時はとまらない

Sudan accused of bombing civilians in Darfur
http://www.cbc.ca/story/world/national/2005/01/26/darfur050126.html


アフリカンユニオンによれば、ダフール[以下初稿アップ翌日ダルフールに統一]南部で、市民に爆撃を行ったとスーダン政府が責められている模様。で、現状、アメリカとUN安保理ダルフール地区での戦争犯罪容疑を裁くための法廷を設置したらどうだろう、いやだよ、で揉めている;よく知られたハーグの国際刑事裁判所は昨年からジェノサイド、人権侵害にあたる個人を裁くための刑事裁判所を常設しようとしている;が、アメリカはこれだと自分んちの海外にいる兵隊さん(だけじゃないだろうな)に問題が起こるであろうと身をそらしたまんま、ヨーロッパ人たちは、同じ目的で別の法廷なんて駄目だわ、と言い張っている、と記事は手短かにまとめている。


昨日のGlobe and Mailでは、カナダの国連関係者の意見として、国連改革とかいろいろ言うけど、国連ってのをアメリカの単独主義(unilateralism)を牽制するための役割にするってのは間違いよ、もちろん、共和党に代表されるアメリカの、国連は機能してないじゃないかってのも駄目、彼等は国連のスタッフが機能している部分をちゃんと見てないわ、と書いていた。


両方ダメってじゃあどうするんだ、なのだが、この話は、そういうことじゃなくて、国際協調主義(multilateralism)の方が自国の安全保障にも効果的なのよって説得しないとならないのよ、と続けていた。

カナダの正面とでもいうべきアイデアかもしれない。反米じゃないけど、イラクに行きませんってのとちょっと似てて、カナダが主体的に何かを決定するという場合にはこれでいいのだが、ではその一方でサダムが狂人/独裁者であるが故に困ってる人々がいたらそれを見逃すってのはダメでしょ、になって、結局国連の機能を強化しないとならないよな、に落ち着く。


UN should reform to be more effective, Canadian official says
http://www.theglobeandmail.com/servlet/ArticleNews/TPStory/LAC/20050124/UN24/TPInternational/?query=oil+food


そういうことになる。もっと効果的に改革すべきだ、と。で、現在はダルフールなどの問題を見逃せないんだから、揉めてる場合じゃないということになるし、それはそれで全く正論なのだが、もしその正論を押し進めようとしたらどうしたらいいんでしょう、で手づまりになる。


理論的な帰結としては、国連に即応できるフォースを持たせるってことになる、かな、でもあるんだろうが、ともあれ、ここでは、国連改革案の一つとして、昨年出ていた元タイ首相アナンド・パニヤラチュン氏をはじめとした委員会が提出した報告書に言及している。テロリズムの定義をはっきりさせて、紛争における国連の介入のガイドラインになるものを作り、核、生物化学兵器の拡散を取り締まる安保理の能力を高めよ、というもので、さらに安保理内に「平和構築委員会」なるものを作って、国家公開の危険性のある国々を特定して、IMF、世銀と一緒に反転のためのアシストを提供しろ、とも勧告していた。


この報告書の評価がどうなったのか私は知らないのだが、まぁとにかく、予防戦争具体版みたいではあった。


そういう報告書がだからどうなっているのかもよくわからないのだが、なんせこの記事では、ここからの数カ月間に対応できなかったら国連が死に体になるというだけでなく、平和と安全に関する大事な問題に取り組む能力を失っていってたよりなくなっていく危険性があるんだ、とこの国連関係者が言っている。


これもまた関係あるのかないのかはわからんが、ここにきて、uniとmultiは、単独と国際協調という意味を強調した字面ほどには乖離していない事態になってきていることをどう理解したものか、あるいは議論に吸収させるのか、あるいは、見過ごすのか、も問題といえば問題かも。uniの大将も、multiの信望者も両方が、自由を広げること、または自由と民主主義は大事だ、という大義は一緒だ、いやもともと一緒だったがさらにそうなったではあるんだが。


皮肉なことを書いているわけではないのだが、まとめようとするとどこかに陰謀論への反論を取り込まないと書けないみたいな、なんとなく難しいテーマだ。私の能力が足らないからではあるんだが。