永遠の安定基調はあるんだろうか

カナダの日本人が集まると、というほどたくさんの日本人の人を知っているわけでもないのだが、ぼちぼち地味に知り合いが集うと、カナダの物価は高くなっちゃって、もうどうしましょうという、ぼちぼちとした話になる。


実際問題カナダは2%程度のインフレをターゲットにしながらやっているので、上がって当然ちゃ当然なのだが、なんせ日本人の私たちは根っこに、過去10年物価が下がって来た国という、誰に言っても信じてもらえないような(ほんとだよ)国があるもので、人々がちょっとづつ上がってると感じるそれよりもさらに上がっていると感じてしまうのだった。気がつけば自分の身の回り品の想定プライスレンジがカナダ人より低い気がするのは私が貧乏だというだけではないと思う。比較によってははっきりそうだというのもそりゃ大いにあるが。


見事な右肩あがりの消費者物価指数をご覧遊ばせ。
http://www.statcan.ca/english/Subjects/Cpi/cpi-en.htm


日本に帰って買って来るものはかつては自分の趣味の範囲とか必要なものとか、あるいはカナダで売ってないものだったが、この頃は日本で買った方が安いから買ってきたのとホクホクしてしまう人もいる。特に衣料品とか雑貨の類はほんとにマジでそう。お菓子等の加工してある食品のレンジも高いと思う。各種サービスもそうだと思う。美容院とかレストランとか(あり得ない!つー食品クォリティも駄目、サービス何それでその値段かよと蹴りたくなるのにチップが来る(泣))、あと、この間アメリカから帰った人の発見によれば、眼鏡を作るなら日本よ日本、だそうだった。こっちだと、一見安そうに見えて実際にはこれもあれもそれも別立てですになって、おまけに14%の税金が付くので、あら・・・ということになる可能性は大なので、カナダもそうだと思うかと尋ねられた私の答えとしては、多分そうなると思う、だった。健康保険があると言うけど、目の検査もう対象じゃないからこの料金もかかるはず。

(どうでもいいが、気がつけば私の眼鏡は15年ぐらい前に東京で作ったもので、普段はコンタクトなのをいいことに、変えなければならない事情が発生していないのでこのままだが、いい加減ダサいと思う。いくら寝る前ぐらいしかかけないつっても・・・。)


で、物価が下がる国なんてあるわけないと多くの人は固く信じていて、日本と聞けばなんでも高いと勝手に思い込んでいるというのが標準的なカナダ東部。アメリカは意外に日本との交流のある地域が大きいので、日本人が出会うアメリカ人っていがーーいに話題が早い場合があるとカナダとの比較でそう思う。カナダ東部というかまずオタワ、次にトロントモントリオールにとっては大西洋が世界の中心ですので(笑)、日本はどういう理由でもあまり見えてない。バンクーバーの人とかがオタワを覚めた目で見てる(少なくとも歴史的にそうで、今でもしばしばそうだと思う)のは理由たっぷりだとしばしば思う。バンクーバーにしたら隣は海を挟んで日本かロシアか、というあたりだもの。

と、人々の頭の中はそうではあるにせよ、さすがにちょっと成長率にかげりが見えて、秋口には2%ターゲットに届いていなかった。成長率のかげりもOECDのお墨付きになったようで、クールダウンになるんだというのがここにきてコンセンサスになった。1)

で、2%のインフレターゲットは金融政策をしっかり安定させて成功してきたんですよ、しかしこれは見直してもいいかもよ中央銀行および財務省が言い出して、ターゲットラインを下げることが視野に入ってきた模様2)

今後どうなるのかは現時点ではわからないが、2%というのはターゲットとしてはすでにとても小さいわけだから、これ以上になったら、じゃあ何、0にするの?それってどうよ、で揉めると思う。


で、この間の成り行きを見ていて私は人々が物価がががっと下がったらどうしよう、とは思ってないらしいということにひたすら感心している。そうしないためのターゲットだという強い信念なのだろうとも言えるわけだが、しかし、何かをきっかけに圧倒的多数の人の購買力が付いていかないとか、輸出入の調整に失敗して安物が大量に出回って価格破壊が起きたりという事態が発生したらどうするの?とか思うんだが、そういうのってない想定らしい。ま、現在は雇用も悪くはないし、そこそこの利息もついているから購買力の著しい減退というのはオーバーオールではないんだろう。あと、そもそもかなりの分野で寡占が見られる社会なので、皮肉なことに物価が下がりにくい構造だ、というのもあるかもしれない。(真ん中から下の人の生活は破壊的になるわけだが)

そしてまた、そうしないためこそパイを拡大し続ける=移民はどうあれ入れ続ける、という政策でんがな、とも言えるのかなとは思うが、それでもタイミングには勝てないということだってあると思うんだが・・・。

しかしとにかく、絶対に成長はさせる、物の値段は永久に上がると思え、その代わり利息もあるし、大変な場合は免除もみなす、という仕組みってどこまでやっていけるものなんだろう? と私はやっぱり、人生の中ではっきりと下向きの経済というのを経験したもので、どうしてもそれが頭から抜けない。本質的にはバブルOLだったんだが・・・。



1)Decline in growth predicted for Canada
http://www.thestar.com/NASApp/cs/ContentServer?pagename=
thestar/Layout/Article_Type1&c=Article&cid=
1164754216749&call_pageid=968350072197&col=969048863851


2)Central bank mulls inflation target cut
http://www.canada.com/nationalpost/financialpost/
story.html?id=0d469f32-73d4-4ead-99af-8d7aac497956&k=17008