不均衡是正がもたらす不均衡じゃないのか

日本に投資を、って、どうして今ごろ言うの? という昨日の疑問の続き。やっぱり、なんで今ごろ?ではあるのだよ。

国際貿易投資研究所さんの数値によれば、
http://www.iti.or.jp/fdistat.htm

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2002年における日本の対外直接投資額が対内直接投資額の何倍にあたるのか倍率をみると3.52倍で、過去最小となった。一方、米国は対内直接投資額の減少で0.79倍から3.48倍に拡大した。

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つまり、とっくのとうりに、対日投資は増えているわけだ。この数値はすべて直接投資だから尚見易いし、基本的に「投資しませんか」と総理が呼びかけ役所が受け皿になっているのはこういうデータに取り易い直接投資案件だと思う。

で、上の数値の推移は結構瞠目に価するといってもいいかも。善悪は抜きにして、1990年には、日本の対外投資は、対内投資に対して28倍だった。これが2002年には、3.5倍になった。

非常に多くの国では、自分んちが外に投資するのと、外から自分んちに投資される比率は、五分五分、予想されるように余裕ありそうなところは若干外向きが多く、ちょっと金欠的なところは投資される方、言うところのガイジン企業が多いという状況になっていたし、今もそうだ。

それに対して日本の状況は明かにすごい不均衡だと言われていたわけなんだけど、それは相当程度に「改善」されている。だから数値を追うお役所としてはほっと胸をなで下ろす、みたいな感じはあるだろう。

だけど一般人にしてみれば10年の間に、こういう比喩は正確ではないのだがあえていえば、あっという間に何倍ものガイコク企業なるものが身の回りにあるという状況が作りだされているということになる。

これがまわりまわって社会情勢、ムードに影響していないわけはないと思うんだが、どうだろう?

そうでなくても渾身の力を込めてのガイジン嫌いが多い中でこれは、結構プライドを打ち砕いているのじゃないのかな。

で、どうしてそうなのか、誰もリードしてくれないからよくわからなくて、なんとなく「ガイジン」がイヤで、そのガイジンに対する不安と不満のはけ口が、目に見え易い、比較的そこらにいる人びとに向かっているという構図もある程度考えてみてもいいのではなかろうか。

考えてみれば日本を取ってくおうにも貧乏すぎて話にならないだろう人びとに不満の矛先を向けているけど、まったく違う原因によってその不満は醸成されているかもしれないわけだ。

と、本日も結局疑問。なぜ今年になって純ちゃんは「投資してね」などと言うのだ?