問題噴出ケース1「オレはお前とは違う」


More Turmoil In Japan
Tim Ferguson ,08.08.05, 6:00 AM ET
http://www.forbes.com/economy/2005/08/08/koizumi-japan-economy-cz_tf_0808koizumi.html


参院での郵政改革否決を受けて、上のフォーブスなんかは媒体の性質からいって当然ちゃ当然だが、全体としてのリフォームの話として受け止めている。でもって、大変だけどこれ(解散)しかもうなかったよなという感じか。


で、興味深いのはBBC。というより、BBCのコメント欄。

Is reform in Japan realistic?
http://news.bbc.co.uk/2/hi/talking_point/4131216.stm


基本的に日本の失敗には微笑んでしまう傾向のある媒体ではあるけど(あはは)、記事本文はまぁここまで混乱した結果から見て、リフォームってほんとにできると思う?と問いかけてみたくなるのは一応納得できる趣向。


興味深いのは、そこについているコメント。


まず問題を外してる。でもってそれがつまり問題の在り処を見せている風でもある。


小泉憎しとか日本にはいらない郵便局が多いとかなんちゃらかんちゃらで、問題は郵便じゃないんだ、問題は小泉だ、小泉のやり方が悪い、はては、小泉がやりたいことは日本をUSAのような国にすることだ、でもオレたちはアジアにあって、違った歴史を持っているんだ、オレたちはアジアの隣人に尊敬されるような国にならないとならないんだと書いている日本人がいたりするし、外人名のTokyo発信のものもなんだかよーわからん意図だなぁという感じ。Japan Todayとかに出てくる人と同じ人たちが活躍しているのかしら?など思ったりもする。


それはともかく、まず、なんてか、「日本をアメリカのようにするつもり」って、国内でこそ、つまり、アメリカ追従だ、という意味にとられ得るけど、サラでこう書かれるととてもへん。USAのような国になる、ってどこの国にとってもリアリティないですから(笑)。書くなら、それこそハゲタカが狙ってるとでも書いた方がまだしも説得力があるだろうし理解されるだろう。


さらには、オレたちは異なった伝統があるんだというのなら、アジアの他の国とも違うんだって思わないのかな、この人、など思った。自分で説得力を無くしている。これもまた、「アジアの隣人たちと」という語が日本語環境にあっては、別にどーってこともなく交わされるが、実際にアジア地区にはいろんな国があるのだと知っている人からしたら、なんだかなぁ、だってこと。イラクもインドもアジアなんだが。




ふと思うに、少なからぬ日本人にとっては、オレたちはUSAとは異なるんだ、という反発のためのレトリックが「オレたちはアジア」であるだけで、それは、「オレたちはお前と違う」の強めの意味ぐらいしかないんだろう(それをBBCで書くというのはなかなか象徴的だ)。


しかし話者の意図がどこにあれ、それは昔、「大東亜共栄圏」を作ろうとしたのとまったく同じ構図なわけで、それ自体よく考えてみれば実は覇権主義的にも見えるし、余計なお世話でもある。アジアを連発する人はそのことに気付いているのかしら? 


東亜と、東を付けていた先人の方がまだしも謙虚だが、東に入れられた人はそれを迷惑だったとさんざっぱら抗議をしているんだから、私たちはそう簡単にこの語を連発するのは止めるべきなのだ。かかわりません、こそ事実上不戦の誓いと等価だろう。


つまり、「オレたちはお前と違う」とお前に文句をつけるなら、オレたち日本は、だけでやればいい。他者を勝手に仲間に引きずるな、みっともない、と私は思う。『甘えの構造』まんまの人がいるということに過ぎないのだろうし、それはそれで国内的には理解可能な範囲なのだが、その枠がなくなった時それはあまりにもヘンだがそれに気付かないからこそずっとこの思考構造が残る。そして私はそのヘンさ具合を今朝こうやって見せてもらって、これこそ連綿と続く日本の病の一つではあるよなぁと思った。


ジュンちゃんのフォーカスは経済の構造改革にあるだろうが、その噴出は多岐に渡る。経済は倫理でもあるからそれはそうなのだろう。貴重な機会と捉えよう。


[追記]
アップしながら全体のタイトルを変えてふと思った。
アジアを連発して背中に何かあるような気分に支えられる、ということかな、と。「たてこもる」って感じ。で、そうならそれは連合赤軍が山にたてこもるように、なのかな。「たてこもり」の思想とでもいうべき何かがある。