晴れてきれいな極寒びより

昨日時ならぬ春の一日となっていきなり気温18度を記録したトロントは、本日は日中−6度、夜間-10度、来週の予定は全部−10度台と覚悟せよ、に戻った。そうだと思ったよ。晴れてきれいな極寒びよりだった。


さてその激しい寒さの中で険しい顔して政治を語る、あるいは、こう寒くっちゃ政治の話ぐらいしかネタなんかないだろうという自他共に認める政治好きな人々の前にあらわれた本日の話題は、しょ、しょぼかった。


カナダ移民相、疑惑で辞任 選挙協力のピザ屋に便宜?
http://www.kahoku.co.jp/news/2005/01/2005011501000784.htm

カナダのジュディ・スグロ市民権・移民相は14日、無料のピザ配達や選挙キャンペーン支援と引き換えにインド出身のピザ店経営者に移住認可などの便宜供与を持ち掛けた疑惑で辞任した。


本当ならまったく情けない。が、移民相はまったくのでっちあげと否定している。

選挙に協力してくれればさ、移住の許可をあげるからさ、というか、プロセスから考えれば連れてきてしまって、協力さして、許可、ってことなのかな。ありそうなことだとつい言いたくなるが、大臣は否定している。と、大臣個人がどうというよりも、ようするに長期政権となった与党リベラル、それも一般的に「移民に好評だ」と言われているリベラルが叩かれていると考えるのがいいだろうと思う。


で、そのリベラルの長たる首相マーチンは中国に行く。ってかもう出たはず。


中国側の新聞はこれで、なんとなく答礼的な訪問のようなニュアンスで書かれている。

中国、カナダ首相の中国訪問の成果を確信
ttp://jp.chinabroadcast.cn/1/2005/01/13/1@33431.htm



が、カナダではこの訪問を控えて騒ぎがもちあがっている。それは、チャイナ生まれでカナダの市民権を取得しているジャーナリストにチャイナ政府がビザを発給しなかったから。マーチンと同行しようとしていた模様だが、チャイナ当局から今週拒否にあった。二人はNew Tang Dynasty Televisionというテレビ局のジャーナリストだそうだ。


NT Dynastyカナダ局の代表は、「カナダ人ジャーナリストである私の報道の自由の権利が侵害された」とCBC(カナダ国営放送)に語っている。


Human rights overshadow Martin's China trip
http://www.cbc.ca/story/canada/national/2005/01/14/china-martin050114.html


で、こうなってくると、ネタは芋づるになる可能性もあるわけで、「チベット・タイムライン」と題されたつっこんだ記事が文字通りリンクされてきていた。

アムネスティの代表は、マーチンがグローバルな問題がどうしたこうしたと言うけど、「この戦略は、人権問題に関する『製品』を運んだことはない」と批難しているそうだ。上手いことを言うな。


アムネスティと来ると、それはそれで引いてみたくなる人も多いと思うし、私も部分的にはそうなのだが、とりあえず、この団体に限らず、チャイナ、繁栄の語の後ろには、「human rights」という文字がず〜っと殆どベタの背景のように横たわっているのはまったくホントだ。特にカナダの場合は言葉は悪いがこの「呼び込み」はもう、すんごく効く。今日のラジオは繰り返しこの話をしていたが(ピザ屋の話もだが)、バックグラウンドの層が3段階ぐらい上がって来る可能性は大だろう。


PM urged to discuss human rights on China trip
http://www.cbc.ca/story/canada/national/2005/01/13/chinavisit-primeminister0113.html


スマトラでの援助という行為を通じて、実際にはそれと同時に、どういう意図であれ、行為自体は「介入する」でもあるわけで、この型がこの2週間でフィットしてしまった以上、小文字のリベラルは上げ潮だ。で、そこで大文字のリベラル(Liberalは政党の名前とみなされる)がへたれるとどうなるのか…。今年も面白い。


カナダはリベラル・デモクラシーの国だからっていう意味の相が変わる時、と言っていいのかな。ウクライナもあったしなぁ(トロントウクライナ人口は北米で1、2を争う。1位かも)。


ぶっちゃけた言い方だが、カナダってリベラル・デモクラシー価値が実効に移る時の露払いなんじゃないのかなとしばしば思う。あるいはマーケティングにおける静岡か(古いか?)。ここでシュミレートして拡大可能性を探る、でも市場に出回る時のパブリシティにはそんなこと書いてないです、みたいな。