過去を思い出しながら、今後について


リベラルは、2000年を頂点として、2006年保守党に政権を奪われ、以降、盛り返すどころかじりじりと負けを拡大している。逆に保守党は2年前までは、まだ、西部カナダからの風、みたいなところがあったのだが今では立派に全国党としての基盤を揃えてきた。

一方で、リベラルには抜本的対策があるようには見えない。
多分、2004年あたりで、大物とか将来を嘱望されていた人たちが抜けているように見えるのだが(もし偶然が重なっていなければ)、このへんをカバーできていない、しようにも何か問題がある(どういう党なのかのアイデンティティに混乱が見える等)??? で、再三再四私が叫ぶ、なぜステファン・ディオンが党首なのだ、わざわざ負けに行っているようなものだ、という点も、おそらく、2003年あたりからの混乱の中の問題点の一つなんだろうと思う(そうでなかったら、この党首選びを本気でシラフでやっている人たちがいるなんて、どう考えていいかわからない)。


したがって、今後は、リベラルに大きな動きがない限り、保守党のマジョリティ把握に向かう方向性は、そうならない可能性よりは大きいだろう。しかし、上に見たように、かなり基礎票に近づいている気もするので、ここからの積み増しはこれまでのようには行かない。その意味では、どん詰まりなのかとも見える。


保守にとってのリスクは、カナダ国内ではなくてむしろアメリカだろう。経済の混乱が長引くと、基本的に財政的に保守であるこの党は、経済刺激策とか、製造業対策とかにかなり弱いと思われ、そういう平時にはすっきり正しいしまり屋さんのスタンスが今後どこまで行けるのかというのが問題になるかも。


また、オバマが来た場合、ブッシュ政権時代と同じようなスタンスで事を運べるものなのかというのも今のところ未知数。難しいことになったりしないのか多少はらはらしているカナダ人もいるようだ。


前回はこれと逆のパターン。ブッシュ政権になった時、カナダはまさにリベラル全盛で、この時点で党首であったクレッチェン首相とブッシュ大統領は「合わない」、どうしよう・・・と危惧されていたところに、結果的にはクレッチェン首相が、イラクにはアメリカと一緒に行かないないからね、と言い出し、以降カナダでは上を下をの大騒ぎになった。
(それにもかかわらず、この判断自体はカナダでは過半数が今でも良い判断だったと考えている模様。ハーパー政権は用心深くこの話をあまり蒸し返さないようにしていたと思う。)


ハーパーはこの亀裂を修正するためにこそ選ばれた、とも言える。
その点で、ドイツのメルケル、フランスのサルコジと同じライン。
逆にいえば、シュレーダーシラク、クレッチェンが沈んでいる。


つまりまぁ、そういう政権だったわけで、だからこその混乱と凋落なんだろうなぁなど思う。
リベラルの中で将来を嘱望されていた人とか大物の議員とかがこの間抜けているし・・・という顛末はこの問題の大きさを示していたのではないのか、と私は考えている。


今のところ可能性は見えないが、この3つの国うちのどこかに異変が起こると波及する可能性も一応あるのかな、と思う。