「ラスト・サムライ」その後

■2004/02/16 (月) 「ラスト・サムライ」その後

メールはいつもありがたいです。賛意のメールは勿論ですが批判的というのも嬉しい。自分じゃ考えもしないことを示唆してくれる人がいなかったら私がドツボにはまるだけですから。

で、今回は、

「この映画のメインテーマは、「武士道」が持つ日本の伝統的精神文明についてです。」

といった文言の入ったメールをもらった。私は、正直、映画は恐ろしいとしみじみ思ったし、私が最初から危惧していた通り、ラストサムライが構造的に本当に「呼びかけて」しまうのは日本人だという思いをさらに強めた。

映画本体のメインテーマはなるほど「武士道」なのかもしれないし、精神文明(?)なのかもしれない。しかし、では、それは一体なんだろう?

ついでに言えば、無心にみれば(私のようなあんな構図は思い浮かばない)、あなたにはわからないのか、と私はこのメールによって訴えられている感じではあったが、では、私が「わからない」と言ったとしよう。この時、この先には何が待つのか?

それはしょうがないですね、かもしれないし、あなたは日本人ではない、かもしれない。

どちらかはわからない。

しかし、後者が視野に入った以上私は書いた時よりさらに余計な危惧を持つ。

といっても、まさか今の時代に、これがわからないのは日本人ではないなどと言う人がそれほど多いとも思わないし、私のまわりの日本人の反応は不調、むしろトム・クルーズを使えば他国の話をなんでも好きに描いていいとでも思っているのか、アメリカ人!と激した人に出会ったぐらいだった。歴史的な事情はともかく、とても強引にハリウッド化されていることに批判的なアメリカ人、日本人がいた。

また、偶然あった人でいわゆるパーティーの話題としてふられたところでは、私はあれが歴史的にどうなのかは全然わからないの、でもね、なんかとってもJapanだったでしょ、だから好き、いいわぁ、だって私Japanのファンだから、っていう人がいました。これはアメリカ人。

逆に、フィクションの部分は置いておくとして、ああいうふうにサムライとその反対が戦ったことは事実あったのか、だとすればなぜ、と聞いてきた人もいた。これはカナダ人。「さすが」と思ったわ、私(笑)。

武士道擁護派の人はこれになんと答えるのでしょう? 武士道がテーマ足り得るのは時間的空間的制限のないところ、だけかもしれません。

他者に「無心」で見るよう勧めることはできません。