日本の港湾の貨物取扱い量ーーパブリックとデータ開示

ゲイトウェイになるんだよニッポンの話しとは「直接は」関係ないけど、とりあえず貨物を運んでいる状況はどうなっているのでしょうの話し。

港湾の競争力の重要性/寺島実郎
(THE WORLD COMPASS 2004年6月号)
http://mitsui.mgssi.com/terashima/0406mgssi.html

私がこれをひろったのは阿修羅さんの掲示板で、そういえば私はこれを春先紙媒体でこのデータのある種の分析を読んだなと思ったから。

で、中身は、2003年の世界の港湾のランキング、といってもきれいな港ランキングなんかではなくて、コンテナの取扱量。

1位香港、2位シンガポール、3位上海、4位深セン、5位釜山、6位高雄と漢字ばっかりでわかるように中国関係のあたりばっかり。

日本は、昔は上位に名を連ねていたが、神戸は1980年の4位から29位、横浜は12位から28位、東京は18位から17位というあたり。

これだけでも気がかりは気掛かりだが、日本にとって気がかりなのは、西日本の貨物が、釜山にいって、そこからトラスオーシャン、つまりもっと遠いところに行くというパターンがどうやら増えているらしいというあたり。寺島氏はそこまでしか書いてないが、多分条件さえあえば香港、上海だってあるのでは?と考えても不思議はない。料金的にあえば、だけど。

で、私がこの記事で気になるのは、氏は、

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背景に、日本の内航船のコスト高、港湾の非効率があり、どんどん日本の港湾が空洞化しているのである。

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という言い方をして港湾にだけ非があるような感じに見えてしまうのだが(その意図が氏にあるのかどうかちょっと私の言いがかりかもしれないけど)、上の様子を考えてみれば、ば、もっと地理的要因かもしれないと考え得るわけだ。で、寺島氏は「西日本」の貨物がと書いているけど、冷静に考えてみれば、日本海側ならどこでもそうだし、太平洋側だって北ぐらい、九州だってそれこそ金額が折り合ってそこそこのクォリティがあれば移動しかねない状態だと思うのだ。そこで、港湾関係を整備しても・・・と私は考えてしまう。

さらに私がこの記事と春先の記事を読みながら考えていたのは、なぜ今同じことを言う?だった。

港湾の取扱量で日本はハブ構想どころか非常に辛いことになるだろう、多分日本国内の輸出貨物も韓国経由になるのではないのかと私が紙媒体で読んだのは、忘れもしない1995年だった。阪神大震災神戸港が一時期でも短期でも使えなくなる。そうすると、荷主は最初は仕方なしでも別のルートを使う。そこがOKなら同じ条件ならもう戻って来ない。また、そもそもその時は(今は知らない)、取扱いが24時間体制になっていない等競争力がないと言われていた。

さて、それで今そこからすでに9年たった(データは2003年のものだから8年だが)。

なぜ今ごろ、こんなことを言っているのか。

別に寺島氏に文句があるわけではないが、なんでこう、「大変だ、大変なことになった」という記事が好きなんだろうか、と思ってしまう。

ちなみに、運輸省じゃない国交省がこういうのを出しているかな、と思ってみてみる。

http://www.mlit.go.jp/kowan/index.html

2001年のデータがある。
そうか上のばっかりだとアジア版みたいだが、6位ロッテルダム、7位ロサンゼルスも落ちてるようだ、となったら数量比も見たいので、どこだ出元はと見る。こういうのはEIUかと思ったら、CONTAINERISATION INTERNATIONAL YEAR BOOK 2003とあった。どこそれ?でgoogleして、結局どうやらEIU、エコノミストのintelligent unit関連らしい。やはし。

http://www.bharatbook.com/detail.asp?id=2793

が、この本は有料で中身は見られない。

ということは、そうかそれで紙媒体先発なんだななんても思った。私が過去9年間に何回か見たそれはみんな紙媒体で、どこかのリサーチの人が書いたものだった。

で、こういうビジネスデータが有料なのは当然としよう。が、もしそれを国交省なりが必要ありと認めて買っているなら(買ってるでしょ、当然)、それを公に、これこのようになりましたと開示してほしいところだ…このぐらいのデータ…それでもダメなんだろうなぁ。だから国交省のは最新を遠慮しているんだろう。それじゃ本が売れないもの。コピー権というかこれぞ版権だものねぇ。

まぁコンテナの収量は比較的、ま、まだ過剰に必要だ、ってことではない。ただこれに限らず、と私は思うのだ。なぜなら、日本の国力が日本の国力が…と心穏やかでない人が多い中、ちょっとでも他のアジア諸国に負けてますなんてデータは人の気を呼ばざるを得ないから。その時隠されているより、なんでもかんでも明らかになっていた方が騒ぎを中和させるためにはいいと私は考えるんだが、そういう努力はついぞ見たことがない。

逆に、この例でわかるようにいろんなデータがあって冷静になれる(腹がたったとしても)条件下にある人もいる。一方で、はっきりいえばこのごろヨタッてるとしかいいようのない大マスコミに頼っている人は、とてーもアップデートされていないか、半端か、へんちくりんかのデータでヒートアップさせられる。いい循環じゃないと思う。