろいろ勉強させていただきます。
http://d.hatena.ne.jp/Baatarism/20061129
どうもフォローありがとうございます。

一点だけ一応言い訳しておけば、カナダドル・日本円の相場が劇的に変化したから日本人としては余計高く見えるのではないのか、とのお話ですが、それはその人の収入源によるでしょうね。で、このへんは、実際にはもう去年で終了のようにも思います。一気に変動したのは去年で今年はもう、レンジを103円前後ぐらいで考えていればまぁいいかな、みたいな感じだったでしょうか。実際106円までありましたが。

で、駐在員の方のような円建ての人はここ2年は激動でしたでしょう(ま、為替の調整があるでしょうから実損はないでしょうが・・・)。しかしカナダドルでお金を稼いでいる人にとっては、日本に行ってカナダドルがこんなに使いでがあったのは初めてだ、という展開でした(大昔の人は別にして)。私は現地組なのでどちらかといえば後者ですが、米ドル-カナダドルのバトルでカナダドルがえらく勝ってしまったために米ドル収益が減少したので損をした気もするがアメリカに行く場合に、こんなにカナダドルに力があるなんて!ということもありますので、最終的にはトントンでしょうか。

で、このへんの特に対円での上下は関係者が少ないですから、まぁいいんですが、カナダの輸出先の8割(この数値は若干は変わったかも?)はアメリカ、というその国においてカナダドルUPで走りきった1年半というのは、やっぱりただではすまなかっただろうと思う。

で、このツケも要因の一つ、あるいはきっかけとして、いろいろ理由はあるが、しかしとにもかくにもカナダの成長力にかげりが見えるという昨今のよう・・・。

Canadian Growth Slows Unexpectedly to 1.7 Percent (Update2)
http://www.bloomberg.com/apps/news?pid=20601082&sid=aSmIZy1Y7cpw&refer=canada

第3四半期の国内総生産GDPエコノミストたちは2%予想をしていたのだが実際には1.7%だった。こ、これって悪い徴候なのか、タラタラ・・・というところ。

たまたま前クォーターが、と考えたくもなるわけですが、例えばオンタリオ州トロントのあるところ)では、過去12ヶ月で受注の下落から79,100 人が雇用解雇になっている、といったあたりをリカバーできるのか否か。

Manufacturing fell 0.5 percent in the third quarter, the third straight decline. Factory managers have fired 79,100 workers in the 12 months ending in October to cut costs as orders fell, the Canadian dollar rose and U.S. demand slipped.


しかし、全体の株価を中心に考えればまだまだ強いし、資源ですよ資源の西部〔アルバータなど)は今後も有望には違いないので、全没という話じゃないでしょう。このあたりはびっくりするような活況らしく鼻息あらいあらい。

で、その資源といえばなんにでもチャイナが顔を出してくるわけで、去年にはオイルサンドでいろいろ言っていたが、今度はウラン。サスカチュワンという、誰も知らないですかね、という西から3番目の真ん中あたりにある州にあるCamecoという会社は、こんなマイナーなところにありますが世界最大のウラン生産の会社で、そこがこれからチャイナに売るのか否かでちょっとした議論を呼んでいる模様。
http://www.theglobeandmail.com/servlet/story/RTGAM.20061130.wuranium1130/
BNStory/Business/home


カナダにとってのウラン輸出の競合者はオーストラリアで、オージーはすでにチャイナにウラン鉱山の採掘オッケーっすよにしてうまくやっている、じゃあうちも?と思いたいような、しかし、核兵器を持つ国にウランをどしどし輸出しちゃうというのはそもそも間違ってるという声もあり、また、アメリカにしかられる、これって?という声もあり、というところらしい。案外反応を探るための記事だったりして?

当のカメコは慎重で、チャイナは現在世界市場の2%しかウランを消費してないわけですけど、次の10年に新規の原子炉を18個作るという計画が進んでいけば需要は劇的に増えるでしょう、というに止まっている模様。そんなに新設するらしい。


そういうわけで、とりあえず次々ネタはあるんだから、永遠の安定成長はあり得るものなのか、という問いに対しては、資源持ちのカナダは、殊に21世紀かなり位置にいることだけは間違いはないのだろうなぁとは思う。素材はばっちり。宝の山。

(ひるがえって、自国だけじゃ開発できないほどになにかモノがあるなんてこと、あった、ねぇ?とあらためて日本を考えてしまう。日本にあるのは水と温泉と、そしてあなたの私の努力と根性だけです!というのが嘘でもないのが心強いのか物悲しいのかわからない。前者ですよ、前者。)


ただ、他国に売りすぎだとオンタリオ北部などでは非難があがっていたりするんだが(鉱山開発)、だってうちにはそんなにお金がないんだから仕方がないでしょ、で人は納得するしかないという、ある種資源金持ちの暗い部分みたいな展開を見ることもよくある。そうして、そういうのを見ていると、内陸で資源のある国はある程度でっかい政府(大将でも独裁者でもなんでも)を持っていた方が得だ、少なくとも誰かに所有権取られない、みんなのヤマだみたいな発想になる・・・のはひょっとしたら自然かもしれないなぁなどとも思った。

それに対して、資源なしの国(例えばイギリス)は、自由いいよぉ自由、自由貿易最高と言わねば、他にアクセスできないし、そもそもその土地にい続けしてるわけではないから、所有権という権利(人間に本質的に備わる感覚とはあまり言えないいわば学習して獲得するそれ)を確立させないと何も獲得できない。カナダにはその両方の人がいるなぁなど思うのだった。その意味でも、ここにもまだいろんなことを言い出しそうな可能性という資源があるかもよ、などとも思う。

(内陸の人云々と書いたが、現実のカナダの北部の人は自主独立風なようで、打ちのめされているわけではなく、州政府があてにならない分自分たちでその他国企業とちゃんと渡り合って共存だな、共存といろいろプッシュして街起こしをしようとしている模様で、政府なくしても立つ人がいりゃ街は立つようだ。あまりにも面白そうなのでしばらく滞在したいと思ったぐらいだった。)