アメリカ向けの燃料になってるが・・・


「モスクで殺人」衝撃、負傷者殺害 反米強めるアラブ
http://www2.asahi.com/special/iraqrecovery/TKY200411160309.html

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米NBCテレビのスタッフが撮影した映像では、モスクに踏み込んだ海兵隊員が13日、横たわる負傷者に銃を向けて「こいつ、死んだふりをしている」と言い、射殺した。NBCによると、この負傷者は武装勢力に加わっており、モスクに運ばれて治療を待っていたという。

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という事件なんだが、反米強めるアラブも無論そうだが、アメリカの側では、穏やかにいえば海兵隊員の行動を援護している人もいるし、しかしながら庇えないと沈黙を守る人もいるし、そうして、ざっくばらんにいえばそれが反テロリスト・ムードを持続的なトーンで固めていることに一役買っているのも否めないと思う。

(ちなみに、「こいつ、死んだふりをしている」と言い、だと随分静的だが、ビデオについての記述を見ると、兵士のテンションはもっと切迫しているように思える。ま、そりゃそうだが。)


正面のニュースを見ていれば、弁護可能、不可能、中立の人びとが出て来て様々なことを言っている。憤慨している人だってもちろんいるが、ジュネーブ協約が言う負傷者を撃ってはいけないとは、脅威を与えない負傷者は敵とはみなされない、なのだから、この海兵隊の行動には弁護の余地はあるかもしれない、と解説している人もいる。だから今後の捜査は負傷者が動いたのか否か、それが敵対と認められるか否かといった争点に移るようには見える(もっと他の疑義も提示されているにせよ)。いずれにせよアメリカの兵隊である限り海兵隊の行動は法規に叶ったものでなければならないはずだから、法的に裁かれるより他にない。


とてもよくわかる。


が、その一方で、負傷したゲリラが少しでも動いたら武器を隠し持っていると思え、というのが戦場の不文律だと言われたら、そうでないわけもないだろう、としか思えないのも十分に想像できる。


もし自分がその場の兵士なら…。そしてこれはイラク兵士でも同じではないのかとも言えるんだが、イラクにいる「民間人」なる人が誰なのだかわからない以上この人の違反行為はどうなるんだろうかな、などとも思えるが、ま、それは別として。


そういうのはsecurity roundっていうんだ、強襲したら次は敵の頭を撃つんだ、悪いなAl-ロイター、捕虜を収容する護送車がファルージャをまわってるってわけじゃないんだぜ、という言う人もいる。

で、このブログのエントリーは、テレビに出ている将校の言うことなんか信じるな、こんな仕事は将校の仕事じゃない、将校はなんでも説明できるように事態を把握するのが仕事だがな、などとも言う。
http://froggyruminations.blogspot.com/


冷静に考えれば、実際そうなんだろうな、と思う。まったく忌々しいことだがだってそこは戦場なんだから。


兵隊を送っている以上、末端の兵隊の気持ちになって考えるというのは双方に取って避けられない。避けられると考える人は、自分も含めて、どちらの側にもいないからだ。アメリカには言わずと知れたことだが、山のように元兵士がいる。将校ではなくて。


と、考えて来た時、このニュースって、アラブがどうかというより、アメリカ人の、それもほとんど全くメディアに登場しない人びとを持続的に怒らせることに一役買っている可能性の方が遥かに大きいだろうと私は思う。ただ、くどいが、アメリカの大メディアにはこの手の意見は出ない。それこそそこは「将校」たちの場だからだ。ここにもまたエリート問題が顔を覗かせている。