アフガンとNATOとロシアとユーラシア大作戦


そこでロシア。いや、何の関係もないけど、寒い繋がりでつい。


お正月からウクライナと、予想されていた通りに大騒ぎになっていましたが、このたびの本線は、アフガン協力をキーに協力関係再編成の一環みたいな感じかなと思ってみていた。ま、ウクライナもロシアもそれぞれの思惑で動いた、仕掛けた、なんだろうが。

メドベージェフがグルジアに武器を供与する国には制裁するぞ、とかも言っていたが、これはウクライナ宛で、アフガンでアメに協力する、と、グルジアウクライナを動かすな、アメ、が組になってるのかなぁ、など思ってみたり。

これはロシアからすれば、中央アジア諸国とアメリカの関係が今より蜜になっても、カスピ海方面に問題含みなら、ユーラシア南側をアメリカに押さえられちゃうの巻ってのを避けられるから、と。


一方のアメにとっては、アフガンをネタに、中央アジア諸国との関係を強化、修復して、最終的には資源の流れをコントロールしたい、のかなぁ・・・。

いや、この、ユーラシア大作戦みたいなのって、どこまでどうなのかよくわからないけど、死に絶えているようにも見えないのがなぁ・・・とか思う。資源の流れをロシアに押さえられるのがイヤ、あるいはそれでは世界が安定しない、とかいう理屈もわかるけど、それならそれでそこを明らかにする必要があるのではないのか?などちょっと思う。

今のままだと、ぶっちゃけ、アメリカがなぜアフガンを、パキスタンでの越境攻撃も辞さずで攻めていくのか、その意図が不明瞭になっていると思う。

テロ対策です、という文言だけでここまで来てるけど、それって結局誰にターゲット絞ってますか、が不明になっているわけだし、ブッシュ大統領ならばここでフリーダムディフェンダーとしてのアメリカは、というある種の押さえがあったわけだけど(賛否はともかく)、オバマ大統領はそれを、微妙な形で踏襲できないわけでしょ。ブッシュを過剰に叩いた結果として。その場合、どういう理屈でこの戦争を遂行するのか、ちょっと怪しくなってませんか、など思う。


AFP発の記事を毎日新聞が拾っていたが、これもおもしろい。

アフガン:上海協力機構主導で国際会議を 露大統領が提唱
http://mainichi.jp/select/world/news/20090125k0000m030063000c.html


アフガン問題は、チャイナ、パキスタン、インドも入れて考えるべきじゃね、とメドベージェフが言っている、と。つまり、アメのユーラシアにおける野望を共同で阻止しませんか、と言い出したということでしょうか。


一方アメさんは、
オバマ米大統領NATOにアフガン支援要請 加盟国に書簡
http://www.nikkei.co.jp/news/past/honbun.cfm?i=AT2M2400G%2024012009&g=G1&d=20090124


NATOを前面に出すというのも、フリーダムディフェンダーたるアメリカとその同盟リーグたる西側諸国、重なるのはNATO、という形があったればこそ説得力がある、というものではなかろうか。いろいろ言う人がいるけど、ブッシュ大統領のこの路線は西欧諸国は否定できないものには違いなんと思うんだけどなぁとずっと思ってる。

アフガンでの戦いはもう7年にもなる。で、その途中途中で何度も失敗ミッションといわれ、参加国が押しなべてもう投げ出したい風になっているわけで、そこでアメリカが大統領が変わりました、てこ入れです、といわれても、積極的な国は、例によって東欧ぐらいしかないと思う。

くどいが、アフガンに関して、オバマの言辞に説得力があるようには思えないと私は思う。作戦はあるようだが。
つまり、テロとの戦いだ、過激派との戦いだとか言うけど、ではなぜそこにアメリカがコミットする必要があるのか、という点がぼけてる(フリーダムのディフェンダー路線を蹴ってるから)、それでいいのか、と。


このへんのロジックの乱れが気になるし、それが同盟国内の足並みの乱れを誘発する起因になるのではないのか、など思っても見る。

もちろんNATOそれ自体は一応普通に機能しているだろうけど、支持する各国民にとって、アフガン・ミッションの大義が見出せないってのは問題ではないのか。

このへんをしっかり詰めてこないと、そのうちロシアから言いたい放題されると思う。アメリカの戦略的な利益のためにヨーロッパはアメリカの使い走りになる気なのか、とかそのへん。

そして西欧各国は、そうだね、となる。しかし一方で、ロシアとどう付き合うのかを自分たちで決めるのもなんだかできない。ああ。しかしそこでコンセンサスを取れるようならヨーロッパ人やってないよ、っていう感じか(笑)。


ま、アメリカが、本当にユーラシア大作戦を展開して、それをアメリカの覇権維持の証とするという気が本当にあるのならそれはそれでいいけど、もしそうでないのなら(覇権維持しないという白黒ではなくて)、不必要な足並みの乱れを作ってるかもよ、と思うのだ。


NATOの事務総長が変わる時期なので、その際に、親米のドイツ人を出せばいいんじゃないのかってな意見が出ている模様(今週の英エコノミスト)。しえ〜、ドイツに投げるのぉ?ってまぁ、いいけど。選挙もあるし、今年のドイツは注目だすね。