ちょっとしたことだが

トラックバックをいただいたところへはまかりこしてご挨拶に伺うべきなのか否かをしばしば悩むが、どうしていいかわからずにだいたいいつもとても場当たりにすましている私。uumin3さんTBありがとうございました。

たどっていって読ませていただきました。uumin3さんとマッコイ博士さんによる、大きな政府と小さな政府の論争をされていた。はじめまして。

http://d.hatena.ne.jp/uumin3/20051125


で、マッコイ博士(この上にさらに、さんをつけるのもへんかと思い以下博士でおしまいにします。ご了承くださいませ)が引用されていた文章がちょっと気になった。
http://d.hatena.ne.jp/drmccoy/20051125

アメリカでも貧富の差は拡大した。レーガノミックスは富裕層への減税を断行し、上は潤った。税率の最高が28%というとんでもない優遇税制。が、貧困層への減税はなく、結果、貧富の差は急激に拡大した。ホームレスが社会問題となり、NYやLAなど大都市の治安は悪化し、アメリカは「犯罪大国」として知られるようになった。

医療・教育など福祉の荒廃も深刻。レーガンは減税とのバランスをとるために、社会保障の支出を抑制した。


とりあえずよく見る意見かなとは思う。が、このよく見る文章の中の個別の文の因果関係はどの程度正しい、ではなくて妥当なのかというのは意外と放置されたままではないかと私は思う。わりと長い間疑問なので、教えてくださる方があるとありがたい。


減税の話は、とりあえず一般にお金持ちへの優遇税制だったと言われている、それはそれとしよう。が、その結果として「貧富の差は急激に拡大した」「ホームレスが社会問題となった」「NYやLAなど大都市の治安は悪化し、アメリカは「犯罪大国」として知られるようになった」、これはレガノミクスのせいなんだろうか?


一般にアメリカのリベラルからの文は、そうだそうだということになっているんだが、私はいつも疑問に思う。
アメリカの60年代というのはよく知られているように公民権運動があって、それを超えてようやく黒い人も白い人もなく平等な待遇を求めるのが正しいという話になった。そんなところまで公民権運動が必要だったというだけで、ぶっちゃけ、なんちゅー国だ、ではあるんだが、ともあれそうだった。


さてそこからレガノミクスまでは何年あるだろう? 1981年から1988年までがレーガンの時代だったわけで、レーガンを批難する人はこれより前が素晴らしいといっていることになる。それって、10年か15年の話なわけだ。しかもその間にはベトナム戦争がある。


いったいどこかに素晴らしく理想とするような時代があったんでしょうか? リンドン・ジョンソンの時代に、何かをなしたかもしれない。が、経済体制は持続的でなかったら意味はない。自分の政権時代の「結果」はいいだろう、だけでは困る。経済的には50年代はいうにおよばず60年代、70年代までのアメリカの経済の強さ、みたいなのは持続してあったでしょう。でもその時代に「貧富の差」がなかったと言えるんだろうか? そんなことありえるんだろうか?


私はここで、反語的に「いえない」という証拠を持ってはいない。データにあたってもいない。だからあり得たのかもしれない。しかし、あったとしたらどのように、というのを考えていくと、やっぱり疑問を持ってしまう。公民権運動のすぐ後の社会正義的な高揚感をのぞいて、その時代が、レーガンの時代よりも、貧富の差もなく、治安もよく、ホームレスもいなかった、少なかった、とした場合それはどのぐらいのものなのか。