お友達とインターナショナル

どういう帰結があるのかよくわからないが、とりあえず、国連「石油・食糧プログラム」で、違法な工作をしていた疑いでアメリカで逮捕された朴東宣氏の話題がちょっと気になる。とはいえ出ているニュース以上に知っていることは何もないのだが、出ているニュースの量ほど小さい話ではあるまいとは思う。ニュースの出方の恣意性というのはたいしたものだなと皮肉ではなく妙に感心させられるものは毎日あるが。


そのうち探すこともあるんじゃないかなど思ってメモ。

イラク不正疑惑、朴東宣容疑者を逮捕
http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=71503&servcode=400§code=420

South Korean arrested in Iraq oil-for-food scandal
http://today.reuters.co.uk/news/newsArticle.aspx?type=worldNews&storyID=2006-01-07T010935Z_01_KWA685719_RTRUKOC_0_UK-IRAQ-PROBE.xml&archived=False

Korean Lobbyist Arrested in Oil-for-Food Inquiry
http://www.nytimes.com/2006/01/07/international/asia/07nations.html


finalventさんが昨春にまとめていらしたものが、これまで見た日本語環境の記事で最もわかりやすいのではあるまいかなど思ってTBさせていただく。毎度教えられております。感謝、感謝。


暗いニュースリンクでもたぶんあなたに熟考してほしくない暗いニュース
http://finalvent.cocolog-nifty.com/fareastblog/2005/04/post_894a.html


で、この話は、どこから行っても?カナダは関係があるわけで、まずカナダ人のモーリス・ストロング氏という、ビジネスマンであり、国連関係者であり、かつ現在の首相のアドバイザーだったりなんだりかんだりという人が朴東宣氏と関係が深い。どう関係があるかというのが問題なのだが、とりあえず氏はスキャンダルがらみの関係ではないと言う・・・。

これが去年の春先で、この、プログラムの不正容疑で調査対象になったことから氏は北朝鮮問題担当という役割を終了した(国連が更新しなかった、ということかと記憶)。その時に、カナダの国会でも議案とされたようで(当然か)、その時には、国連のこの石油食料プログラムをめぐるスキャンダルにカナダが関係していないと首相は確証できるのかと尋ねられ、外務大臣が、もちろんしてません、ストロング氏は、国連特使として北朝鮮に関係した仕事の中で朴東宣氏と関係があったんだと言っています、と答える一幕があった。


つまり、ストロング氏はともあれ、それはカナダの話じゃない、カナダじゃ、ということが言明された、と。そう大きくは取り上げられていなかったと思うんだが、そうでなかった場合を考えてみると、これがどれだけ大変なことかがわかるというものだ、とは言える。それはつまり、フランスやらドイツやらとイラクの関係における世界中の大マスコミが取り上げない方の筋と同じ筋にカナダも落ちるのか、だから。

しかも、ストロング氏は、現在の首相であるポール・マーチンと、単に現在のアドバイザーという話ではなくもっと深いお友達らしいというのが、大変。


で、このストロング氏。どうしてこんなに国連という場において力あるいは影響力がある、あるいはあった、あり得たのか、よく考えてみるまでもなく不思議といえば不思議なわけで、この問題は今のところ開かずの扉状態になっていると言っていいかと思う。そしてカナダ人にとってはこのことがかなり深刻に問題ではないのか、などとも思う。なぜならある種カナダの過去二三十年と今現在の方向付けにかなりの影響を及ぼしてはいないのか、とも言えそうだから。私としては控えめに言えそうだとか書くにとどめたいが、インターネット上ではある種の陰謀論も含めて結構語られている話かもしれない。
とりあえず肩書きっつーか、簡単な履歴。
http://en.wikipedia.org/wiki/Maurice_Strong


ついでに、写真。
UN studying Maurice Strong's business ties
http://www.ctv.ca/servlet/ArticleNews/story/CTVNews/1113961328740_9/?hub=World



でので、なんの解決もないが一応ここで話を切って(笑)、今現在カナダは選挙で忙しいのだが、この選挙でポール・マーチン率いるところのリベラルが野党にまわる可能性は年末と比べて上昇していることは、上の問題に関する今後の成り行きとしてはちょっと注目かと思ってみたりする。


年があけてから行われた世論調査で、保守が鼻差でリードしている模様。「体感値」もそんな感じか。ちょっとリベラルげんなり派が増えて来たというより、潜在から顕在化したような感じがする。
http://www.theglobeandmail.com/servlet/ArticleNews/TPStory/LAC/20060107/POLL07/TPNational/?query=poll+election



第一のポイントは、スキャンダルのリベラルという図式のようなものが定着していったことがある種の低いが持続的な効果(リベラルにとってマイナスの)をもたらしていることかと思う。

野党第一党保守党も、NDPという第三党のCMも、リベラルのここ1、2年のスキャンダルを思い出させることに腐心していて、これが結構な効果をあげているかと見える。

NDPのテレビ広告
http://www.ndp.ca/tvads


「リベラルのお友達」という語が見える。このCMは、リベラルは自分のお友達には大企業減税をプレゼントして、普通のカナダ人には何をくれたか? なし、という展開になる。お友達ね、お友達、と。


保守党の方も、マーチン首相がどこかで語った「リベラルは腐敗していない」という語をエコーのように出しつつ、その上でスキャンダルに関して書かれた新聞のヘッドラインを読ませる仕立て。well-connected friends、深い関係のあるお友達のために政治やってるリベラルというコメントが入る版もあった。


これらの意味は、もちろん、たとえば、ヘルスケアにしても教育にしても警察にしてもお金は支出されているのに事態が改善されない、つまり中抜きされてるだろう、でそれが「お友達」と関係があるだろうという構造の話なわけで、インターナショナルなスキャンダルが念頭にあるわけではないだろう。多分。が、しかし、こう、なんですね、ずっと流れを見ていると、これってつまり、なんかこう、もっとぐっと深い意味があって言ってるんだろうかなどとも見える。


なんにせよ、今回のカナダの選挙は興味深い。インターナショナルに。