タイトルがない

US reports China missile build-up
http://news.bbc.co.uk/1/hi/world/asia-pacific/4698655.stm


[中国軍事力]「『脅威』を浮き彫りにした米報告」
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20050720ig90.htm


で、現状は、

In an annual report to Congress, the Pentagon claimed there were now up to 730 such missiles in place. Last year's report found only 500.


個別にはこの2点が重要かと。

The report points to China's growing missile capability and the imminent deployment of mobile, long-range ballistic missiles, known as DF31s, which could hit targets worldwide with nuclear warheads.


The Pentagon report says Chinese defence spending could be up to $90bn this year, more than twice the estimated figure given by Beijing.

と、しかし、どうもこうチャイナが軍備を増強する意味ってなんなんでしょう?というのが私にはとても疑問。
膨大な書類が続々増えていくけど、タイトルがないみたいな、あるいはプロジェクトはもりもりに進んでいるけど、このタイトルってまだついてないんだったよね・・・みたいな感じ。



で、困ったことにはどこまでいっても出そうもない。軍事力に大義などあるものか、という人もいるだろうし、じゃあアメリカはどうなんだと脊髄反射的に考えたくもなるけど、アメリカというより、現在のアメリカのポジションは17世紀以来の西洋人の基軸の先っちょでしょ、だって。ワールドオーダーを作るんだ、ってブッシュに言われるとこれまた脊髄反射的に反対したくなる人もいるだろうが、穏健と強硬、なんなら、センスとセンシティビティとか言ってもいいけど、手法においてA派、B派があるだけで、いわゆるいうところの自由貿易主義、または西欧近代資本主義でいきまっせという点については別に揺れはないと思う。社会主義があったじゃないかというのは単なる冗談なのでスルーするとして、イラクの件も、善悪を抜きに言えば、結局はこのビューのうち、あの地区の復興事業を今後の課題にするという基本方針のうちなのじゃなかろうか。復興事業って別に橋とかビルを建てるだけじゃなくてソフトも含まれます、お金とのつきあい方も含まれます、と。(そこからすると石油のための戦争というのは、事態を見誤らせるるものだったなとかも思う。)


で、そこで全体としてのムスリムが反発する理由は結構ある。頭で考えるよりもよっぽどあるかもなぁとはこっちに来てから知り合ったムスリムの人たちを見ての私の感想ではあるけど、とりあえず今日はこれは考えない。


でので、チャイナなんだが、西欧近代への内省を含む批判というのは基本的にないっぽい。あったとしても、そんなこといったってずぶずぶに足下までお金大好き、儲け大好きの人々になっていて、そのお金を「国」に残すという発想もあんまり見えない(あるなら、炭坑なんとかせーよ、まず)以上、むしろ並の国家群の西欧近代モデルよりハイパー、しかし自前のヴァリューがない分劣化ハイパーだ。で、代替案もなさそうだし、代替案を想起可能な、現在と接続可能な固有のモデルというのもないっぽい。


おまけに東京裁判は正しいぞごらぁ史観を持ってしまった以上、結局なんか西欧ルーラーズ・クラブの太鼓持ちみたいだ。


さてここで軍備を持つ大義って何があるんだろう? ソ連は、本気のわきゃーねーだろーとはきっと思っていただろうが(笑)、名高い戯れ言、帝国主義の戦争は悪で、社会主義だか共産主義だかなんだかそういうのは正しい、みたいな線でプロパガンダに勤しんだ。効いたんだよ、これが。


この手のものでチャイナが手にできるのはなんだろう?


上のBBCの記事が、アメリカがチャイナの軍備増強についてレポートしたのを受けて、チャイナの外務大臣のコメントをのせていたのだが、ここに、自分たちの勃興は平和的なもの、みたいなことを言っているという一文があって、おお、ソ連踏襲型かとちょっと期待してみたのだが、そこまでは言わないようだ。どの国とも共に発展し、相互に云々かんぬんじゃ全然現実とあってないのがただ丸分かりなだけ。

But China has dismissed the claims, insisting its rise would be peaceful.


