こっちが本戦

世界の地域別貿易収支、北米以外は軒並み黒字・WTO
http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/20041026AT2M2501T26102004.html


なんでこんな誰でも知ってるようなことを心優しく表現するのだろうかとちょっと苦笑。北米とか言ってるけど、カナダは対米で大きく黒字なので、要するにアメリカの貿易収支はもはや隠れようもなく赤字だいるというのがざっくりとした世界の見通しだと言っていいのだろうと思う(アフリカも赤字だし個別の地域内の個別の国について赤字というのもあるのかもしれないのでアメリカだけが、とまでは言わないが大きさから考えればそうなんだろうと思う)。

でもきっとこの記事の言いたいのは、いわゆるドル安の流れは止まりませんという遅まきながらの示唆なのじゃないのかな、多分。だってもうずっとドル全面安とまってないし、この傾向だって今にはじまったものでも全然ない。

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北米ではカナダが黒字となる一方、米国の赤字が5200億ドルと突出した。WTOは「米国の赤字拡大が他の地域の生産を支えている」と分析。「これまでのドル安では赤字拡大を止められなかった」とも指摘し、米国の赤字縮小にはもう一段のドル安が必要との見方を示唆した。

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必要なんじゃなくて止まらないだろうということではなかろうか、と。


ちなみにカナダは、昨年春までの数年は1USドルに対するカナダドルの価値1.5、つまり1.5倍出さないと米ドル1ドルを買えないという状況だった。カナダ人たちはこれを非常に悔しがっていた。日本人からすると、悔しがることすら、へ?だったりするわけだが、1976年には米ドル:カナダドルが1:1という時代があったためにそこから考えると大きな凋落だからだ。ところが昨年春からルーニー(カナダの1ドルコインをこう呼ぶ)はぐんぐん上がり続け、この頃は、1: 1.2、しかもこの基調は変化しないだろうと予測されている(1年以内に1:1になるといっている人もいる *1)。となると、当然のことながらこの差額によってカナダ内で操業することにメリットのあったアメリカ企業の撤退も考えられるし、そもそも対米輸出で食ってる比率がバカに高い国なのだから、人びとが個人的な米国内でのお買い物の有利さと牧歌的なナショナリズムを楽しませてくれる部分以外では、これはこれで、ちょっと待て〜!となる。もう少しゆっくりしてくれないと・・・、と段々深刻になっている。

1) 個人的にはこのあまりの短期予測にはネガティブ。ここまで来たら一回売られるだろうやはし。但しカナダの財政はバランスしてる強力に金融をハンドルしようという意志も堅そうだから長期的には乗れるのかも、とは思う。リスクファクターは当然米国経済の動向の過激な変動だが、国内事情としてはバランスし続けるために社会福祉制度の結構な解体的プロセスも見られる一方で奇妙に拡大している部分もあるという点からくる様々な局面での不公平感が財政負担を押し上げる方向に行くのか、逆に削ぎ落とす方向に行くのかに関して不透明感が漂うというところだろうか。


さて、どうなるんだろう。ただ、だからといってここでユーロ買いに転じるのが得策かというとそれはそれでどうなのかなぁとか私は思ったりする。パニックも折り込むのがマーケットなわけだし。