「日本の民主主義は未成熟」とか言うのやめませんか」


この意欲的なタイトルをお付けになったのはむなぐるまさん。
面白く拝読。で、コメントをつけようとしたらあらら、これって6月のエントリーだった。でも私の「はてなアンテナ」に見えたのは今日なの。なぜ?多分どこか手直しなどされたのかしら? なんだか面白い偶然のような気がする。
http://munaguruma.blogs.com/jp/2004/06/post.html


で、いろいろと興味深いことをおっしゃっているのだが、話の枕になっているのが宮台真司氏が使う「国際常識だ」という文言。ま、誰でもすぐわかると思うけど、日本で何か事がある、そうするとそれはイカンという批難をする人びとが、国際常識の一言で議論にフタをする。これってどうなの?という話。


議論にフタをするという現象的な問題もさることながら私が常々考えているのは、これが論拠、根拠、リーズンの位置に入ってるのがマズイということ。別に傍証としてはしょって国際常識としてはこうだああだというぐらいならいいんだが、Aは正しい、なぜならそれは国際常識だからという形式になっていることは、著しく問題だと思う。もちろん、ある意味で、「多くの人びとの常識に叶うこと」にオレもオマエも従えよ、ってのが民主主義的だっていうのもウソではないから、この解釈からすればこの形式は、ある一定の条件の元に是認すべきものと見なされる得るだろう(決してリーズナブルではないにせよ)。条件とは、それが本当に国際常識であることが確認されていること。ここにまず1つめの問題がある。


もう1つの問題は、Aは正しい、なぜならそれは国際常識だから、という論拠に多数を求める発想では解決できないことが起こることもある。例えば、ユダヤ人差別は正しい、なぜならみんなやってるから、女性は茶を汲んでいるのが本業だ、なぜならずっとそうだから、に対してこの論理判断形式は有効な議論を提供できない。


ではどうしたらいいか。そりゃあなた、 面倒 でも、「なぜなら〜だ」に自前の 理屈 を付けるしかないです。


といってこんなことを永々やるのはまぁ論理的かつ観念的には望ましくとも、出来ない相談であることが多いはずではある。が、議会制民主主義をなによりもまず当然だと思っている国々(カナダもそうね)の人びとは、これを結構冗談ではなくやっているる、少なくともこの仕組みを自明のものとしていない人びととの比較に置いて、とは言えるかもしれない。習うよりも前にそういうもんだと思っているから当人たちはわかっていないと思うが。時々聞くに耐えないほどものすごいへんな 理屈 を語る人がいたり、熱意あまって、暴言はきまくりということにもなるのはこの余波。しかし、だからといってこれを止めることは普通行なわれていない。何度か書いている通り、閣僚だの議員だのが暴言通り超して国際問題( アメリカ 問題だが)を引きおこしても、どうしても口止めはしないようなのだ。議員たちが自由に語ることができることを私たちは フリーダム ・オブ・スピーチと理解している、これがあることが私たちの誇りですから私は止めません、とは去年クレチェン 首相 が言ったことだったが、確か今の マーチン も今年一回以上言っていたと思う(後者は単に私の記憶が甘いだけ)。


また、私の知る限りでヨーロッパで知識人的生活をしていたかとにかくまぁ頭がいい人たちは、まずだいたいカナダ人はバカだと言い張ることが多いのはこれに大きく関係しているのではなかろうかと思う。私が思うに、1つの理由は議論が学、あるいはサイエンスに対してプロパーでなくとも一向に構わない人の言にクラシック知識人は耐えられないのだろうと思う(クラッシックと書いたのは好意的な側面もなくはないから)。使用している言語が著しく口語的だということもあるだろう。すべからく、バカに聞こえる要素ばっかりだと言って言えないことはない(事実馬鹿げていることも実際起こる)。


私が北米に来てとても興味深かったのは、この様子とイギリス議会の様子をアメリカ人の少なからぬ人びとがバカにしていたことだった。バカにというのがいくらかニュアンスに富み過ぎる表現だとしたら、少なくとも、決して好意的ではない。「行儀が悪い」「闘牛場じゃないんだからさ」とかいった調子なのだ。

確かにそう言える。が、議会に本質的に求められていることがもし行儀のよさや皆のお手本になるように、ではなかったらこの見解は意味がない。また、議会に本質的に求められていることが、大統領の言うことを聞くことだ、でもなかったらやっぱりこれも意味がない(ここには大統領はいないが)。


このへんのことのライブ版は去年一回書いているのだが、今考えてみると、これをプラセボ的に使って(あまり込み入った歴史がないから)、では日本やアメリカはどうなっているのかを考えることは有益なのかもしれない。

あ、ここですでに疑問の第一が融けてますね。「欧米」は欧米にはない、と。


宰相されいればいい
http://www.shobunsha.co.jp/html/owaranai/04.html