MDを本当にやるのか?

[武器輸出]「防衛大綱に明記すべき新原則」
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20040829ig90.htm


「武器輸出は原則自由とし、特定のケースのみを禁止すべきだ」「米国とミサイル防衛(MD)の技術開発を進めることは、『死の商人』となることとは異なる」などと、三原則の見直しを求める意見が出ているという。

で、「見直し機運が高まっているのは、日米で進めているMDの共同技術開発に支障をきたすからだ。 」


なのだそうだ。読売のいいところは妙に正直なところだな(笑)。


でので、このMDに関してカナダはずっと参加をしぶり続けている。まずたいていの人がこの計画そのものに懐疑的だと言ってもいい。おおまかには実効性に欠ける上に、だいたいどこがそんな敵なんだよ、という現実性に対して懐疑的なのだと思うが、もう少しテクニカルにも懐疑的。


というのは、この計画のオペレーションを誰が任っているのかといえば、北米の上空を共同で守りましょうというNORADというユニットがあってそこがやることになっていたらしい。カナダは1958年だったからここに入っている。当初は当然のことながらソ連からのミサイルが飛んで来ることを想定して作られた。で、そうなら普通カナダ上空を飛ばないわけもないので、カナダも一緒だということになった。しかしもうソ連は敵じゃない。その上、911の時にあきらかになったのは、NORADは全然機能していなかったこと。そしてその理由は、ここは外からの攻撃に対してアメリカを守るのであって、アメリカの内側じゃない、ってなことらしい。

それではというので、アメリカ、カナダ、メキシコで発するアメリカのの危機に備えた単位を作るとアメリカが言い出して、作った。しかし、それはNORADの人員300人からカナダ人30人を引いたものと言っていいのだそうで、チーフ、まぁ北米防衛軍の隊長ですかね、それも同じなのだそうだ。そうなると、もしNORADなら、危機に関しての対応でカナダ政府の承認も必要になる。しかし、同じ人びとが別のユニットのためにやってます、アメリカのためのユニットです、とも言えるわけだから、こんなのにカナダが参加するのはおかしいじゃないか、というわけ。

カナダ人としてはジョイントの意味もないし、実効値がどうかもわからない話につき合うのもイヤだし大気圏内の軍備化にも反対だ、というところで、上に書いたようほぼまったく賛成されていないといっていいだろうと思う。単純に、アメリカとの付き合いがあるしな・・・で、マーチン首相は部分的に参加する・・・と言ってはいる、さてしかしこれもどうなるか、ってなところ。


さて、私がこの話をカナダで眺めていて思うのは、これってホントにやる気がある話なのか?ということ。一応技術向上プロジェクトはあるんだろうしやる気になってる人もいるだろうが、実際使用されるか否かというのは、あきらかに政治が決めることなわけだ。今から5年後に今の敵がまだ敵であることは可能性としては高いが絶対ではない。ということは、日本のことを考えてみると、今ここで武器三原則がを全面解禁したとして、今はまぁアメリカと一緒だ、中国も恐いしな、ぐらいに思うかもしれないし、だってMDがという理由もある。が、情勢が変わって、アメリカも当初の見込みはそうだったが、まぁ今は要りませんからなんてことになって、気がつけば日本の武器輸出解禁が目立っていたなんてことになったりしないのか? 

MDの技術そのものではなくてオペレーションユニットに関するアメリカの考察の詰めの甘さというか、結構場当たり的な感じを見ていると、私にはこれってホンキなの?という疑問を解消できない。ツリじゃないのか?