移民とナショナリズム


アメリカの移民法の行方は今もそうはっきりとはいえないが、とりあえず展開として、いいというか、いけそうな感じになっている模様。やっぱアメリカ人は市民権をしっかり理解している社会だよなぁなど感想を言いたくなる展開。


この写真を見ればまず一目でわかる。デモが、星条旗をかかげている。

Immigration
Not criminal, just hopeful
http://www.economist.com/world/na/displaystory.cfm?story_id=6802645


さらに、

Second, the immigrants have aspirations most Americans can relate to. A new survey found that 92% worked, 98% wanted to learn English and 96% were happy to be fingerprinted and subjected to a criminal background check as part of a process that might lead to them becoming legal citizens.


要するに、ちゃんとアメリカの社会の一員となる用意があるんだと不法移民の側が持ち出している。


先週あたりは、メキシコの旗を振って、おれたちはなにも悪いことをしていない、不法移民を認めよ、という主張だったわけで、これって、普通共和も民主もなくアメリカ人はほぼ受け入れられないだろうなと私は思っていた。だって、なんで、不法移民という外国人がアメリカの立法にデモという力を持って介入すんのさ、あんたら少なくとも俺らの法律を破っているわけだが・・・だったから。その上、メキシコの旗ふってるってことは、アメリカになじむつもりもないってか、に見えた。折からの反米ムードと、デモクラッツの支持層は重なるわけだが、ここで反米をもぐりこませたらまとまる話もまとまるまい、と思っていた。


が、誰か知恵した人がいたんだろう。その後は、その見え方まで変えてきた、と。こうなったら、偉大で豊かで寛容なアメリカを表すべきだ、というトーンも可能だろうしアメリカ人としては、そうなら考えてもいいな、そのかわり守るものは守れよ、法は法だ、となる。これは間接的なナショナリズムの援用とも言えるだろう。


上の税金の話と同じだが、俺たちを入れない日本の社会は間違っているといって道徳的判断というより感情を最大の武器にしてきた日本の一部の人たちには到底できない相談だろうし、実は、それはそれだけ、本当に働くためにはこれが必要なんだ、という程度の大きさを表しているということかもしれないし、法と秩序に対する理解が浅薄だということかもしれない。

まとめ:本体社会を否定しながら移民させろ、という方針はほとんどの場合自滅する。