カナダの選挙(3)


お伝えしておりますようにクリスマスだよというのに、お正月だよというのに選挙戦に突っ込んだカナダですが、15、16日には党首討論会があった。15日はフランス語編、16日は英語編で、リベラル(与党)、コンサーバティブ(野党第1党;長いから保守と書く)、NDP、ブロックケベコワの4つの党の党首が、2時間に渡って国民から寄せられた質問に答えるという形で討論(というより、発表会のような形式ではあるんだが)を行った。


なんといっても北米でもっとも人々がお買い物をしたりそわそわしたりしているであろうというクリスマスのちょうど1週間前の金曜日に誰がテレビなんか見てんだよ、というタイミングなわけで、テレビが言っていたところでは討論の始まった8時についていたテレビが2百数十万だかで見ていたのは24万だったかそんな数字だったらしい。ひと家族に3人いるとしても百万以下の人しか見ていなかった、ということらしいのだが、そもそも人口が3200万ってことは家庭にして1000万以下であろうから、10軒に1軒としたら、まぁそんなものじゃないのかなどとも思う。わからんけど、とりあえず、感心が低調であるとは言われ続けているのもメモとして書いておく。


で、直後の結果(Global TVのニュース)は、
投票するのはリベ32、保守30、NDP17だったか、そんな数字だった。
どこかに新聞社のがあったら貼りたいのだが見つからないので後でやるかも。


争点は何か。まず、ゲイ結婚、リベラルの汚職、ヘルスケア、税金、ケベック独立、でもってアメリカとの関係。

で、主張はそれぞれ相変わらずで特に目新しいしものはない。ただ、ケベックのケベコワが、独立すると言い切っているのが、やっぱりそう来たか(とこれもある程度も見えていたが)だった。


これに対してマーチンが、自分がケベックに家がある人なので(ものすごい豪邸)、自分もケベック人だ、自分の国がどこかに行ってしまうようなことを言わないでくれ、第一カナダの憲法でも各種の合意でもケベックはカナダだということは明らかなんだからと気色ばんだ。


なるほどそう来たかと余裕をかまして見てしまう私がいる、というところで、しかしながら、このマーチン氏の発言はたいしてカナダ人には受けていないようでもあった。


なんといっても、ケベコワの党首は、最後に司会者が50年後のカナダはどうなってるか、手短かに、と言ったら、ケベックは独立していると党首が答えたぐらいなので問題にしないわけにはいかないのだろうが、今日のフォローアップ的なニュースの中では、こうやってすぐに独立をちらつかせるケベックにその他の人々が飽き飽きしているというのがありありだった。実際、政治的な駆け引きというのを超えている感じか。個人的に聞いた範囲では、ケベックの人でもいい加減そういうの止めてくれと言っている人も多いらしい。


で、他のことはともかく、と私が思った点はなんといってもアメリカ。前にも書いたように、過度に反米を使うであろうとは想像できた。討論の前にもすでに、マーチン氏が、アメリカに指示されるようなことはない、俺たちは俺たちの立場で行くんだ云々と強い口調で言ったところで駐カナダ大使が、アメリカはこの選挙には出てないからとまぜっかえす(?)一幕もあったぐらいだった。


このマーチン氏の反米というか、アメリカに抗する姿勢は、もちろん保守党には不評だが、NDPも「恥知らずのポーズだ」と酷評している。


これはBBCが上手にまとめたこの間の成り行き。このタイトルも、アメリカがカナダの選挙に入ってきた、というもの。
US card enters Canada's election
http://news.bbc.co.uk/2/hi/americas/4533818.stm



この記事によれば、「マクリーン」というカナダの総合誌というか、まぁビジネスっぽい総合誌の著名なライターのPaul Wells氏は、マーチン氏を自分が知る限りで最も反米という感情に迎合していると評している模様。どうあれブッシュは2009年まで政権にいるんだし、カナダが向かい合う人たちはその人たちだ、それなのにそんなに批判してどうするよ、と、でもって、環境問題でアメリカはダメダメだというけど(これが反米を言う人のある種の根拠、手始めの1つになっている;soreda)、それはカナダの偽善だとも言っている。


(なんでかといえば、アメリカにしたって二酸化炭素排出に関して何にもやっていないわけではなくて、達成した数値としては確かにカナダの方がパーセントは高いのだが、アメリカの方が10倍も経済が大きいわけで、アメリカが減じた排出量というのは、それだけでイギリス一国分にあたるらしい。これは別のところで読んだ。ところが、カナダ人の非常に多くの人は、あまりこういうのを知らないらしく、京都(議定書)のことがあるもので、アメリカは何もしてない、と頭かっら思いなしている模様。
 また、連邦レベルではないが、オンタリオ州レベルでは、二酸化炭素排出の問題があるから火力発電は中止だ、となっているのだが、電力が足らない時には五大湖の向こうのアメリカから買うことになる、それは火力だ、ってのもある。さらには、オンタリオのゴミの中にはアメリカで処理してもらってるものもある。)

Nevertheless, Mr Wells says that the anti-American card is always popular with Canadian voters. He notes that tracking polls seem to suggest that Mr Martin's popularity has risen since the US ambassador made his comments.


それにもかかわらず、氏が言うには、反米カードは強いままだろう、なんでかっていえば実際それがカナダ人有権者に受けるからと語っていて、氏の観察では、駐米大使がコメントをして以来むしろマーチン氏の支持率は上昇しているのだそうだ。


どうするんだか。