伝言ゲームと軍人国家

月給は35万円=米陸軍「復帰」、総務担当−ジェンキンスさん・座間
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040911-00000658-jij-soci


これって何? さっきカナダのラジオで短くこのニュースが流れていたけど、へんな話だよなぁしかし。戦時下の敵国に脱走しても帰ってきたらおとがめなしみたいな話じゃん。マッカーシズム時代にスパイ容疑で死刑になった人なんかどうするわけ? なんて寛大なんだ、じゃなくて、まぁこれがある種のシグナルなのかな。受け止めました、みたいな。どこへって、北朝鮮に。


一昨日にCNNに出ていたのは、
Jenkins may surrender on Saturday
http://edition.cnn.com/2004/WORLD/asiapcf/09/08/jenkins.japan.reut/?headline=Jenkins~may~surrender~on~Saturday

ジェンキンス土曜日に米軍に降伏かも、というわけ。アメリカから見るとそうとしか書けないと思う。


この記事によれば米軍のスポークスマンは、「彼は丁重に扱われると思うよ、64歳の年取った男にそうするように」とか言っているのだそうだが、これもなぁ。軍紀を逸脱しようが敵国に渡ろうが年とったらチャラってか? すごい国になったものだ。

降伏して「現状復帰」ってそんな理屈はないだろう。ただ、おそらく、丁重に扱われるの意味が違うのだろうと私は考える。


しかし現場では、例えば「上」から順番に「丁重にね」と伝達が行けば、軍人さんたちは考えることを当然放棄し命令に従うことを旨とする職業なんだから、「そうだ丁重に」となっていくのだろう。そしてその理由を自らみつけて「年とってるし」と言ってみたのだろう(絶対そんなことが命令にあるわけもないわけだが)。このあたり、軍事国家アメリカの面目躍如とでも言ってみたい気がする。なんたって、大統領の資質にCommander-in-Chief敵性が真剣に討議されるんだから。


でもってこれもまた、上の軍人さんパターンと同じで、昔、か、または一部の人は、このCommander-in-Chief性なるものを比喩と考える:多くの人を統率する能力と。しかし書かれ継がれるうちにこの伝言ゲームは正直にもこの文字に釣られ、マジで戦争できる人になってくる。そうして倒錯がここにダメを押す。「ええそうです、アメリカは戦うことによって自由を獲得したのですから」と。冷静に考えればこの言辞は、軍人国家を完成することを志向し続ける。しかしそんなもの作ってどうするんだ、とは考ええない。自分で言っていることが、ではアメリカとは全員を軍人にするような国家であり、そうならそれはアメリカ人たちが憎悪を持って語りついだ(実際とも実態とも私は思わないが)日本やドイツのある時期の姿と全く同じではないのか、と考えてもよさそうなものだが、不幸なことに軍人の頭には「考え直す」という機能は装備されていないので誰もそうは考え得ない。どこまで行くんだろう、これ。


[補足:ますますわからん。]
写真や動画、HPで公開 ジェンキンスさんの出頭
http://www.excite.co.jp/News/society/20040911192751/Kyodo_20040911a452010s20040911192757.html


座間キャンプのウェブで公開されている。ホントだった。
http://www.usarj.army.mil/

Sgt. Jenkins Returnの下に、わざわざ画像処理で日本語が現れている「ジェンキンス軍曹リターン」だそだ。なんなのこれ。