"Not only is China not a threat to anyone, but we would also like to make friends with people in every country, work together and develop mutually beneficial co-operation in order to facilitate everyone's progress," Chinese Foreign Minister Li Zhaoxing said on Wednesday.


つまんないことだが、読売とかはこういうリアクションも取材すべきじゃないのかな。そうであればこそ、いろいろ言えることもでてくるんだから。



ま、それはそれとして、では現在におけるチャイナの軍備増強は何のためなのか・・・。まるでわからんけど、でも役に立っていることがあるとしたら、内国向けか。つまりその、言葉が不適切なのはわかっているが、チャイナ式のある種の「福祉」なんじゃないかとさえ思ったりする。


並の国家群では、衣食がある程度そろったらじゃなくて、そろわなくても無理してでも、ある程度の社会保障政策を取り込んで、それによって、表面がどうあろうとも、個別の人の人生が軟着陸できるよう、いうところのセーフティーネットを張る。


いろいろうまくいかないことだらけなんだが、とりあえずそういう方向で、医療から年金から生活保護受給のクライテリオン、社会福祉としてとらえるのか、それとも保険としていくのかといった思考の幅を含めて、あるいはまた公共の学校ってなんでしょうとか、その資金はどうしましょう、誰がどのぐらい負担するのか誰が受給者なのか云々と実際には結構面倒くさいことを国家機構はやっている。


日本の役所を非難するのは容易いけど、でも、とりあえずボトムラインは維持できてると私は思うし、その意図も共有されているといっていいだろうし、かなりボロだが、アメリカもなんのかんのといっても極めて低いながらもなくはないし維持されているし(欧州、日本型と相当に違う部分に重点があるにせよ)、カナダは何があってもバジェットだけはあわせてくるという意地の強さを加点すれば、とりあえずなんとかやっているといっていいだろうと思う。赤字を出さない覚悟と利息に対する自覚こそが近代国家としてのカナダの底力かもなぁと時々思う(近代国家じゃないカナダってないんですが)。


で、チャイナもある程度はそうなんだろうとは思う。というか、そう思いたい。が、しかし、始終伝えられる炭鉱事故だの暴動だのを見るにつけ、なんか、上のモデルにいくには相当道は厳しそうだ。でもって、どうも、まとまるとか、うまくいくようシステムを構築するとかに情熱のある人が、いないとはいわないけど、数少なくないですか? それより個々の儲けに忙しくないですか?みたいな感じはとてもする。もちろん、そんなことはないという人がいるのなら、是非教えてほしい。


是非教えてほしいが、でも、教わったところで、ではなぜ人々はああもこうも、貨物船のふな底に這いつくばってまでも他の国に行こうとするのかは依然として不明だが…。


誰だったか、なんのかんのといってもチャイナって、後から後から湧いて出てくる相対的にいえば貧しい人々を当てにして産業立国してんだから、考えようによっては一国内グローバリストじゃんと言っていたひとがいた。日本であった友人、知人の誰かだが、前にも書いた通り私もそう思ってる。


と、と、というわけで、並の国家群モデルはなしね、のかわりに、そのかわりに、ほうらお前ら、俺らって強い国だかんね、という「安心感」を手みやげにくれてんのかな、など言ってみたいものがある。安心感こそ最強のセーフティーネットだし。


で、これって、なんせ、毛沢東は偉い、なんといっても何億だかの食えない人々を食えるようにしたんだから、とかいう名高いステロタイプ回答と似ているように思う。


でので、しかしながら次の10年が終わった時、vast majorityはどうしてんのよ?が見えないのが難点だし、この「安心感」の行く先が、単なる膨張主義になっちゃったりするリスクもえらくあるよなぁというのが他国人にしてみれば大きな難点だ。タイトルはつけておいた方がいいんだってば。そうじゃなきゃ捨てたかどうかもわからないその書類、だしょ。