選挙ひとこま

ライブでお届けしておりますカナダの選挙でございますが、今日は、地域から出ている候補者でありかつ現職(解散したから過去形にすべきか)の議員さんがいわゆる個別訪問で私んちにやってきた。

ドアを開けた瞬間、開口一番、わ〜私あなた知ってる、顔で、と言ってしまった。私は女学生か。


しかし私は選挙権はないのでそう言うと、hopefully soonと、つまり、すぐに取れるといいな、と言われた。いや一生ないかもしれないんだが、と心の中で思ったもののそれもなにかと思い、ええ、まぁと答えた。


で、彼としては用事はないわけなのでさっさと去ろうとしたわけだが、私ったらミーハーなもので、これってカナダのやり方なんですか、こうやって個別に訪問するのは、など話し掛け、そうだよ、あんたどこから来たの、日本だよというやり取りをした。(知ってるんだが、咄嗟にそれしか頭に浮かばなかった)日本では選挙期間中の個別訪問は禁止されているからと言ったら、じゃあどうやって候補者の意見を人々は知るんだと言うから、定められた時間内の集会はOKだけど云々と答えた。へぇという顔をされた。私もかねがねへんな話だと思っていたのだが、今日あらためて、いったいあれはなぜなんだと思った。


とはいえ、今日の個別訪問は確かここ数日で3回目ぐらいで、それは多分、地域の選挙管理委員会の人とあとどこかの政党の人だったのだろうと思うのだがもしかしたらその中には候補者がいたのかもしれない。いつもつれなく、私選挙権ないから、じゃあね、がんばってねという調子でドアを閉めていたが思えばもったいないことをしていたかもしれない。


日本とはいささか選挙の仕組みが違っていて、選挙管理委員会は選挙のたびに来て選挙人名簿を作る。でこれがその選挙に対する母数になる。なんつっても戸籍に連動した住民基本台帳という「板」が存在しないので、他にやりようがない。アメリカもそうだけど、基本的に人の住所というのは管理されていないから、個別の用件ごとに調べないとならない。

このへんのことは昔も書いたので詳しくは述べないが、思えばいろいろ違うものなのだよと改めて思い出した。なんといっても、いやしかし、どうして個別訪問が駄目で街角の演説が良いのだろうかという気はする。しかし、確かに、上がり込まれて話し込まれるとイヤだということもあるかもしれない。どうなんだろう。


それはともかく、いやしかし、現職議員はやっぱり、そうかさすがに長いことやってる国会議員なんだなぁという感想を持った。他の人と違うオーラが出てた。そしてそのオーラは他人の前に出るのを商売にしていることがもたらすオーラだと思った。その意味では、売れてるタレントさんなんかと同じかも。非科学的なことを言っているとは思うが、いやしかし、これって政治家にとってとても大事なことだと思う。


そして、そのオーラはテレビやら演説のための舞台では意外と見えないものだったりするのかもとも思う。なぜならそこはそもそも人工オーラが用意された場だから。


私自身日本でもカナダでも国会議員さんを見たことがないわけではなくて、なにかのはずみで同じ場にいたこともあれば、日本だと街頭で小さく演説している人もよく見た。自転車に乗る栗本振一郎氏も見た。そういう体験があるから、今日、見たことがある、から、会ったことがある、にめでたく変わったこの中年から初老に入ろうというカナダのおじちゃんに非常に大きな感慨を持つというところまではいかないが、でも、これがもし生涯ではじめて間近で見た国会議員とかだったら結構大きな好印象をもたらすのかもしれないなどとも思えた。オーラに負けるわけ。もちろん、逆に、覆しがたい悪印象となることもあるだろう。いずれにしても、人に会う機会を増やすというのは、リスクはあるにせよ、いいことだなと思った。


どういう意味もないのだが、とりあえず、手を差し出して握手した、というより握手してもらった(笑)。デジカメも出せばよかったと後で思った私は性根からミーハーだと思う。