騙すより騙されよ

ジェンキンスさん、司法取引 来週、座間で手続き
http://www.sankei.co.jp/news/morning/13iti003.htm


まぁそうすると言っていてそうなったんだからそれでいいんだろうが、司法取り引きをして、問われている罪がチャラになるとすれば、当然それ相応の見返りが相手方つまりアメリカに渡るわけだ。それは言うまでもなく北朝鮮の内部に関する何かであって、アメリカにとって益となるものでなければならない。そうでなければバーターにはならん。

さてその時、その場を設定している日本にとってそれの何が有益なのか。日米関係こそ大事であって、北朝鮮問題もアメリカ様がちゃんとしてくださる、ですから私たちはアメリカの益を自分の益と見なせばよいのです。

と考えれば今現在の成り行きは納得できる。ええそうです、アメリカのために、いえそれはひいては日本のためになるからこそお金かけて、従軍記者よろしくマスコミ総動員でジャカルタからの旅を演出したわけです、事の重大性に鑑みそれは当然のことです。となる。

さてしかし、もしそうではなかったらどうするのか。ジェンキンス氏が北朝鮮アメリカのコミュニケーション従軍員だったりしたらどうするの? 単純に言って日本はつんぼ桟敷ということだと思うわけだが…。

とか書くと、人が悪いとか言われそうだが、冷静に考えてみて、ある国に亡命するとはそれはすなわち退路が無い状態に我が身を置くということだ。しかもこの場合は軍がらみで。そこにあっては自由に自らの理想を語るなどというわけにはいかない。そしてそこで何十年もの年月を送る。この場合この個人Aは、個人Aとしてはどこであっても尊ばれようが、行動の動機、目的が亡命先のためになることになる可能性はとても高いと見なすのが常道ではなかろうか。

例外としては、亡命先から第三国に対して亡命するという行為を行った場合、つまり本人の意志確認が取れている場合だが、ジェンキンス氏の場合、北朝鮮を裏切ります、彼らを利するわけにはいきません、とは言ってはいないでしょ? 日本に行きたかった、と言っただけでしょ? であるならば、彼は日本にとって拉致問題を頂点として現在、どうも怪しい動きをされているその国から来ている、または所属している人なわけだ。ところが、彼の言辞に対して疑いを挟むことはタブーのような感じになっている。言うまでもなくそれは拉致被害者の夫だという導入があるからだ。演出があるからだと言ってもいい。しかしこれは分けて考えた方がいい、というかその方が筋が通っていると思うんだが。

ま、でも、騙すよりは騙される方がずっといいのよ、という倫理観から言えば上のような懐疑論は反倫理なわけで、まぁ、そういうのが好きな人が多い日本だったりするのもウソではないわけで、私はそういう日本が好きだったりもする。だけど、質疑応答もせずに、「阿吽」の呼吸とやらでこちらに都合のいいことを思いこんで、それがそうでなかった場合に怒り出す人も少なくない国ではある。