根本的な疑問

一昨日、これはきっと民主党を見る機会としての解散総選挙なのだろうと書いて、社会保障制度の抜本的な志向もしくは思想改変風の政策を見たわけだが、これもなぁ・・・と気づきつつもなんか考えたくもなかったのでスルーしていたが、そろそろみなさんが書き出してくださって、そうなると灰汁が抜けていって、扱いも楽になるような感じなので私も参入。


実のところ、なにこれ? という以外に言葉もなかった。


「世界の中心で左右をヲチするノケモノ」さんのページが楽しめました。
■[ジャーナル]一国二制度下の沖縄とは?〜あるいは民主党の真の恐ろしさ
http://d.hatena.ne.jp/plummet/20050825/p2


で、根本的に、一国二制度って何?


と思いつつ、あのPDF書類をもう一回開けるのやだなぁとか思っていたら、なんと、HTML版にされていらっしゃる方がいらした。なんという公共心。
「能無しの呟き」さん。
なんでしょうね、みなさん、ブログタイトル凝ってますね。

むっちゃ見やすい改訂版。
http://dullahan.m78.com/garbage/general_election2005/dpj_okinawa_2005.html


民主党は沖縄について、このようにまず述べる。

民主党は「自立・独立」「一国二制度」「東アジア」「歴史」「自然」の5 つのキーワードが、沖縄の真の自立と発展を実現するための道しるべになると考えている。つまり、沖縄において「自立・独立」型経済を作り上げるためには、「一国二制度」を取り入れ、「東アジア」の拠点の一つとなるように、沖縄の優位性や独自性のある「歴史」や「自然」を活用することである。そして、これらのキーワードを活用する沖縄を通じて、日本は目指すべき次なる姿を描けると考える。


で、

この「自立・独立」を着実に進めるためには、地域主権パイロットケースとしての「一国二制度」を全国に先駆けて導入する必要がある。


あの、それで、彼らは何を「一国二制度」だといってるんでしょう?
それがよくわからない。


「能無しの呟き」さんも同様の疑問を呈してらした。


民主党の沖縄ビジョン――「一国二制度」とはなにか
http://dullahan.m78.com/blog_data/archives/2005/0508250239.html


お考えになっていることは私も同様。それって訒小平共産主義の中で資本主義を取り込む時に、変則として言い出したことだよな、だ。


でもって、日本に住む大人はみんなこのことを自分の時間軸の中で記憶していると思う。NHKスペシャルかなんかで、一国二制度、とか、先に豊かになれるものからなれ、みたいな台詞を重々しい声と共に聞いた覚えがある。松平アナウンサー(「その時歴史が動いた」のおじさんってそうだよね?)の声だった。


余談だが、この、先に豊かになれるものからなれ、ってな台詞を聞いた私の友達が激怒して、なんじゃそれ、それが政府の言う台詞なのか、こんなの間違ってると電話の向こうで怒鳴っていたことも記憶している。


彼女は政治的には左でも右でもないような、左でも右でもあるような、へんな言い方だが日本の中にいっぱいるノンポリといえばノンポリ、でも、これはおかしいという基準が結構ちゃんとしている。とはいえ社会的に声高にそれを言うかといえばこれまでのところ言わないが、ないわけではないし、隠そうという意図も特にない。と、描いてきて思ったが、これってつまりいわゆる「新人類」とか言われた世代の特徴だわね。上の方の世代にさんざん覇気がないと言われてきた現在40からまりの人。


さてそれから幾星霜。
私は現在、連邦制の国に住んでいる。州の政府の権限が比較的強く、連邦政府と機能を分担している。


私が日本で言われている「道州制」という語を聞いて想像していたのは、私が今住んでいるこの地で行われているようなそれだったた。各部に違いはあってもね。


このような制度を、しかしながら、一国二制度とは言わない。聞いたこともない。


あるのは二つの制度というより、二つのレベルのガバメントがある、ということで、たとば、two different systems levels ofgovernmentとかいう。制度が二つあるんじゃない。統治機能に二つの異なったレベルがあって分担があるという理解だ。

[捕捉:制度にひきづられてdifferent systems of governmentとか書いてましたが、間違いです。これでは独裁制君主制という異なった政府の仕組みが、といった時の使い方ですね。カナダ内の2つのといった場合には、different levels of governmentです。ごめんなさい。同日3時間遅れで訂正]


