胡錦濤さまご訪問


胡錦濤様が、本日カナダの首相マーチンと会談いたしました。

とはいえ、会談ってか、なんかこう、公式見解をただ述べていただきましたというものであったらしい。しかも、カナダの報道など、ではなんでカナダはチャイナと仲良くしないとならないの、それはね、嫌でもなんでも商売しないとなんないから、と書いてしまうという、つれないといえばつれない仲。

で、当然のことながら、貿易のために人権問題をおろそかにするな、それでチャラとかなしだぞ、カナダにとって人権は言ってるだけの問題じゃないんだ、キーなんだ、との声は大きい。


そうはいってもカナダにとってチャイナは、アメリカに次ぐ貿易相手国。大事にしないと、とそういう調子もなくはない。


石油の出る、経済性はともかく、ホントに採算合うのかおい、というのを度外視すれば、埋蔵量的には石油大国であるカナダを、チャイナがエネルギーがほしいから貿易を望んでいるとも言える。もちろんカナダの会社も売りたい、と。


しかしながら、カナダにとって第二位って、実はあんまりたいした位置ではない。なぜなら第一位のアメリカとの関係が大きすぎるから。ついこの間までの第二位は日本だったのだが、別に日本が大事にされた、日本がカナダを大事にした、というのも特にない。別に仲が悪いこともないし、そもそも二人とも大人の国なので政治家の出番はなかったという意味でもあるかもしれないが、ま、第二位のポジとはそういうこと。


あとは、既に急速に拡大している貿易額をこれ以上増やす必要もない、という声もある。


と、とりあえず貿易関係でいろいろ合意が成ったそうだ。
今日現在では私にはよくわからないのだが、チャイナがらみで投資法を改正してまで反応しているだけにこの成り行きは要チェック。



で、それだけが注目点だといってもいいのだが、一応マーチンと通訳を介して30分ほど会話した模様。そもそも通訳挟んで30分といったら実質話せる時間は普通には半分以下の分量。


そこで勢い中国共産党的公式回答集から答えが出てきたらしい。ま、いくらかはやむをえないでしょう。でも、様様のお答えも、いくらなんでもなんでしょうかね、ではあった模様。


カナダの国内紙のうちの、リベラルじゃなくて保守系の新聞の記事なんか、これでもかと前編悪意に満ちている。いやぁ、結構きてます。


Canada-China open for business
By BRUCE CHEADLE
http://cnews.canoe.ca/CNEWS/Canada/2005/09/09/1209733-cp.html


チベット、台湾の公式回答についてもそれぞれ手短にかましているのだが、最後にカナダにとっての問題、チャイナの産業スパイについて。上のNational紙によれば、いくつかの件については証拠もあるのだが、この質問を向けられた時、コキントー様は、最初それを無視し、おちゃめなマーチン首相が促したところ、

「手短に言わせてくれ」
「これは実際には存在しない質問だ」
"Actually this is a non-existent question."

と言ったそうだ。


ほんとにかぁ? いくら中華帝国の新しい帝王といえども、ほんまかいな、と私としては、へ?のまま。なかなか言えんだろう、やっぱしというか、言うのか、そんなこと、だ。


なんとなく、これがもし、virtually this is...のヴァーチャリーを強調したりしたら含みもあって、もし笑って言えるのなら、茶目っ気の応酬になれる可能性もなくはないのにな、なんて思ってみたりもする。事実上ないんだよ、なぜなら俺は受け付けないから、って、これじゃ脅しだが、あくまで両方が理解しあえれば、笑えると思う。(この件で笑えるのか、という点で結局ダメのような気もするが)ひょっとしてそのつもりだったりして? わからん。少なくともどんな意図だったとしてもいくらかのカナダ人には全然好感されてない。


とりあえず明日また別の記事を読んでみようとは思う。


でもはたと考えると、中華の序列からすると、カナダなんて、別の帝国じゃなくて、別の帝国の属国だ、ぐらいの位置だな。だとすると、そういう下の序列のものに話しかけるマナーとかよくわからなかったりして。んなバカな。でも、もしこの新聞が書いていることが本当なら、そう思われても仕方のない対応ではある。

対して、マーチンは大金持ちだし、彼自身The Right Honourableとかいう一種の称号で呼ばれもするんだが、こういう序列で尊大になる、ちじこまる、みたいな感覚から相当に遠い人のような気がする。


その他、気になった点は、チャイナ系でないカナダ人はこの訪問について殆ど誰も気にしてない。が、チャイナ系は、親・中共、反・中共共に大騒ぎの模様。で、カナダの議会の前で両派が激突、と。はっきりいって、自分の国の中でやってほしい。


一応別メディア。
China's Hu stresses economics in Canada visit
http://ca.today.reuters.com/news/newsArticle.aspx?type=topNews&storyID=2005-09-08T210722Z_01_SPI875969_RTRIDST_0_NEWS-CHINA-COL.XML