どこを見てるんだ、この人


そこから考えた場合、この人はどこを見て書いてるんだという疑問が沸く。続けて2回、はてな?だった。


潜水艦侵入問題と日中関係
2004年11月19日   田中宇
http://tanakanews.com/e1119japan.htm

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しかし日本政府はその一方で、中国とあまり仲が悪くなることができないというジレンマがある。アメリカは、外交的に中国に大きく譲歩し、東アジアの安定はアメリカが守るのではなく、中国を中心とした地元の諸国で自主的にやってほしいという態度を強めている。加えて、日本国内で反中国の意識が高まると、呼応して中国で反日意識が高まり、中国で商品を売ったり作ったりしている日本企業が不利益をこうむるというマイナス面もある。

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そうなんだろうか。日本国内で反中国の意識が高まると中国が高まるという因果とは、別に上の記事だけでなくもうあまり信じられている形跡はないと私は日々読んでいるが。で、その上にたって、チャイナの「脆さ」をどう理解すべきかというのがある種国際的なテーマになっていると思う。つまり、(1)中国=中国共産党支配が弱まった場合、それはすんなり民主化の方向に行くのか、(2)別の帝国意識が残存するために、ブレーキのきかない体制になるのではないのか(共産主義だったから独裁になっているのではない、チャイナの体制とはそもそもそうなんだ、中華の王国、帝国なんだ、だから自由化によって例えばUSのようになるなどとは幻想だ)でまだ判断ができない、と。

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中国はまた、インドとパキスタンの和平交渉を取り持つなど、アメリカに対抗しつつ世界を安定させる大国の一つになりつつある。

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イランファクターでの、拒否権行使の使用可能性で何が起こるかについて考えたらとても「世界を安定させる大国」になったとは言う気になる人はいないでしょう。


田中さんの見取りが最もらしく見えて(プロ風に見えて)、まったく無意味なのは、チャイナファクターの不安定度を勘案していないから。それをやっていいのは、中国共産党本部だけだろう。自分のことなんだから。多分これは、「中国」という語がもつトリッキーな一面に由来するのかもしれない。


どうあれチャイナはありますよ。またどうあれマーケットとしてのポテンシャルもあるでしょう。でも、体制が変わる可能性が高まってる。しかも下手に。で、5年か10年ぐらい前は、自由化すれば、ま、変わるし、みたいに思ってたところが、開けてみたら、チープな理由で使いだした「反日」によって、子どもたちが反日になっているだけでなくて、実際にはもしかしたら彼らの「国際常識」に影響が出てたりしないか?という問題にまでなっている可能性まで出て来た。ってか、もう既にそうだ。なんというか北米的にはもはや手はないです状態の不法移民のことを考えればそれはすぐにわかる。というか、高尚な記事にはなかなか書けない。下手に差別的になる意図がなくてもなり得るテーマだから(隠しているのではなくてむしろ善良だからだ)。だけど、それは「ない」という意味ではない。だから、デフォルトに潜り込むが、域外の人にはそれがわからない。


で、だからこそ、TIMESの記事が、ある意味で一番グローバル化して、the Westや日本と同じラインを歩んでいると思った人びとの頭の中が、私たちの側で普通に常識のある人だったらやらないだろう行動を正々堂々やっていることにびっくらこいている、というところが非常な懸案になっているということじゃないだろうか。誰も教育程度の低い、田舎の人が娯楽がてらに反日を言っても驚かない。


民主化へのドライブをナショナリズムに曲げて、それも内側向きのナショナリズム、つまり、社会内の矛盾を解決しながら「私たちの国を作る」ではなくて(遵法を理解させる前に人はどんどん国外に出るにまかせて)、敵を求めて吠える先を探している。しかもそれについて、それが問題だという意識のない大国が出来ているということ。


ほんとーに、チャイナの、名もなく頭がいいわけでも、目端の効いた両親の元に生まれたわけでもない人たちは気の毒だ。