(実際には市町村レベルもガバメントではあるから、三つのレベルのガバメントというのが日常を支える政治的な仕組み)。


では民主党が言う「一国二制度」とは何なんだろう?
でもって、つらつら書いてきて思うのは、上述のように、現在40からまりまでの人は、「一国二制度」というのがイレギュラーであることが、デフォの知識であるはずだ。制度としてある程度普遍性のあるものでもなく、なんかの理念ってものでもなくいわばspecificなものとして記憶している。


ということは、これを書いた人って、ものすごく若いか、当時の世間知がまったくないかの人じゃないのかという気がしてしまう。(知ってたら、疑問を呈されるだろうことを想定し言葉を変えるか定義を述べるかするだろうとの考えから)


なんですか、これ、と、書き進めてきてさらに疑問がつのった。民主党の党首が公開討論をやりたがっているそうなのだが、私だったらこれを尋ねる。

 矛盾の総本家


おとといのところで引用させてもらった大石氏のところで、川崎(ですか?)での演説会(とは書かれていないようですが多分そうでしょう)の様子をアップされていた。ライブの感想を読ませてもらってとてもうれしい。各地の様子があったら教えてくださいませ<all。


 それ(自民氏の主張;soreda)自体、ちょっとナンセンス感は拭えないわけですよ。(中略:soreda)…とかその瞬間は思うんだけど、もう都市型政党、小さい政府を目指す姿勢がはっきりしている。それに対して、民主のひだかさんが、いや、小さい政府は、そもそもうちが言い出したことだと反論する。ひだかさんも、これで三回目ですか、まるでプロのキャスターみたいな手練れなお喋りでそつがない。
 ただ、たいして予備知識も無く、あの会場に誰かが行ったとしたら、やまぎわさんは自民で、しかも若いけれど、言っていることは共感できるなと思えたはずです。

こ、これでは勝てない!
http://eiji.txt-nifty.com/diary/2005/08/post_1afa.html


民主党が小さな政府を言い出したというのは実際そういう時期もあって、部分的にはそういう政策もあるようにも思う(ものすごいコストカッターだと海の向こうで認められるほど)。が、そういうことじゃなくて、抜本的なところで、年金を税金での福祉政策にする気か否かでまず「小さな政府」は矛盾してくるし、今回支出の話に自らターゲットを絞っている点で既に小さい方への改革志向は疑われている。もとより郵政に反対した意味も説得的に流布されているとは言いがたい。


個別の議員がこれまでの実績や理念、信念で言えば言うほど、矛盾の総本家になっていく。これでは個別の議員さんたちは自分の政治生命というか、ライフスタイルを考えて自分の所属すべきところを考えないとこの先は大変だと思う。党内もぐじゃぐじゃだが、投票する人の望んでるものもぐじゃぐじゃだ。


でもまぁ、冷静に考えれば、中身がどうであれ絶対に自民党にだけは投票しないと決めてかかってる一世代の数が大量だというのが、最終的には民主をしばらくは支えることになるだろう。


このいわゆる団塊の世代が塊をやめる時、つまり現実を見て自分の判断として、俺はこの考えから政党Aに、俺はこっちを理想とするから政党Bにと投票行動を移せるようになった時こそ日本にとっては大変革となるだろう。(どうしてそういうことができない大人がこんなにいるんだ)


もちろんそれは、今の自民(将来のPC)にとって幸いなのか今の民主(将来の自民:soreda比較)にとって幸いなのかはわからんが。


でもまぁあらゆる政治事象のうちで最も起こりにくいもののひとつとさえいいたいほどに塊は塊が好きなのでそれは確かに難しそうだが、なくはないし、中心世代は確実に動く。



そうそう、この世代の特徴のひとつではないかとかねがね思っていることをひとつ。
自分がAを選ぶのは、Aが正しいからだ、という思考法。
俺がAを選んでいるという究極の理由を俺の判断にせずに、何者かによって裏付けられた正だを頼りにする。

これが良い面に出た場合には、物事を好き嫌いだけで判断しないということにも繋がるが、世の中には、どちらも正しい、または、どちらにも支持者がいるという場合もある。利害は常に対立するのだからむしろ後者の方が普通だ。この時、この正邪介在法(私の銘銘だが)は、とても不便な上に不幸をもたらす。正邪論争をしかけて、相手を邪にしてしまう誘惑にかられる。これで物事が解決することは普通ない。ただの恨みの連続線を作るだけだ。